表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

一話

初投稿です。拙い文章ですがお楽しみいただけると嬉しいです!よろしくお願いします!

 気持ちの良い風が吹く森の中で薬草を採取する。

 日が出始める頃から始めて、現在は日が真上にある。

 そろそろ帰ろうかと思い背負っている籠を見ると、底が見えるほどしか薬草が入っていなかった。

 一つも採れない日だってあるのだ。

 今日はマシな方だろう。


「はぁ…」


 と、思ったところで誤魔化しきれない失望の念は溜息となり口から出た。


「おーい!ルトガー!」


 一緒に薬草採取に来ていた幼馴染みの『レオン』が笑顔でこちらに手を振りながら走ってくる。

 森の中をずっと歩いていたというのに彼には疲れた様子がない。こちらはヘトヘトになっているというのに、相変わらずの体力馬鹿っぷりに苦笑がこぼれる。


「見ろよこれ!すげーかっこいい棒を見つけたぞ!」


 そう言って彼は手に持っていた木の棒をこちらに見せつけるように掲げてきた。

 キラキラとした瞳で自慢する彼には悪いが、普通の棒にしか見えない。

 彼の言葉に適当に相槌を打ちつつ、話を聞き流しているとあることに気づいた。


「なあ、レオン」

「ーーでこうズバッと!…ん?どうした?」

「お前、薬草の籠は何処やったんだ?」


 そう俺が聞くと彼は少しの間ポカンとした顔をした後、みるみる内に顔が蒼白になっていった。

 あ、こいつやったな。


「やっべー!置いてきちまった!」


 そう叫びながら先ほど彼が元来た方へと走って行った。

 おそらく木の棒を見つけた場所に籠をそのまま置いてきたのだろう。


 落ち着きがないなと呆れそうになるが、それも当たり前のことかと思い直す。

 なにせ彼はまだ五歳の子供なのだ。

 まだまだ遊びたい盛りだろう。


 俺とレオンは王都の郊外にひっそりとある貧しい孤児院で暮らしている。

 そこは、子供が十人に対して大人が高齢のシスター一人だけしかいないため、孤児院の皆んなが協力して日々の生活を送っている。


 その中で俺とレオンの年齢は五歳と一番下である。

 にもかかわらずこうして森にまで薬草採取に来ているのは、それだけ貧乏だということだ。

 まだ五歳なので森の浅い部分にしか入っていないが、こんなところで取れる薬草の値段などたかが知れている。

 だがそれでも、やらないよりはマシだし何より孤児院の皆んなが心配しつつも褒めてくれるし喜んでくれる。

 『少しでも恩を返せるのならやる』

 それが俺とレオンの共通認識だ。


 ところで話は変わるが、俺は所謂転生者というやつだ。

 ある日、寝て起きたら赤ん坊になっていて丁度母親に捨てられるところだった。

 突然の事に訳が分からず、声を出そうにも喃語しか喋れない赤ん坊の体では泣き叫ぶ事しか出来なかった。

 彼女が去った後も泣き続けていると、どうやらその場所が孤児院の近くだったらしく、すぐにシスターが俺を見つけてくれた。

 後になって思い出したが、母親は泣きながら俺を捨てていたので、何か事情があったのではないかと思ったが今となってはもう知る術はない。


 そうして俺がシスターに抱えられて孤児院に入ると、赤ん坊がもう一人いた。

 そう、それが俺の親友で幼馴染みーーレオンとの出会いだった。

 まあ、あいつは覚えてないだろうが。

最後までお読みくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ