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第一幕 冷泉院3

中宮 しかしお父様は母上の遺言を守るのが非常に大変

 そうであられましたよ。(ト冷泉のほうを見ます)

源氏 ああそうじゃ。お前があまり年ごとに美しゅうなるのが

 悪いのじゃ。斎宮の時にはこんなに小さかったのになあ。

(ト膝のあたりに手をやります)


中宮 そんなに小さくはありませんよ。伊勢のお勤めが終わって

 京に戻ってきた時には、もう母は病に苦しんでおられました。

源氏 そしてこの遺言じゃ。六条の邸をわしにお譲りになる。

 姫の後見人になる。それともう一つ、絶対姫には手を出さない。


中宮 何度も念を押して母はなくなりました。

源氏 そのとおりにしたではないか。

中宮 もう御病気ですね、美人に言い寄られるのは。

 (ト源氏こなし)だけど本当はお父様の養女にしていただいて

 心の底から感謝いたしております。


源氏 そうそう、そう言えば美しさが増すというものよ。

中宮 あと一つお聞きしたいことがあります。

源氏 母上とのことか?何も聞いておらんのか?


中宮 いとしいお方というばかりで、どこがどういいのか、どうして

 そうなったのか、一度も聞いたことがございませぬ。

(ト源氏を見つめる。源氏こなしながら)


源氏 若き頃、六条の御息所は我ら若者のあこがれの的じゃった。

 東宮亡き後、つまりほんとは皇后になられたお方。今の六条院の

 秋の邸宅はすべて御息所のものじゃった。若者はそこに集い

 御息所はこのわしにお目を止められたのよ。

中宮 父上の若いころは玉のようないい男、そう申しておりました。


源氏 ところがわしは一番年下で、妻の葵上は、お前は知ってか藤壺

 も五歳上。御息所は何と七つ上。何かと引け目もあったようじゃ。

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