表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雨が降ったのだった

雨が降ったのだった

小学校の校庭では、数人の男子が泥んこになってサッカーをしていた



散歩中の老人は傘を、その隣をとぼとぼと歩く老犬は黄色のレインコートを被っていた



小鳥たちは街路樹の葉っぱの影で、身を寄せ合っていた



橋の下では、小さな子猫が段ボールの中でぷるぷると身を震わせていた



サッカー部は校舎の中をぐるぐると走り回った



卓球部はいつも通りだった



お父さんは通勤カバンを頭の上で持つと、横断歩道を走って渡った



お母さんは子供に傘を持たせていたか不安になった



息子は校庭で泥んこになってサッカーをしていた



タクシーの運転手は、傘を差していない人を探していた



大工さんは仲間と飲みに行く約束を取り付けた



床屋さんは防水のスプレーを髪にかけていくかをお客さんに聞いた



パン屋さんは全てのパンを10%引きにした



商店街の本屋さんは、外に置いている雑誌のラックを店内に入れた



歯医者さんは来るはずだった患者さんが来ないので、暇をしていた



政治家はいつも通り賄賂を受け取った



科学者は今日は機嫌がよさそうだった



天気予報士はあなたの占いは当たらないのね、と言われた



独裁者は機嫌を損ねたので、側近を一人処刑することにした



地球の裏側に住んでいる人は、常夏の海で日光浴を楽しんでいた



宇宙人は"コレハミズデスカ"と拘束した地球人に尋ねた



歌うたいは窓の外をぼーっと眺めていたかとおもうと、徐にノートに殴り書きをはじめた



野球少年はホームベースに辿り着けなかった



戦争から帰ってきた人は関節がひしひしと傷んだ









僕は"雨が降りましたね"と貴女に言った。


貴女は"そうですね"と答えた。











雨が降ったのだった -終-








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ