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第二幕 玉鬘3

玉鬘 今でも不思議でなりませぬ。

源氏 当時の内大臣はの、姫君たちをあまり大事にはしておらなんだ。

玉鬘 だから私を養女に?

源氏 そのとおり。

玉鬘 うそ。言い寄ってこられたではありませぬか。


源氏 ほんとじゃ。その証拠に裳着の儀式の前にすべてを内大臣に打ち

 明けた。裳の腰ひもを結ぶ役目をこの時に内大臣にお願いしたのじゃ。

玉鬘 うすうす気づいてはおりました。今でも心から感謝いたしており

 ますよ。ところで今日は折り入って伺いたいことがございます。


源氏 母上のことか?(ト玉鬘、大きくうなづく)そうか。夕顔の女御

 といってとてもきれいなお方じゃった。

玉鬘 夕顔?

源氏 そうじゃ、わしがつけた名じゃ。わしが十七の時。焼きもち焼きの

 御息所にうんざりしていた頃じゃ。ばあやを訪ねて五条に寄った。


玉鬘 十七?

源氏 そうじゃ。妻葵上、中宮藤壺、六条の御息所、年増が多い。

玉鬘 難という多情な。


源氏 そんなものよその頃は。ばあやがなかなか出てこない。その時隣の

 壁に夕顔が咲いておった。見とれておると女児が歌を添えていい香りの

 扇を持ってきた。


玉鬘 その主のお方が。

源氏 そう、お前の母君じゃ。この扇に乗せて夕顔を蔦ごと持って帰れと

 いうわけよ。いじらしいではないか、こんな小さなあばら家に住みながら。


玉鬘 あばら家とは失礼な。母上がかわいそうにございます。

源氏 いやすまん。ほんとのいい女というものは東屋にでも住む中品の女御

 に逸品が隠れておる、と先輩が言うもので、少なからずそういうものかと

 興味はあったから。


玉鬘 言い訳は見苦しいですよ父上様。

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