悪夢のはじまり9
―――東雲。
あいつが夢の中の登場人物でなく実在していて、俺に女の姿になる魔法をかけたとしたらどうだろう。人間を子猫にする呪いがあるなら、男を女にするくらいできそうなものだし、色々と辻褄が合う。
もしくはただ単に俺がどこかで強く頭を打ちつけてしまったのかもしれない。
どっちにしろこの問題をどう解決すればいいのか、目処が立たないのは同じだ。どうすべきか考えるのを先延ばしにしたくて、俺は学校に行く準備をはじめた。一ノ瀬がまだ寝てるうちに、とりあえず制服を着ておきたかった。着替えてる様子を見られたりしたらかなりまずい。女だとバレたくないというだけでなく、着替えを見られることに対して何かしらの羞恥心のようなものが俺の中に芽生えていた。
制服を取り出すため、小さなクローゼットを開けようとしたら手が滑ってうまく掴めない。緊張してかなり手汗をかいていたようだ。無理もないだろう。しかし服を確認するというだけのことに、ここまで緊張している自分が少し滑稽に思えた。手を拭いて心を落ち着かせてクローゼットに向き合う。二回目はしっかりと持ち手を掴むことに成功した。
中に入っていたのはいつもよりだいぶ小さいサイズのブレザーとスラックスだった。
体に当ててみれば今の自分の体にちょうどよい。原理はさっぱりわからなくて不気味だが、都合がいいことに変わりない。着替えるために俺はサッと寝間着の上を脱いだ。




