違和感だらけの新生活2
授業は順調にすすんでいった。クラスメイトの誰も俺の異常に気づかない。一番後ろの席に座っている俺の背がクラスで一番低いことにも、挨拶を交わした俺の声がまるで声変わり前のように高いことにも。
窓の外をぼんやりと眺めていると、教師の話す声や板書の音が遠くに感じる。まるで自分ひとりが教室から浮いてるような気分になった。
休み時間、ふつうに声をかけてくる友達にうまく反応できなかった。今朝の一ノ瀬の様子から予想はしていたが、ここまで普通に接してこられるとどうすればいいかわからない。
「宮永、今日ぼーっとしてね?寝不足?」
なんて返せばいいかわからなくなった俺は、具合が悪いからと断って寝たフリをすることにした。心配してくれる友人に力なく微笑んで、机に突っ伏し目を瞑る。
休み時間が終わったあたりで、仮病のつもりだったのに本当に気持ち悪くなってきた。授業がはじまったら何食わぬ顔して起き上がればいいやと思っていたのに、体が重くて無理だった。
「おーい宮永ー寝てんのかー。」
今日の三限目は英語だったのか。担任の声が聞こえてきてぼんやりとそう思った。
「あいつ具合悪いらしいんすよ。俺保健室連れていきましょっか?」
「あー、たしかそういうときは保健委員が連れてくんじゃなかったか?うちのクラスの委員は、えーっと一ノ瀬だな。よし一ノ瀬、お前宮永のこと保健室に連れて行ってくれ。」
うう…気持ち悪くて動きたくないのに、誰かが俺の肩を揺さぶる。
「おい起きろ。保健室いくぞ。」
ぶっきらぼうな言い方とは裏腹に、手つきは優しい。もう少し手つきが荒かったら吐きそうだ。でも動くのは億劫だし、放っておいてはくれないだろうか。
「俺…動きたくない……」
「わがまま言ってねえで保健室で寝てろ。」
「い…やだ……」
「じゃあほら、おぶってやるから乗れよ。」
横を見ると誰かがしゃがんで背中を差し出している。こんな小さい背中にちゃんと乗れるかな。でも乗れと言われたし、乗ってしまおう。
「ん、乗れたな。行くぞ。」
おんぶされるのなんて何年ぶりだろう。俺はぼーっとしながら運ばれていった。




