「22話」 あなた、だれ? !
作者「妹ちゃんの救出回!」
ニア「父の活躍に注目!」
「全く……セワやカスな」
俺は、朝の涼やかな大気に満ちた宙をゆっくりと上昇していた。
朝の、淡い蜂蜜色の光が、俺の背にある8枚の銀の翼を照らしていた。
この街……学術都市ウリムは非常に入り組んだ構造をした街だ。
秘密通路を含めるならば2重、3重にまでのぼる。
そんな中を虱潰しに探すのは不可能に近いだろう。
だから、俺は奥の手を使う。
俺は、いつもの様にポケットに手を突っ込む。
グレイプの為に作った、錬金術の成果。
俺は、尖ったソレを強く握りしめた。
ーー
見つけた……
日が、先ほどよりも南に傾いた時間。
漸く視界の淵に淡く宿る光を見つけて、俺は達成感よりも安心感に襲われた。
この、淡い光を見つける為だけに、奥の手を30近く無くしたのだ。
そして、その漸く見つけた光こそが、おそらくパンの妹だろう。
「場所は……西区、か」
西区の中頃にある、井戸のない、寂れた民家。
そんな寂れた空間に、その淡い光は宿っていた。
赤い光に囲まれて……
チィ……!
屑どもが……
赤い光……適性と判断された連中の数は8つ。
俺1人では、きついだろうな。
俺は1人、宙で思案した。
俺の悩みに合わせて、頭上の2重の光輪がまたたく。
はぁ……
仕方が、無い……か。
☆
あれから俺は直ぐに家に戻って来た、
隣で飛んでいたハヤブサを追い越した時は自分に引いたけどな。
ともかく、俺は家に帰ったが、
未だに家にはパンが残っていた。
眼には、いつものおどけたような、無邪気な光は消えていて、
ただ、漠然とした、大きな闇に取り込まれた、焦燥的な不安が宿っていた。
誰もが暗い、陰鬱とした空気を発していた。
パンが、俺に助けてくれ、といってきたのも、俺以外に頼れる人間がいないからだろう。
何せ、元々が異国の、それも孤児だったのだ、頼れる当てなどある訳がない。
そこで、パンを拾い、職を与えた俺に、こいつは頼って来たのだ。
ならば、それに報いよう。
「父……チョット」
俺は、この世界で誰よりも頼りになる、憧れの人を呼んだ。
父は、難しいく歪められた顔をあげ、俺に近寄って来た。
「なんだい? ニア……」
それは、冬の葉がこすれる様な、そんな囁くような声だった。
俺は、父の耳にそっ、と手を当て、いざ唇を開こうとした時。
ーー迷った。
そう、今ここで、俺がパンの妹の事をいったら、俺は、父に気持ち悪いと思われるんじゃないだろうか?
二度と、あの父のお日様のような笑顔が見れなくなるのではないか……
とんな事が、突然、脳裏をかすめた。
1度生まれた疑念は晴れないで胸の中をグルグル回り出した。
その度に不安は肥大化して行く。
しかし、父は俺の考えている事がわかったのだろうか?
父は、グレイプと比べてずっと華奢な俺の体をそっと、しかし強く抱きしめると、
再び、俺の耳元に囁いた。
「ボクは、例えどんな事があっても、ニアの事はずっと、大好きなママだよ……」
静かに、強く、流れる様に、
その言葉は、俺の耳を通して身体中に巡った。
身体ジンジンと熱くなる。
ーー……迷いは、晴れた。
「父……パンを、助けて……」
俺が、やっとの事喉を絞り、それだけの事を言うと、父は、より強い力で抱きしめてくれた。
「ニアの、始めてのワガママ……騎士がしかと承りました」
俺も、大きな父の背を、ギュッと抱いた。
☆
「本当に、此処に居るのかい?ニア?」
父が、正面を睨みながら俺に聞いて来る。
父の視線の先には、先ほど俺が捉えた民家が佇んでいた。
父は、今のその姿勢そのものが一瞬の構えの様で、 漏れ出す覇気が今だ現役である事を知らせる。
俺は、そんな父の言葉に首肯で応えた。
父の位置からは俺の姿は見えないだろうが、確実に伝わった。
「オレには、とてもそんな風には見えんがな……」
俺の後ろの方から声がする、
無理矢理ついて来たリーフの声だった。
俺は、その言葉に是と返そうとしたが、それよりも先にグレイプが割入った。
「なんだよ葉っぱ! 兄を疑うのかよ! 」
弟よ、俺を庇ってくれるのは嬉しいけど、正直心臓に悪いです。
ってか、君も家で待ってて欲しかったな、兄ちゃんは。
「お、おい……やめろよお前ら……」
と、俺が正直、頭抱えたく成ったときに、視界の淵で、赤い神が揺れた。
おそらく、俺らチルドレンの中での年長者としてだろう。
諍い合うグレイプとリーフを諌めている。
これから、戦いに行くかもって時にな……
「じゃあ……、行くぞ!」
父を先頭に、俺たちはその民家に突入した。
☆
敵の数はやはり8人、
さらに、全員が鋼の武器を携帯し、同じ鋼の鎧を纏っていた。
ただモノじゃないどころか、そもそも平民であるかどうかさえ怪しい。
まるで、王城に使える、物語にでもでて来る様な……まさに騎士だ。
それほどまでに、彼らは気品に満ちていた。
彼らの囲う中央に、目隠しをされた少女さえ、いなければ。
ーーッ! ?
その瞬間、俺は、父の方からあり得ないほどの魔力の高ぶりを感じた。
なんだ……?
「ーーグレイプは、ボクと一緒に雑魚退治……ニアは、パン君とあの子を助けて……殿下は、御身をお護り下さい」
そう、言うが早いが父は駆け出した。
目の前の8人は、突然現れた俺たちに驚いている様で、父の初撃で2人が倒された。
父の手にあるのは木刀の為、恐らく気絶だろう。
仲間が倒された事に、漸く我を戻したのだろう、残り6人が怒鳴り出した。
しきりに、異国の言葉を放っている。
と、こうしてる場合じゃない。
「パン……行く!」
「あ、あぁ……」
俺は、俺と同じ様に、呆然としていたパンに声をかけ、父の事で注意のそれていた女の子に向かって行った。
「@×¥=*!」
とかおもったら、その騎士っぽい奴に邪魔された。
『“天使の耳”』を発動していないからなんて言ってるかわかんない。
なんだよ!@×¥=が*って!
どんな数式だ!
とか、思っていたら。
鋼の剣が振り下ろされた。
身体中がすっ、と冷えた。
振り下ろされる、冷徹な銀の凶刃がスローモーションに迫る。
本当に死を覚悟しかけた、その次の瞬間……!
「ボクの子供に手を出すと、如何に同業者といえど……
ーー首を、掻き切る! ! 」
見た事もないほど、凶悪な顔をした父が、木刀で鋼の剣を真っ二つにしていた。
……父よ、ぜひ今度俺のベットを修理して下さい。
「はやく! ニア! 」
と、怒鳴る父の声で再び我に返る。
最近、ボー、としている事が増えた気がする。 としかねぇ。
と、俺とパンは少女に近づき、その少女の目隠しを剥ぎ取った。
そこにいたのは……!
「お兄ちゃん! 来てくれたの⁈」
どーこかー、で見た事のある、赤銅色の髪の毛を持った少女だった。
ふーあーゆー?
作者「妹ちゃんは結局だれだろうね?」
ニア「そんな事よりも、次回は……」
作者「うん、登場人物紹介するよ!」




