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「はじめまちて、わたくちはプリチア商会かいちょうの娘フリージアともうちます。
よろちくおねがいいたちます。」
フリフリの白いレースのたくさんついたワンピースを着た3等身のこの女の子が私
フリージアですわ。
ちなみにうまく発音できていませんがプリシア商会がお父様の商会名ですわ。
どうしてもプリシアと言っていてもプリチアになってしまうこの口早く成長して欲しいですわ。
「お嬢様、素晴らしい!お上手でございます。」
頬に白いハンカチをあてながら目を潤ませている執事さんはクロムウェルって言うのよ。
細身だけどどことなく高貴なダンディなおじ様ですわ。
でも、私のことはダメなの
産まれるときから色々大変だったみたいで、どんな成長でもああやって大げさに涙を浮かべながら
喜んでくれるの
いつも、私の鼻が高くなってしまうんですのよ。ふふふっ。
でも、私は普通の子どもではないので
そんなおだてには乗りませんのよ
どうして普通の子どもではないのかって?
前世の記憶持ちですの。
この国では珍しいことではないらしいの
最初に発した言葉が「とーたま」じゃちょっとおかしい子と思われるのも無理はない。
ただ、前世の記憶は完璧に持っている人はそうそう居ないんですって
そりゃそうよね、私も全部完璧か?と問われれば
返事は否よ。
でも、幸せな人生だった自信はあるの。
幸せな生涯だったわ。
私にとっては素敵な旦那様と、可愛い子ども達、育てるのはとっても大変だったけど
いろんな経験をさせて貰ったわ~
あの魔の2歳3歳…。
思い出しても辛かったってことは覚えている。
でもおばあちゃんになって頑張ってる子どもと嫁をみてたら
若かったからだな~って思えた…余裕がなかったのねきっと
夫婦で協力して乗り越えた子育て
大学に行かせるのは経済的に大変だったわ…お金持ちでは無かったからね。
その後は、お金を貯めて夫婦で旅行にも行ったっけ。
心の温かさだけ覚えている…。
どこに行ったとか、名前とか、顔とか全部忘れてしまったけど心だけは温かい
そんな記憶だけ持ってるの
だから、魔の2歳児は私には無かった。
あれは、記憶持ちには無理だった。
むしゃくしゃした時はお庭を走り回ったり、大きな声で叫んだり
家は広かったから余裕だったわ。
その度にクロムウェルや侍女たちに不思議な生暖かい目で見られた記憶は…
遠い過去よ!きっと!




