「29話」 永久就職先!
作者「今回もニアくんとグレイプくんの兄弟愛!」
ニア「作者は自重しないバカか」
「無駄だ……俺に、剣は効かんよ……」
俺は、その凶刃を翼で防ぎ、言った。
しかし、その刃を振るったものは思いのほか聡明だった。
「じゃあ、何で翼で防いだんだ?」
っち……“申し子”め……
☆
俺は、目の前に出された紅茶を、一口すすった。
確かに苦いが、コーヒー程では無い。
さてと……
「院長、そろそろ本題に入りましょうか」
俺は、同じく、紅茶をすする老人に声をかけた。
その老人は、俺が声をかけると、怯える様に、体を震わせた。
失敬な。
「……あの話、本当に実行するのかね?」
無論だ、それ以外に何があるというんだ。
「あぁ、俺なら能力的にも問題あるまい……」
俺は、今度は紅茶の為の、焼き菓子を頬張った。
クズが赤絹のソファーに落ちるが気にしない。
寧ろ、汚してやれ。
老人は、溜息を吐きながら、俺に答える。
「確かに、エンジェル……貴方ならば問題はない。しかし……」
そこまで行って老人は口を閉ざした。
言いたい事は、わかる。
「グレイプか……?」
老人は、重たげに頭を下げる。
沈黙が部屋に降った。
「……まぁ、良い。幾らなんでも、身内だからと言って贔屓はしん」
そう、コレは既に決定事項だ。
例え、この老人が、どう足掻いた所で変わる事はない。
「……わかりました。 では、今春から、正式に“講師”として、雇わさせていただきます……」
俺は、“学院”の講師の座を手に入れた。
☆
学院の入学試験の結果が帰って来るにはもう少しかかる。
そんな中でグレイプは心配そうに部屋をウロウロしていた。
「落ち着けよ、グレイプ」
歩く度に舞う埃が良い加減目障りだ。
あくまで埃だよ? グレイプは、寧ろ、目に入れても痛くない。
「ご…ゴメン……」
そう言っても、グレイプは落ち着きなくウロウロしていた。
爪まで噛み始めた。
……もしかして、何か心配事があるのか?
ま…まさか、恋愛事情か……⁈
「兄、オレ……この人と、結婚するから……今まで、ありがとう」
「子供が生まれたんだ、兄貴が名付け親になってよ」
「実は彼女に浮気されてて……オレは良いんだけど子供が可哀想で……」
誰だーー!!
俺の嫁を悩ませるこんちくしょうは!
「グレイプ! 」
「うぇ⁈ な、なに?」
俺は、思わず大声を出してしまった。
びっくりした様なグレイプに罪悪感がつのる。
だが、俺は……俺は、やらねばならんのだ……!
兄として、ニア・アウグスティヌス=アントニウスとして!
「何か、悩みでもあるのか?」
俺は、グレイプの、俺よりも大きな肩を掴みながら問いかけた。
とたん、大きく開かれるグレイプの碧眼。
「な…なんでもねーよ……!」
グレイプは素直な子だ。
嘘をつくのが下手すぎる。
今でも、両の碧眼は、俺には合わさず、宙に彷徨っている。
ま…まさか、やはり恋か?
恋なのか⁈
俺は、グレイプに詰め寄った。
鼻の頭と 頭が触れ合う。
お互いの髪の毛も絡み合い、茶と金が混ざる。
これ以上近寄れば、唇が触れ合いそうだ。
まぁ、俺は気にしないけどね!
グレイプの頬に、朱がさすのがわかる。
俺は、更にグレイプにたたみかけた。
「悩みがあるなら、兄に言う……」
1人で…抱え込むなよな。
なんの為に、俺がいるんだよ。
俺は、そんな想いを込めて、グレイプを抱きしめた。
俺よりも、頭反個ほど大きいグレイプを抱きしめると、俺の頭はちょっど、首元に当たる。
幼く、代謝が良いからか、春先の今でも、薄っすらと汗をかいていた。
「……凄いや……」
グレイプが、ポツリとつぶやいた。
グレイプがどんな顔をしているのかは、身長的に見えない。
だけれど、兄としては、安心した……優しい表情であって欲しい。
「兄には、隠し事、できねーや……」
自嘲するような、そんな、呆れたような声が聞こえてきた。
話す気に、なってくれたかな?
「オレさ……ライバルが出来たんだ!」
……そいつを俺の前に引きずり出せ!
☆
何事もなかったように毎日がすぎる。
あれから、結局グレイプのライバルはわからず、一週間がすぎた。
そして……
「やったぁ!!!」
グレイプが、年相応に大はしゃぎをしていた。
父も母も、涙ぐんでいた。
俺?
俺は、グレイプを信じていたからな。
だから、別にグレイプと抱き合って喜んだり、涙と鼻水で顔をグショグショにしたり、
寧ろ奮発して金がなくなったりもしていない……していない。
そして、俺も。
今年の春から、学園へ、“魔力理論”の講義を中心として、学園へ勤める事になった。
作者「次回は入学式と就任式!」
ニア「ようやくここまでこぎつけたか」
作者「うーん、これで残すキンクリ予定も後一回だね!」
※この会話形式のヤツ、いりますか?




