「8話」 天使に家が有って悪いか!
父の秘密知ってそうな人登場!
今回はお引越しです!次回は少しキングクリムゾンかな?
学術都市ウリムに来て始めての朝を迎えた。陽が昇り間も無くした頃で朝焼けが眩しい。
「やあ、ニアもう起きたのか、早起きだなぁ」
既に身支度を完全に整えて来て居る父に言われたくない。
そんな想いを込めて軽く睨んでやった。
「ごめんごめん、まぁボクは毎日陽が昇る前にはこうだからね。顔を洗って来ると良いよ」
俺がまだ眠そうに見えたのか井戸の場所を教えてくれる父。
そうだな。冷たい水でもかければ目も冷めるかな?
と、思って井戸の所へ来た訳ですよ……
井戸はポンプ式で、俺の背にも届く、小さい井戸だった……が!
いかんせん重過ぎた。少なくとも3歳児の腕力ではびくともしない。
クッ……3歳児の敵ポンプ井戸め! だがこの俺をそこんじょらのガキと同じにするなよ!
「『“降臨”』!」
瞬間、現れる四枚の翼と光輪。
くくく!天使の俺の前にはポンプ井戸などちょろい!
……俺はこの時完全に周りが見えなくなっていた。少なくとも此処が公共の施設だと言う事を忘れるくらいには。
「ッ……! ?」
それは正しく絶句だった。 俺も言葉を無くしていた。
俺の目の前に居るのは同年代程の幼児で、朝焼けに溶ける金髪はグレイプとはまた違う美しさだ。
驚愕に見開かれた瞳は夕焼け程の赤で……
飛んで逃げました。文字通り。
ーー
俺が部屋に戻った時にはグレイプと母は既に部屋の水道で顔を洗っていた。……父に騙された。
☆
引越し終わったよ!
……うん、ごめん。色々と急過ぎたね。
現在学術都市ウリム北区。此処は一般商業エリアに近く、住居を構えるには人気の地域だ。
まぁ、大体中流地区に位置して居て第四等以上の紹介状が無ければ買え無い。そんな家だ。
その家は二階建てで、トイレが二つ、浴室一つ、寝室が二つ、応接間一つ。
後は子供部屋と倉庫ぐらいだろうか?
で、そんな良物件を紹介してくれた第四等以上と言うのが……
「こちらがボクの師匠のリリー・クリムゾン・エクストリィム=コンフォート先生、本物の『魔法使い』だよ」
腰まであるピンク色の髪の毛と長い前髪のせいで目の見えない妙齢の女性だった。
って……魔法使ぃ! ?
父の人脈は謎だ。
っていうか名前聞くだけだと得1第三等だ、父よりも上とは言え第四等には及ばない。
……深く考えちゃダメな気がする。
「ぁ……プラムくん、師匠だなんて……あ、アタシは、別に……剣はプラムくんには及ばないし……」
なんかゴニョゴニョして聞き取れない。……って! リリーさん!意外に内気な子ですか!
実は父よりも歳下なんじゃなかろうか?
と、まぁこれが俺とリリーさんの始めての出会いだ。
因みにこのリリーさん、ご住居は東区の方に有って週に三回“街”の子に剣を教えて居るらしい。
父の就職先にそこを進めてくれたのも他ならないリリーさんだ。
東区って確か貴族のお館が林立してた様な……うん! 気のせいだ!
「ぁ……そ、そう。お家、覗いて見て……?ダメだったら他の所も……」
「いえ、流石にそこまではお願い出来ませんよ、彼らも“また”店を燃やされては気の毒だ」
今父の口から飛んでも無い単語が聞こえた様な気がするが気にしない。
最近《天界の扉》よりもスルースキルの方が役に立っている気が……気のせいだよね!
☆
「ぁ、ニアくん。ここ、スペルミス……でも凄い、これ以外、満点」
リリーさん、それは満点とは言わんのですよ。
よう、現在新しい家の中でリリーさんに文字を教えてもらって居るニアだ。
正直言ってしまうと教え方自体は村の司祭様の方がわかり安かった。
が、やはり“街”で『魔法使い』をして居るだけ有ってか様々な事を知って居て、それを教えてくれる。
だが流石に“街”に張り巡らされた秘密通路の道順まで教えてくれなくて良かったです。
まぁ気合で覚えたけどね!
あ、因みにグレイプはというと……
「ししょー!ぐれいぷとしょーぶ!」
俺が勉強して居る部屋に木刀を持ったグレイプが乱入して来た。
こら、待てや。
だがそれを片手……人差し指と中指で受け止めるリリーさん。
因みに今でもこの状態で俺に勉強を教えてくれて居る。
父はこれ以上の事ができるそうだ。
ーー魔力持ちは皆さんチートですか?
☆
「神は天に在り、天は常春なる楽園。あぁ、聖なるかな」
よう、今でも教会通いが日課のニアだ。と言っても文字の読み書きはほぼ完璧だから来て居るのはリーディングの為だ。
勿論神なんぞの為ではない。
「ん……神は、天に在り、聖なるかな?」
出来は……イマイチだ。
と、俺が教会の司祭様の言葉を反復して居ると、なにやら怪しげなムードの2人組……
よく見て見るとリリーさんと父でした☆
いやいや、まてまて。
あれ?もしかしなくても俺変な所に出くわしちゃった?
幸い2人は俺に気づいて居無い様なので悪いと思いながらも会話を聞いてみる。
「……プラムくん、聞いて……!」
「しかし師匠、あの話は6年も前に断った筈です、それに今はボクにも妻子が居ますから……」
「違う!あの話じゃ無いの!」
正直びっくりした、リリーさんがこんな大声を出すとは思わなかったからだ。
父も驚いた様に碧色の眼を見開いて居る。そして、リリーさんは続けた。
「グレイプくんは……魔力もちよ……」
な、なんとグレイプくんは魔力もちだったと言う! ?
所でですが主人公の将来はどうしましょう?
僕は学校or研究機関かなー?って感じですが。