1.平凡な日常
…長い夢を見ている感覚だった
『く……と……ろが交…する…終…のと…なる…だろう…』
俺は夢の中で何者かの声を聞いた。
「……痛い」
目覚めると俺の頬をつねる銀髪の美少女がいた。
「もう少し優しく起こしてもらうことはできませんかね?お嬢さん」
頬をつねる手は離れない。
「何回遅刻したら気が済むのかな?お坊ちゃん」
「へいへい、すみませんね。学校にいきたくないもんで」
「早く支度して」
「じゃあ早く手を離して」
仕方なさそうに手を離すこいつの名前は要 茉白。おれと同じ高校に通う、家が隣の幼なじみだ。
「外で待ってるから」
ロングの銀髪で顔は良い。顔は。
「んじゃ準備しますか」
この世界には所謂超能力ってものがある。イメージしやすいものだとビーム出したりするやつだ。もちろんそんな強い能力を持つ者など多くはない。ほとんどが大した能力を持っていないか、適性があるだけで発現していない人間だ。
「適性ねぇ…」
支度を終わらせ、玄関のドアを開けると茉白がいた。うん、怒ってる。
「なんでいつもそんなに準備に時間がかかるんだよ。僕と変わらないじゃんか」
ちなみに茉白はボクっ娘だ。長所だと思ってる。
「男の子にもいろいろとあるんですよ」
「なにそれ…ほら行くよ!今日は能力の定期試験だから遅刻はできないぞ!」
「へいへい……ん…?」
つねられた頬の痛みとは別に奇妙な感覚があったが、とりあえず学校に向かうとしよう。