「19話」 いろいろおかしいって!
作者「今回は新キャラ続々!」
ニア「2人だけだろ」
職場……俺は今、『地下聖堂』に来ていた。
「で……ニアくん、王子様からスカウトされちゃったんだ」
俺の隣で赤髪の少年が、此方も向かずに喋りかける。
俺も、その少年の方を向かずに正面を向いたまま答える。
「あぁ……買い被りすぎ、だよ」
そう、俺が正直な気持ちを言うと、その少年は吹き出した。
なんだよ、こら。
俺は、作業を中断して少年を睨む、そいつは、懲りずに喉を鳴らしていた。
「パン……煩い」
パン……それがこの赤髪の少年の名前だ、松の木どころか小麦粉とも関係は無い。
タダの若き天才錬金術師だ。
「ゴメン、ゴメン、 オマエでもそんな謙遜するんだな」
若干、眼に涙を浮かべなからいってくる、
こいつが俺よりも背が高い事が憎い。
「ーー煩い……!」
はぁ…… 物覚えが悪いけど錬金術の腕が良いから、俺が拾ったのがこいつだ。
元々は西区に居た家なき孤児だが、今ではこの『地下聖堂』に住み込みで働いている。
「……と、かんせーい、コレ“院長”に届けるんだっけ?」
俺たちが今までして居た作業、それは銅の抽出だ。
パンは、この抽出作業が誰よりも上手い。
と、パンは俺の返事も聞かずに外に飛び出して行った。
不意に入る冷たい風に身を縮める。
「……いなく成った、か……」
現在、この部屋には俺とパンしかいない、イヤ……今はそのパンもいないか。
俺は、人が居無いチャンスを逃さない為に、直ぐに『“降臨”』を行った。
瞬間、俺の背に現れる全8枚の翼。暗い部屋に銀の煌きが走る。
「始めるか……」
俺は、銅の抽出を辞め、
全く別の作業を開始した。
☆
今日はグレイプに連れられ、リリーさんの道場にくる日だ。
にこやかに手を繋ぐグレイプに此方も自然と頬が緩む。
リリーさんの道場か……
何年ぶりだろうな。
俺も、この“街”に来た時は、最初の数日は村からの習慣でここに来ていた。
が、今ではすっかりとご無沙汰だ。 もしかしたら本当に3年ぶりかもしれない。
と、俺が 道場の入り口に立った瞬間だった!
突如グレイプが叫び……!
「おーい! 兄ちゃんを連れて来たぞぉーー!! 」
一瞬の、沈黙。
叫んだ後のグレイプの晴れやかな顔を横目に、俺はポカーンとして居た。
が……!
「ぐれいぷくんだー!」
「おにいちゃんもいるってー!」
「わぁ~! あそぼー!」
突如流れ込んでくる幼児達!
全員の手には竹刀が!
で、そこまでは良かった。
……が!
「ニアーー!此処で会ったが百年目よ!」
「てめえか! 俺のグレイプの兄貴と、オリーブの姉御を誑かす害虫はーー!!」
見覚えの有るサイドテールの少女と、見ず知らずのお子ちゃまが出て来たとさ!
ぐれいぷ、ふーいずでぃす?
☆
やーやー、
今、見ず知らずの おこちゃまに襲われてるニアだよ。
因みにオリーブはもう一本入れて倒した。
まぁ! 何かその「敵討ち」とかで俺が狙われてるんだけどね!
字が違うよ! 仇だよ!
「グッ……! やはり、兄貴と姉御が認めるだけの事は在るな……!」
俺の木刀での一撃を受け流したお子ちゃまが苦しそうに呟く。
いや、君も充分に凄いから、
ってか寧ろ俺が押されてますから!
俺は、チラリと後ろを見る、
そこには、ハラハラした様なグレイプと、何故だか残念そうなオリーブ。
……弟の、ましてや女の子の前で負けるわけにもいくまい。
仕方が無い……
本来、こんな所で使いたかったわけじゃないんだけどな……
奥の手を……使うか。
俺は、お子ちゃまの攻撃を右手に持った木刀で受け流しつつ、
左手で、ポケットを、探った。
指先に当たる、僅かに鋭い感触。
ハァ……卑怯者だな、俺って。
☆
結果的に俺が一本とって勝った。
と言っても、やはり心は晴れ無い。重く、のしかかる様な罪悪感が、俺の……
「兄はやっぱツエーや!」
「ん……!」
え? 罪悪感?
裏の手でお子ちゃまに勝った程度の罪悪感など、弟の前には……まぁ、うん。
「ま、まぁ……この程度でニアが負けてちゃダメよね! ……ニアを最初に倒すのは……私なんだもん……!」
と、オリーブも一応、俺の事を応援してくれて居たらしい。
と言っても、後半の方はごにょごにょしていて、聞き取れなかった。
まぁ、大方、次の襲撃方法でも考えているのかもな。
と……?
「クッ……! ニア・アウグスティヌス=アントニウス! あ、アタシは、あんたの事、認め無いからな!」
と……そのお子ちゃまが俺に宣言して来た。
ん……?
もしかして、
「お前……女?」
俺が素朴な質問をしたらそのお子ちゃまが固まった。
あれ、もしかしてこれ地雷?
作者「この卑怯者!」
ニア「だから、誰のせいだ!だれの!」
作者「……登場人物紹介とかやりたいなー」




