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ゴン三郎が呼ぶ。

作者: ラー油

こんにちわ

 とある夜の日の話。誰も住み着いていない山の麓から、村一番の暴れん坊ゴン三郎を呼ぶ声が村に響きわたりました。


 この声を聞いた村の人々は、これまでのゴン三郎の悪行が積みに積み重なって神様を怒らせてしまったんだと、酷くおののきました。


 あの声は、祟りの前触れだ。だからゴン三郎を生贄におさめようと一人の村人が口にしました。一人から二人へ、どんどんとそれは伝播していき、とうとうゴン三郎を生贄にすることが決まりました。


 しかし、ゴン三郎もありもしないことを言われて黙ってるわけがありません。村一番の暴れん坊は自分を縄で締めあげようとする者を逆に締め上げて、村の広場に晒しあげました。一つの札を立て、こう書きました。


「俺を締めあげようとする者は皆こうなる。祟りなんて言うまやかしでこの俺を村から追い出そうなんて無駄だ」


 これを見た村人は、祟りとゴン三郎に怯えながら過ごす日々を決心しました。


 ゴン三郎を呼ぶ声は三日三晩続き、村人の精神は日に日に削られていきました。


 けれど、当の本人ゴン三郎だけはケロッといつも通りの変わらぬ様子で作物を勝手に食い散らかし、気に食わないやつは殴ってストレスを解消していました。


 村一番の暴れん坊は村一番の無法者となりつつありました。


 ある日の晩、ゴン三郎はいつも通り暴れ回れスッキリして寝ようと床につこうとした時、枕元が眩くひかりました。咄嗟にゴン三郎は目が焼けないように目を覆い隠します。


 ゴン三郎は村人の襲撃だと思い声を荒らげながら威嚇します。


「おい!俺を殺そうと言うのか!」


 強い怒気を込めてこれでもかとうるさいぐらいに叫び威嚇します。


「なんかいったらどうなんだ!!おい!」


 しかし、どんなに威嚇しても返答は返ってきません。それどころか誰一人としてゴン三郎の家に入ってこないのです。


 おかしいと思ったゴン三郎は目を開けみてると、眼前に広がる森。星空満点の煌々とした夜空。


 ゴン三郎はすぐに分かりました。ここは山の麓なんだと。けれども、自分が山の麓にいる理由はさっぱりで身動きも取れません。


 そんなゴン三郎の目の前には一つの札が立てかけれていました。


「お前はやり過ぎた。助けが欲しいなら自分の名前を永遠に叫ぶことだ。そしたらいつかそこから抜け出せる」


 ゴン三郎は村一番の暴れん坊です。素直に従うわけがありませんでした。最初は強情に意地を張って、どうせ誰かここを通るからその時助けてもらえばいいとタカをくくってました。


 しかし、待てど待てど人は通らずゴン三郎は次第に怯えていきます。このまま死んでしまうのではないか、漠然とした死への恐怖がゴン三郎を動かしました。


 そしてついにゴン三郎は口を開け、こう叫びます。「ゴン三郎」と。

さよなら

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