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第三幕 明石の中宮1

役名

   源氏

   明石の中宮

   惟光

   お市


(本舞台三間の間 嵯峨野の小さな庵 藁葺の二重屋台

箪笥 仏壇 衝立 床敷き 源氏窓 上がり石 水瓶 おくど

遠見茜色山並み 薄 など秋の装いよろしく 道具収まる)


(源氏、仏壇の前に端座し読経しています。お市賄い)


源氏 自我得佛來 所經諸劫数 無量百千萬 億載阿僧祇

 常説法教化 無数億衆生 令入於佛道 爾來無量劫

 為度衆生故 方便現涅槃 而實不滅度 常住此説法

 我常住於此 以諸神通力 令顛倒衆生 ・・・・・ 


(惟光がざるいっぱいのなすびを運んできます)

惟光 なすびじゃ、なすびじゃ。焼きなすがよかろうて。

(お市、大きくうなづきながらざるを受け取ります)


惟光 どなたかお越しのようで見てまいります。

(惟光、出て見やり戻りて)


惟光 八葉御紋車、明石の中宮様のおこしでございます。


(ト迎えに行く。源氏とお市は大急ぎで苧麻の作務衣に着替えます。

やがて若苗色の小袿、白檀扇を手に明石の中宮が現れます)


源氏 ああ、ようきたのう。どうじゃ母上の具合は?

(中宮、にじりあがり座る。膳が運ばれてくる)


中宮 ええ、元気になられて若宮を乳母と取り合っておられます。

源氏 そうかそうか。入道殿はやはり行方知れず?


中宮 おじいさまは私が皇子を産むのを見届けて『この世で為すべき

 ことはすべて終わった』と、そう申して山にこもられました。


源氏 行方は?

中宮 『わしのことは絶対に捜すでない』との厳命でしたので。

源氏 そうか。ほんとに潔いお方だったのう。


中宮 とても怖いお方だと思っておりましたが若宮が生まれてからはもう。

源氏 でかしたでかしたじゃろう。ようわかる。入道殿の信心の証じゃ。

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