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ログアウト不能?元VR廃人なので問題ありません。  作者: 一月三日 五郎


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第六話 やさしく、ガツンと

打つべし、打つべし、打つべし。


ガン、ガン、ガン。


分厚かった金属の塊が、少しずつ広がっていく。


ガン、ガン、ガン。


よし、そろそろ頃合いだ。

真っ赤に熱された金属を、水につける。


ジュー。


湯気が部屋に広がっていく。

まるでサウナに入っているような気分だ。

ずいぶんと埃っぽいサウナだが。


湯気が収まり、鈍く光る刀身が現れる。

あとは磨いて、柄や装飾をつければ完成だ。


オートでは品質が確率で決まるが、

マニュアルで丁寧にやれば、高品質を量産することも可能だ。


その分、叩く強さや回数を素材に合わせて調整しなければならず、

神経を使う。


だが、俺の場合、鍛冶仕事そのものが好きなので問題にならない。

なにより、上達していく感覚がたまらないんだ。


「できた?」


ルナが入口から顔をのぞかせる。


危ないものがいろいろあるので、

鍛冶場は立ち入り禁止にしている。


「ああ。今日はもう終わりだ」


神経を使う作業なので、長時間ぶっ続けはきつい。

毎日、少しずつやるのが長く続けるコツだ。


「お茶、入れるね」


「ありがとう」


気配りのできる子だ。

将来は引く手あまただろう。


「はい」


ごくり。


火照った身体に、冷たいお茶が染みる。

はぁ、生き返る。

ほんと、サウナだな。


お茶を堪能しながら整っていると、

窓のところに鳥が止まっていた。

くちばしで、窓ガラスをこつこつ叩いている。


「お手紙だ」


たっと駆け寄るルナ。

窓を開け、鳥の足に結びつけられた手紙を外す。


役目を終えた鳥は、用は済んだとばかりにバサッと飛び立つ。

おい、羽を散らかしていくんじゃない。


「運営だって」


運営からの手紙か。

どうせアップデートやイベントなど、

あまり気の乗らない要件だろう。


そもそも、毎日ダンジョン周回や町の散策をしていれば、

必要な情報は勝手に入ってくる。

面倒な手紙を読む必要はない。


「暇なときに読むか」


受け取った手紙を、アイテムボックスに仕舞う。

ぱっと見ただけで、百通ぐらいたまっている。


まあ、今まで困ったことはないし、問題ないだろう。


「お昼にするか」


「うん」


さて、今日は何にするか。

迷ったときは、定番メニューだ。


「オムライスにしよう」


「やった! トロトロのやつね」


正解だったらしい。

子供は好きだよな、オムライス。

俺も好きだ。


「じゃあ、お皿を並べといてくれ」


ムッとするルナ。


「卵、割りたい!」


「……じゃあ、頼む」


前回任せたときは、力を入れすぎて大惨事だった。

頑張って破片を取り除いたが、取り切れず、

じゃりじゃりのオムライスを食べる羽目になった。


「今度は失敗しない」


「そうだな。慎重にな。やさしく、ガツンとだ」


「やさしく、ガツンと」


ガツン。


さて、今日のオムライスはどうなることやら。


どちらにしろ、いい一日になりそうだ。

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