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第四幕 夕霧5

 朱雀院の五十の祝いに病身の柏木を無理やり呼び出して痛烈な

 皮肉を浴びせた。わしの命は魔王の呪いそのものじゃった。

(怒りに源氏は打ち震えます)


夕霧 乳母の話では生まれたばかりの若宮をお抱きにもなさらなかった。

源氏 抱けるものかあの時は。

夕霧 女三宮はその冷たい仕打ちに出家を決意なさった。


源氏 そうじゃ。わしの知らぬ間に父朱雀院に泣きついて。

夕霧 院も辛かったでしょう?


源氏 あの時は皆がつらかった、宿命の嵐にどこもかしこも涙涙。

 あまりの苦しみの極みに涙の笑いがこみあげてくるほどじゃった。


(源氏の顔は涙にゆがみ見えぬ眼が宙をにらみ笑ってるように見えます)


夕霧 親父殿、私は心から感謝しております。柏木は臨終のときに二つの

 ことを私に頼みました。一つは父上にとりなすこと。

源氏 それはもう叶ったな。二つ目は?

夕霧 それはもう叶っています。


(源氏 いぶかしげに思い入れ)

夕霧 柏木の正妻落ち葉の君をよろしく頼むということでしたから。

(二人はハタと顔を見合わせ大きく笑う)


源氏 そうかそうか、それはよかった。

(ト大きくうなづきながらつぶやきます)

 煩悩即菩提、生死即涅槃・・・・

 南無法華経、南無法華経じゃよ。


(しばし安らかな沈黙が流れます。老いたる源氏は、この至福を

じっと味わいかみしめているようです)


夕霧 では親父殿そろそろ・・・・

 親父殿?親父殿!親父殿!! 


(源氏、崩れ落ち、夕霧、抱き支え泣く。惟光、お市、書け来たり

驚き立ち尽くす。緩やかに暗転)


                         第五幕 幕 つなぎ

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