「1話」 天使がコレとか嫌だ!
見切り発車ー!
「んふ……! んふふ! 」
俺は今人生初のお給金で心がいっぱいだ。
そりゃあ、確かに母親からのお小遣いだとかは貰った事はあるが……
これまでの人生23年! 自分で努力して手に入れたお金は始めてなわけだ!
おっと、申し遅れた。
俺は伊東 仁亜だ!
数え年で今年で24になる社会人一年生! なに?3年間どうしてただと? 聞くな! 聞くんじゃ無い!
……すまない、取り乱したな。
んで、だ。
今、俺の目の前には肉まんが在る……そして、これは何と! 俺の人生初のお給料で買う! 始めての買い物なのだ!
うーん、何だか背徳的だなぁ!
俺はそんな肉まんにホクホク顔を浮かべながら、いざ食らいつこうとした瞬間……
何でだか死にました。
☆
……ここ、何処?
俺は今、最大級の混乱を味わっている。
いや、まぁ別に食ってる訳じゃ無いけどね?
まぁね、誰だって見ていると、白に成ったり黒に成ったり、また白になる様な空間にはいたく無いと思うんだよね。
持っていた筈の肉まんちゃんとお財布は影も形もないし、って言うか肉体を持っている感覚すらもない。
誰だって混乱為るよね!
……だが、
俺の混乱の原因はこの二つだけでは無かった……まだ在るのだよ。超弩級の奴がな!
目の前で見ず知らずのジジイがふんぞり返ってるんだよ!
取り敢えず俺は話しかけて見る事に。
ほら、宇宙人とのファーストコンタクトの一環だと思えばね!
「あの~~……? 」
しまった! 話しかけたは良いけれどどんな事を話すかとか、全く考えてなかった!
クッ……! 既に話しかけてしまった以上は仕方あるまい!
どうあがいてでも切り抜けてやるわ!
「……あんた、誰?」
……もしかしたらコレ、人生で一番最悪なファーストコンタクトかもしれんな……
ほら! 目の前のジジイもなんか驚いてるし! ってか何か笑ったた⁈
そのTHE 老人みたいな顔したジジイの顔に驚愕が現れたと思ったら今度は深い笑みが広がった。
すげぇ、劇的でビフォーでアフターな瞬間だったな。
とか、俺が心底くだらない事を心中で呟いた瞬間。ジジイが口を開いた!
「お前は死んだ……だが、チャンスをやろうじゃないか」
……と。
ほわい⁈
☆
……聞くところによるとこのジジイ、“神様”とやらに使える霊の一体らしい。
「……で、天使さんが死んだ俺に何の様 用なわけ?」
正直こんなムサイジジイを天使だとか聖霊だとかに認めたくはないが……ともかく、そうなら仕方ないと、俺は身を割く想いで切り出した。
すると、ジジイ。
「……言ったとおり。お前は死んだ」
うん、そうだね、
おかげさまで肉まん食べそびれたよ! ちくしょう!
「しかし、それは“神々”の祀る『運命』の通りでは無かった……」
ん……?
どうやら話がきな臭い方向に向かって居る事を察した俺は顔を顰めた。まぁ体なんか無いけどね!
「端的に言おう、お前は『運命』から零れ落ちた……ワシの同僚の仕業でな」
……ん? んんっ⁈
どうしよ、俺の耳いかれたかも。
「お前の同僚のせいで俺が死んで、尚且つ運命とやらから零れ落ちた様に聞こえるけど?」
ヤバイな、コメカミ辺りに青筋が立ってないか心配だ、身体ないから立ち様が無いけどな!
そんな俺の質問にジジイは困った様な顔を浮かべた。
返答プリーズ!
「うむ、間違いない。お前はワシの同僚のせいで死んでしまった……」
「ちょっと待てよ! じゃあ何でそいつが謝りにこねぇんだよ! 本人が謝るのが筋じゃねえか! 」
しかしジジイは俺の言葉にますます困惑げな表情を浮かべると言った。
「そいつは既に『原初の神』に消されてしまってな……今はチカラだけが残っている状態だ……とても謝れんよ……」
……人間に言わせりゃ骨に謝れって言ってる様なモンなわけか。
はぁ……となると……
「所でチャンスってどう言う事だ?このまま天国とか、成仏とかじゃないのか?」
この疑問はもっともだろう、
向こうさんのミスで俺は死んじまったんだ。
だったらせめて天国だとか極楽だとかに行かせてくれたって良いだろう。だが、チャンス?
「お前は『運命』から零れ落ちたと言っただろう……『運命』から外れた“魂”は天国へも地獄へもいけん……」
ッハァ⁈
ちょっとまて!
え、なにそれ! どう言う事⁈
「その為の、チャンスじゃ……」
重々しく呟かれたジジイの言葉に俺も落ち着きを取り戻した。
そうだ……! あたふたしてる場合じゃない!
ところでチャンスって……?
「お前には、異世界へ、『運命の修正力』と成って貰う。」
わっと⁈
あら、デジャヴ