「17話」 こんなのありえない!
作者「投稿したと想ってたのに出来てなかった!」
ニア「バーカ」
硬い岩壁に刻まれた傷跡をなぞる、昨日降った雨のせいか、濡れて居り、冷たい。
「気になるかね?」
目の前を歩く男が、俺に向かって聞いてくるが、俺は、黙って首を横に振った。
すると男はまた、黙って歩き始めた。 俺もそれに続く。
進ごとに、湿った様な匂いが鼻をつくように成った。
地下に向かっているから当たり前だろうか。
今、俺は魔力研究機関『地下聖堂』に来ている。
彼らの研究テーマは即ち、
『奇跡の観測』である。
『奇跡の観測』……つまり、神の御業の形跡を探る事。
そこ、厨二 乙 とか言わない。
ともかく、
俺は、そんな『地下聖堂』に、来ていた。
「ーー……」
☆
藍色の宙
見上げれば銀の星々が見える。
月は、無い。
眼下には、いつかと同じ様に“街”の光点が広がる。
凍える様な、季節風も、今の俺の状態にはなんの意味もなさない。
ただ、俺の背に生える、総6枚の翼が、さらりと揺られた。
「《天界の扉 :Lv.1『“天使の眼”』ーー発動」
瞬間、ぼぅ…と、赤い光が俺の見つめる“街”にやどる。
「……やはり、信用、デキナイ……」
俺は、身を裂く風にうたれながら呟いた。
赤点の一つが我が家の屋敷に近づくのが見える。
『地下聖堂』の連中では無い。
……そう、俺が今、宙に浮いているのは、グレイプの事には違いない。
しかし、今夜の事は『地下聖堂』が信用に足るかを見定める意味も在る。
結果は……!
「ギリギリ、合格……」
俺の夜は、ゆっくりと明ける。
☆
「あれ?父、今日、休み?」
次の日の朝、俺は昼時に成っても家に居る父を見て驚いた。
普段は陽が登る頃には家を出ているのに……?
さらに言うならこの3年間、父がこんな風にしているのは覚えがなかった。
「あ…あぁ、ニアか……おはよう」
父は、何処か上の空の様な様子で俺に返して来た。
事実、父は俺に目を向けてこない。
こんな事、父らしくなかった。
先日のリリーさんの言葉も含め、何故だか妙に心がざわついた。
俺も、父も何も言わなかった。
遠くでグレイプの遊ぶ声がしている。また今日も何処かで俺の知らない友達と遊んでいるのだろう。
母は、今日は南区の方へ買い物へいっている。1月に一度の母の楽しみだ、夕方まで帰ってこないだろう。
痛い程の、気まずい沈黙。
外の世界は昼だと言うのに、父と俺との間は、寒々しい時が流れて居た。
テーブルを挟んだ向こうに、父の顔が見える。
すっきりとした目鼻立ちは6年前から変わらない。
机に落とされた目線は、しかし何処も見る事なく虚空を彷徨っていて、俺と同じ茶髪は張りを失い、力無く垂れ下がっていた。
なにも、しゃべる事ができない……
目の前の父は、見るからに、何かを悩んでいた。
苦悩しているようにすら見える。
それなのに、俺は なにもする事が出来なかった。
ーー
気がついたら俺は、階段を上がり、二階の、自室の布団の中に転がっていた……
使っていなかった枕が妙に冷たい。
「無力……」
森閑とした部屋に、俺の乾いた声が響いた。
……頭が割れそうだ。
今日 程、自分に力が無いと思った事は始めてだった。
いくら天使のチカラが有っても、……!
「家族、1人救えないで……!」
俺は枕に顔を押し付けた。
抱き締めた布団の冷たさに震える。
しかし、それ以上に俺は怖かった。
今の、穏やかな……例えそれが仮初めなのだしても、優しい時間が壊れてしまうのでは無いかと。
また、父親を失ってしまうんでは無いかと……
窓を叩きつける風から逃れる為に、俺は頭から布団を被った。
ーーそれでも、震える体は止まってくれなかった。
後で、鎮静剤をなでなでした後にギュっとしないとな!!
作者「他の人目線、書きたいなー」
ニア「候補は在るのか?」
作者「うーん、パパorグレイプくんかな」




