「43話」 撃退、救出!
作者「今回は来たよー、コレ来たよー」
ニア「ただ下がりじゃねーか、嘘つき」
嫌な、金属音が響く。
争いの音だ。
それも、俺に原因の有る……
嫌な音だった。
「父……」
この、大気中の魔力がギガントピテクスどもに奪われている中、
父は、一つの狂いも無く、剣をふるっていた。
その剣は、銀色に輝いていて……真剣で有ることがうかがえる。
「グオォォォ!!」
骸を、父の剣によって切り裂かれたギガントピテクスは苦痛に吼えた。
その瞬間、俺はあることに気がついた。
……そんな……!
感情が芽生えている⁈
しかし、俺の疑問など答えてくれる者がいる筈無く、非情なまでに物事は進んで行く。
「っくそ……!
このバカザル! グレイプを離
しやがれ!」
父と共に、剣を振るう少年が叫んだ。
しかし、その少年の持つ業物は父の様に真剣では無く、木刀であった。
そして、その少年の狙う先には、
この、ゴーレムに握られたグレイプの姿が有る。
怖い……
俺は、そんなつかまれたグレイプをみても、何もできないでいた。
恐い……
奴の……ゴーレムの体毛には魔力を吸収するチカラが在る。
確かに、俺は魔術師や魔法使いの類では無いが、グレイプは違う。
……グレイプは、体内に魔力の流れる、純粋な魔術師だ。
確かに、現在ギガントピテクスの手のひらには体毛は生えていないけれど、
それでも、風になびいたりしたモノとかがグレイプに触れる度に、心臓が凍る思いだ。
「っひ……!」
弱い……
俺は、あまりにも脆弱だった。
この場で、誰よりもグレイプを愛している、と言っておきながら……その実、俺はグレイプに何もしていない。
助けるどころか、今の様に、グレイプの危機を作ってさえいる。
……結局、俺は……『“運命”』の奴隷にすぎないのかよ……
俺が、悔しさに涙を流した時……それは、起こった。
「があぁぁぁ!!」
ーー!
倒したの⁈
俺が、その瞬間みたモノは、
祖進化体進化祖体試作種 が、逃げ去る姿だった。
奴が、元々いた場所には……
俺は、思い切りかけ出していた。
恐い……!
グレイプは横たわっていた。
怖い……!
気を失ったのか、ピクリととも動かない。
恐怖い……!!
俺は、グレイプに抱きついた。
流れる涙はどうしても止まらない。
所々破れた服や、打撲の痕などが生々しい。
息は……⁈
俺は、グレイプの鼻先に頬を寄せた、
グレイプの唇が俺の頬に触れるか、触れないかぐらいの所でようやく、呼吸していることを確かめれた。
……!
よかった……生きてる……!
「ッウ……!
……兄…ちゃん?」
うっすらと眼を開けるグレイプ、
小さく開けられた瞼からでも、その綺麗な青色が見えた。
ーーー良かった!!
俺は、もう自分自身を抑えることができずに、どうし様も無い程泣きじゃってしまった。
「ぐれい…っぷ! 良かっ…た!……死んじゃったら。俺……俺!」
グレイプの年不相応に逞しい胸にすがりつきながら涙を流し続けた。
泣いても、泣いても、ドンドンと涙が溢れ出てくる。
背中に、そっと手が触れる。
小さくても、頼りになる、優し気なく暖かさを持ったソレは、グレイプの手だろう。
☆☆☆
オレは、目の前で泣きじゃくる兄を目の前に困惑していた。
こんなに泣いてる 兄をみたのは……始めてかな……?
オレから思うと、兄は、いつも完璧で……できないことなんか無くて……
オレに、なんでも教えてくれて、弱いオレを守ってくれる……
そんな、完璧な人なんだと、ずっと思っていた。
(……でも、違うんだ……)
オレの目の前で、
オレの胸の中で、ワンワンと、
女の子みたいに無くお兄ちゃんは、とても、脆い……弱いモノに思えた。
そう思うと、今まで、神様や天使様に近かったお兄ちゃんの姿が、ずっと、愛おしいモノに思えてきて……
今まで、オレはお兄ちゃんに守られてきたんだ……
だから、今度からは……オレが、お兄ちゃんを護るよ……
オレは、そんな想いを込めて、兄ちゃんの背中を抱きしめた。
☆☆☆
どうやら、俺は少しの間 眠ってしまっていたらしい。
目を覚ました場所は、きっとグレイプの寮部屋で、ベットの上で グレイプに膝枕をされていたらしかった。
「兄ちゃん、大丈夫?」
心配そうに覗き込んでくるグレイプの碧い瞳。
ッ……!
「アっ……! ゴメン……」
俺は、慌ててグレイプのあぐらのかかれた膝から頭を上げた。
今だ、左の耳にグレイプの温もりが残っている。
「無理するなよ……?」
本当に心配そうに聞いてくるグレイプ。
なんだか、その表情は、ほんのさっきまで見ていた、幼いカオじゃ無くて……
どこか、決意を秘めたような……
大人の…漢の顔になっていた。
何故か、そんなグレイプの顔に、後ろめたさを感じる。
慌てて視線を反らしてしまった。
と、その時。
「うん、ニア、グレイプの言うとおり、あまり無理しない方が良いよ?」
優し気な、そしてそれ以上に心配気な声が俺の耳を貫く。
父だ。
「う…うん、大丈夫……」
本当はまだ少し頭痛がするが、そんなことは問題無いだろう。
俺は、グレイプの隣に腰を下ろす。
俺の体重を受けて沈むマットは、それでもグレイプよりかは沈まない。
これが、成長の差だろうか?
「……今日、ボクは……グレイプが襲われている、って聞いて、とても怖い気持ちになったんだ」
すると、突然、父がしゃべり始めた。
どこか遠くに向けられた視線は、さっきの事をおまいだしているんだろうか?
それとも、もっと昔……
一度も語られなかった祖父母のことかもしれない。
「ーー……少し、昔話をしよう……」
ーー……ちち……?
作者「うわぁー!父話書ききれなかった!」
ニア「計画性のなさ露呈すんのやめろよ」
作者「次回! 秘話と革命!」




