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捻くれ者は昔独りではなかった。
2010年の夏。30歳の私に転機が訪れていた。
長かった独り身生活にピリオドを打つかもしれなかったからだ。
所謂、職場恋愛と言えるだろう。彼女は、同じ部署の2コ下の後輩。
美人とも言えないが、可愛げのある笑みと、捻くれ者の私に優しく接する性格に惚れてしまった。
「美」に「恋」で「びれい」と読むキラキラネームには驚いたものである。
ここまでだと、私の片思いに聞こえるだろうが、彼女もまた私のことを好いていてくれたのだ。
生まれてこのかた、告白などされたことのない私に、唯一告白した人である。
すぐには返事を出せなかった。どうせ罰ゲームで言わされているのだろうと、思い込んでいた。
だが、彼女は私に告白してから、約1カ月の間誠意を見せ続けた。
あとあと考えてみれば、私は恥ずかしくなるほど、彼女に素直になれなかったなと後悔している。
彼女は私がすぐに批判的に物事を捉える癖を、受け入れてくれた。
私が、彼女の気に入らない小さな事に口出しをすれば次の日には、治っている。
そこまで従順な彼女に私は素直になれなかった。
彼女の誕生日は一度も祝わなかった。おめでとうの一言が、言い出せなかった。
つくづく、最低な人間だと感じてはいた。
そう、感じていただけで、行動には移せなかったのだ。




