「76話 頂!
蹲る少年……ネブカドネザルに近づいたのはカミーリャだった。
なにを思ったのかはわからないが、ゆっくりと歩み始める。
彼女は目に涙を溜めながらゆっくりとその、我が子へと近づいてゆく。
降り積もった灰の上に、現実味の無い、カミーリャの足跡が浮かぶ。
躊躇った様に揺れる瞳には、悲しさや苦しみが宿っている……
が、それ以上に、今までには無かった強さ……慈愛が色濃く光り輝いている。
今にも消え入りそうな蝋燭の灯りの様に……けれども、等しく万民を照らす事の出来る太陽の様に、日の光の出ない夜を照らす月の様に、新月の夜にも人々を見守る星の様に……
強く、強く 輝いていた。
歩みは止まらない。
浅く、灰の上に刻まれる足跡は頼り無く、しかし確かに一歩一歩、我が子へと近づく。
「カミー……」
か細い声がどこからか上がった、俺はその声の主をめでおうら。
そこには、口を真一文字に引き結んだレンゲの姿があった。
手は彼女を求める様に宙にちから無く伸ばされる、が……それ以上進む事はない。
彼は、涙が出る寸前の様な顔でカミーリャの背中を見守り続ける。
あぁ……やはり、すべては、いまから始まる。
☆
犠牲の上に成り立つ希望よ、今にお前は終焉をみる。
天使は滅んだ、神の国のいと高きところに彼の魂は運ばれる。
「ねぇ……ニア……」
…………ん?
「返事……何時でも、良いから……」
ー
次回が最終回?




