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「17話」 こんなのありえない!

作者「投稿したと想ってたのに出来てなかった!」


ニア「バーカ」

硬い岩壁に刻まれた傷跡をなぞる、昨日降った雨のせいか、濡れて居り、冷たい。


「気になるかね?」


目の前を歩く男が、俺に向かって聞いてくるが、俺は、黙って首を横に振った。


すると男はまた、黙って歩き始めた。 俺もそれに続く。


進ごとに、湿った様な匂いが鼻をつくように成った。

地下に向かっているから当たり前だろうか。


今、俺は魔力研究機関『地下聖堂(クリプタ)』に来ている。


彼らの研究テーマは即ち、

『奇跡の観測』である。


『奇跡の観測』……つまり、神の御業の形跡を探る事。


そこ、厨二 乙 とか言わない。


ともかく、

俺は、そんな『地下聖堂(クリプタ)』に、来ていた。


「ーー……」



藍色の(ソラ)

見上げれば銀の星々が見える。

月は、無い。


眼下には、いつかと同じ様に“街”の光点が広がる。


凍える様な、季節風も、今の俺の状態にはなんの意味もなさない。


ただ、俺の背に生える、総6枚の翼が、さらりと揺られた。


「《天界(ヘヴンズ)(ドア) :Lv.1『“天使の眼”』ーー発動」


瞬間、ぼぅ…と、赤い光が俺の見つめる“街”にやどる。


「……やはり、信用、デキナイ……」


俺は、身を裂く風にうたれながら呟いた。

赤点の一つが我が家の屋敷に近づくのが見える。


地下聖堂(クリプタ)』の連中では無い。


……そう、俺が今、(ソラ)に浮いているのは、グレイプの事には違いない。


しかし、今夜の事は『地下聖堂(クリプタ)』が信用に足るかを見定める意味も在る。


結果は……!


「ギリギリ、合格……」


俺の夜は、ゆっくりと明ける。



「あれ?父、今日、休み?」


次の日の朝、俺は昼時に成っても家に居る父を見て驚いた。


普段は陽が登る頃には家を出ているのに……?

さらに言うならこの3年間、父がこんな風にしているのは覚えがなかった。


「あ…あぁ、ニアか……おはよう」


父は、何処か上の空の様な様子で俺に返して来た。


事実、父は俺に目を向けてこない。

こんな事、父らしくなかった。


先日のリリーさんの言葉も含め、何故だか妙に心がざわついた。


俺も、父も何も言わなかった。


遠くでグレイプの遊ぶ声がしている。また今日も何処かで俺の知らない友達と遊んでいるのだろう。


母は、今日は南区の方へ買い物へいっている。1月に一度の母の楽しみだ、夕方まで帰ってこないだろう。


痛い程の、気まずい沈黙。

外の世界は昼だと言うのに、父と俺との間は、寒々しい時が流れて居た。


テーブルを挟んだ向こうに、父の顔が見える。

すっきりとした目鼻立ちは6年前から変わらない。


机に落とされた目線は、しかし何処も見る事なく虚空を彷徨っていて、俺と同じ茶髪は張りを失い、力無く垂れ下がっていた。


なにも、しゃべる事ができない……


目の前の父は、見るからに、何かを悩んでいた。

苦悩しているようにすら見える。


それなのに、俺は なにもする事が出来なかった。


ーー


気がついたら俺は、階段を上がり、二階の、自室の布団の中に転がっていた……


使っていなかった枕が妙に冷たい。


「無力……」


森閑とした部屋に、俺の乾いた声が響いた。

……頭が割れそうだ。


今日 程、自分に力が無いと思った事は始めてだった。


いくら天使のチカラが有っても、……!


「家族、1人救えないで……!」


俺は枕に顔を押し付けた。

抱き締めた布団の冷たさに震える。


しかし、それ以上に俺は怖かった。


今の、穏やかな……例えそれが仮初めなのだしても、優しい時間が壊れてしまうのでは無いかと。


また、父親を失ってしまうんでは無いかと……


窓を叩きつける風から逃れる為に、俺は頭から布団を被った。


ーーそれでも、震える体は止まってくれなかった。


後で、鎮静剤(グレイプ)をなでなでした後にギュっとしないとな!!



作者「他の人目線、書きたいなー」


ニア「候補は在るのか?」


作者「うーん、パパorグレイプくんかな」

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