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ログアウト不能?元VR廃人なので問題ありません。  作者: 一月三日 五郎


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7/10

第七話 閉じ込められたもの

僕の名前はユウタ。

高校に入学したばかりの一年生だ。


――まず、結論から言う。


僕は、VRゲームからログアウトできなくなった。


笑えない。

本当に、笑えない。


今すぐ死ぬわけじゃない。

でも、このまま続けば、

いずれそうなることは分かっている。


運営からは連絡が来ている。

対応中だ、と。

復旧の見通しは、まだ立っていない、と。


それから、

強く、念を押された。


――絶対に、強制ログアウトを試さないでほしい。


理由は説明されなかった。

ただ、

「深刻な事態が起こり得る」

そう書かれていた。


深刻って、なんだよ。


そもそも、

僕はVRゲームなんて興味なかった。


タカシがしつこく誘ってきて、

断りきれなくて、

それで始めただけだ。


最初は、時間を忘れていた。


体を動かさなくても、

信じられない動きができる。

自分が強くなった気がして、

気分がよかった。


気づけば、

ログイン時間はどんどん伸びていた。


……そのせいで、

不具合の事前連絡を見落とした。


伝書鳩で届くメールなんて、

普通、気づくか?


言い訳だって分かってる。

でも、

そうでも思わなきゃやってられなかった。


どちらにしろ、

もう遅い。


僕らは、

この世界から出られない。


問題が起きたのは、その後だ。


いつものように、

NPCをからかって遊んでいた。


そこに、

変なやつが割り込んできた。


ひょろっとした体。

NPCみたいな見た目。


次の瞬間、

視界がひっくり返った。


体が、

宙にあった。


町が、

下にあった。


叫ぶ暇もなかった。

僕らは、

ボールみたいに放り投げられた。


空を飛んだ。


……飛んだ、と思う。


どれくらい飛んだのかは分からない。

気づいたら、

山にぶつかって、

意識が途切れた。


目を覚ますと、

ホームだった。


一人だった。


リビングでは、

いつもと同じBGMが流れている。


タカシも、

他のみんなも、

いない。


フレンドリストを開いた。

リストは、真っ暗だった。


……名前がない。


死亡表示でもない。

ログアウト表示でもない。


存在が、消えている。


意味が分からなかった。


ログアウトした?

でも、だったら表示が出るはずだ。


もしかして――

いや。


喉が鳴った。


頭の中に、

運営の警告文が浮かぶ。


――興味本位でのログアウト行為は、

深刻な事態を招く恐れがあります。


深刻な事態。


それが、

これなのか。


なんで、

こんなことになった。


僕が、

何をしたっていうんだ。


……遊んでただけだ。


NPC相手に、

ちょっと調子に乗って。

それだけだ。


「遊びだよ、遊び」


あいつの声が、

耳に残っている。


僕らを空に投げながら、

笑っていた顔。


膝が、

勝手に折れた。


しゃがみ込む。


あれは、

あいつにとっての遊びだった。


そして、

それは――


僕らが、

NPCにやっていたことと、

何も変わらなかった。

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