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その、烙印に忠誠を…  作者: 結月澪
倭の国
4/7

秘密

部屋につけば、彼女は、ベットへと倒れ込んだ。

軋むベットの音

まさに、力尽きた。その表現がピッタリな彼女の行動

奇抜な着物。いや。和ドレスと言った方がわかりやすいかもしれない。黒地に花柄があしらわれ、肩まではだけている襟元にインナーはY字の様な黒いモノであった。

黒と赤に身を包む彼女。

丈は膝の上で、倒れた反動から着物は、少し捲り上がり、彼女の白く細い太ももがチラチラと見える。


そんな視線を向けていれば、

彼女は、視線だけこちらに向けた。

まるで、「まだいたの?」そう言っているかの様な彼女の表情に、ただただ、苦笑いを浮かべた。


この部屋は、特殊な構造をしている。

窓には、鉄格子。部屋には奇妙なお札まで貼ってある。

供えつけのトイレにお風呂。


ここは、まるで彼女の牢屋の様。


この城の中には、沢山の肖像画が飾られていた。

国王のモノや王女のモノ。


中には、彼女の肖像画も飾られていた。


彼女の肖像画は、白い和ドレスにピンクの帯をして

幸せそうに、溢れんばかりの笑顔を見せた幼かった彼女


俺が出会ったのは、彼女が生贄として帰って来た歳だった。今の姫様しか、俺は知らない。



いや。今の姫様しか、

俺は、守りたいとは思わなかった————。




****


黙ったまま、カタカタと音が聞こえて

そちらに視線を向ける。


格子のついた窓のすぐ側で、彼が手慣れた手つきでお茶を淹れてくれたのがわかる。

いい香りのそれは、紅茶。


カチャッと音が聞こえれば

身体を起こし、足をベットから下ろし腰掛けた。


「どうぞ。姫様。」


手渡された紅茶は、綺麗なソーサーに置かれ、その上に置かれたティーカップには装飾が施されたもの。


黒羽は、男の癖に、変な所は女の様に細かい。

ただ、お茶を飲むだけじゃなく、目で楽しませようとする彼。従者としては完璧な彼は、代々、この国の王に仕える従者として育った一族。しかし、彼の父は、すでにこの世には居ない。

彼は、跡を継ぎ、父である国王の従者をするのが

本当は、筋が通っている。しかし、それは、出来ないのだ


何故なら、彼の父親は、国王暗殺を企て

処刑されてしまった、言わば罪人。


罪人の子を、国王の近くに置くわけにはいかない。

それが、この国の考え方。


罪人は、黒羽ではないのに、彼を罪人の様に見る人達。

厄介者には、厄介者を————


黒羽が私の所に来たのは、そんな理由だ。



「いかがなされました?」


一向に口に運ばなかった紅茶を見て

黒羽は、そう言った。


「ううん。いただきます。」


「はい。召し上がれ。」


ニッコリと笑う彼。私は、知っている。

彼もまた、私には話せない秘密があると————













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