「2話」 天使な俺? !
ジジイのたーん!
ジジイ曰く、世界とやらは無数に在って、そしてその半数以上が『運命』の通りに行ってないんだとか……
「で……俺にその世界の一つの運命を修正しろと?」
真っ白に成ったり真っ黒に成ったりの空間で、難しそうな俺の声が響く。
ジジイは俺の言葉に大きく頷くと、シワの寄った目尻を下げた。
「飲み込みが速くて助かる、いかにもお前には『修正力』に成ってもらう」
成って貰いたい、じゃなくて成って貰うねぇ……
まさか断言為れるとはな。
まぁ、俺はここで引き受けなかったら天国へも地獄へも行けないわけだからな。
必然的に受けざる得ない、何だか卑怯だ。
俺がムッと不満そうな事がわかったのか目の前のジジイはまた喋り出した。
「すまんが仕方がない事だ、そもそもお前にとってデメリットしか無いわけではない、
お前の向かう世界はお前に選ばしてやるし、なるべく希望道理にしてやりたい……まぁ、“神”の連中には黙ってだが……」
ジジイは何だか黒い笑顔を浮かべて言った。タヌキだ……
何だか最後に不穏な言葉が聞こえ様な気がするが気にしない事にしよう! うん、それが良い。
まぁ、それはともかく……
「行きたい世界か…… ん? 元の世界はダメなのか?」
そうだ、
何で俺は魔法だとか超能力だとかを想像していたんだ。
どうせだったらもう一回母子家庭ながらもささやかな暮らしをしたいが。
とか思ったらジジイが今までに無いくらい申し訳無さそうな顔して来た。
「すまんな、今お前をあの世界に送るとまたあの世界の『運命』を乱す事になる。 今はお前だけで済んで居るがこれ以上は“神々”も認めんだろう」
……そうか、
確かに、俺の願望だけで、万が一にも俺みたいなヒトを出す訳にも行かないな。
うんうん、納得出来る辺りもう俺はおかしく成って居るのかもしれない。
まぁ、未練が無い訳じゃないがな!
それにしても改めてどんな世界が良いか、とか言われても困るな……。
あ、そうだ。
「じゃああんたが決めてよ」
「は……?」
なんかジジイに珍種の生命体を見る様な眼で見られた。
なんだその顔は。
「お、お前……自分が何を言って居るのかわかって居るのか? 」
今度は凄く呆れた様な、驚愕のような怒った様な、そんな顔を為れた。
だからなんだその顔は
「え……?いや、わかってるけど……?」
むしろ、俺はあんたが何を言いたいか分からんのだが?
あぁ、まぁ顔見りゃだいたいわかるけどさ。
「お前、ワシがせっかく世界選んで良いって言ってるんだよ?“神”の許可とってないけど」
また変な言葉を聞いた様な気がするけどそこはスルーで。
「わかってるよ、だけどさ下手に慣れて無い俺が選ぶよりかは良いがん?」
うん、今々にしてみればなんて良い考えなんだろうな。
俺もしかしたらノーベル賞取れちゃうかもな、絶対無いけどね!
まぁ、そんな事を話したらジジイは黙り込んでしまった、
とか思ったらまた直ぐに顔を上げた。
復活はえーな。
「まぁ良いだろう、それがお前の決めた事ならワシは文句は言えんしな……だったらコレも持っていけ 」
そう言って何やら手を降る様な動作をして見せるジジイ。
瞬間、俺の中にナニかが入る不快感が走った。
「キモッ! 何したの! 」
不快感は一瞬で過ぎ去ったけれど今でもムカムカする様な胸焼けが残ってる。
胸なんかねーけどな!
「今のは、元凶のワシの同僚のチカラだ、まぁ 餞別として受け取れ」
はぁ⁈
え、それってあれですよね?俺の事殺してくれやがりました天使さんの事ですよね?
え~と、確か俺見解ではそのチカラとやらは人間で言う骨に相当する訳なんですが……?
「なんて物くれやがった! やべぇ、吐き気が……」
「“精神”だけの状態で何を吐くと言うんだ。まぁ良いだろう今から行く異世界で役に立たない事はないしな……」
俺が今でも内心げぇげぇやってる間もジジイは喋って居た。
なんか俺が転生をする世界の事を説明して居る様だが全く頭に入ってこない。
そして、時間が来た。
「そろそろ“神”どもも気づく頃だ、早い所出発してもらおうか……!」
そうジジイが気合を込めた瞬間だった。
突如、俺の足元にフォッサマグナが出て来ました。
つまり……
「落ちる~~! ! 」
ただでさえ気持ち悪かったのに加え、落ちる時の感覚で気を失いました。
肉体は無いのにね!
肉体無いのに気絶とか……w