XXX. ヤンデレルート キコリ
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「ああ、悲しい、悲しい、悲しい。」
「そんなに泣いたらまた錆びるわよ。」
オズがくれたハートは、彼女を困らせた。
彼女を困らせたい訳ではないのに、溢れる涙は止まらなかった。
「ふふっ・・。 あなた、私より大きいのに私より泣き虫さんになっちゃったわね。」
もう君は、私の涙をその小さな手で拭いてはくれなくなるんだね。
「ああ、ドロシー! みっともない私を嫌わないでくれ。」
ハートの制御は思った以上に困難で、ドロシーがずっとカンザスに帰りたがっていたのを知っているのにドロシーに此処に居てほしい、と思いは留まることを知らなかった。
「このハンカチ、あなたにあげるわ。」
ハートを手に入れた自分は前よりもずっと泣き虫で、ずっとずっと我儘になったようだった。
ああ、君のその足を切り落としたら、君は此処に居てくれるだろうか。
「・・・・そんなに優しくされたらまた泣いてしまうよ、ドロシー。」
「すぐに泣いてしまう優しいあなたには、コレが必要でしょう?」
ああ、早くお帰り、可愛い人。 でなければ、愛しい君の足を切り落としてしまいそうだ。
君は私を優しいと言う。
――― 本当に優しい人間だったなら、こんな物騒な事は考えないのだろうけれど。
優しい僕のまま、君とサヨナラしたい。