第14話 共闘
大鳥騎を撃破し、順位を1つ上げた
柊真とサノン。
その勢いのまま、加速。
ソウリスの加速は地を裂くように伸び、
前を走る影へ一気に迫っていく。
「いた……あれが6位!」
門を抜け、街道にさしかかっていく。
砂煙の先にいたのは……全身鎧の巨体。
肩には小柄な少女がしがみついている。
「おおっ!?何だ!変な機械だな君!
そうだな、君は変わってる!」
「……いや、初めて会って失礼だが……
あんたにだけは言われたくない!」
鎧の大男――ハイランは豪快に笑い、
重厚な鎧をガチャガチャ言わせながら、
敵意はないと大声で告げた。
「私は自分の肉体がどこまでやれるのか
確かめたくてな!我々に妨害の意は
無い!抜くなら好きに抜け!」
「それは助かる!」
柊真は謎の鎧男、ハイランの横を颯爽と
駆け抜けて行った。
それから直ぐ、道は獣道に差し掛かり、
少し細くなる。
柊真はギアを落とし、カーブへと
突っ込んだ。しかし――
曲がった瞬間、視界が一気に開く。
「……うわ、なんだよ!これ!?」
前方に板で滑る二人組――異国から
来た板に乗る、滑走魔術師二人組だ。
その更に前で――二台の双頭馬車が
横に広く並び、完全にレースの道を
塞いでいた。
双頭馬車を操るは現在第3・4位の
騎士団員達。その補助士二名が
同時に呪文を紡ぐ。
「柊真君、来るよ!……あれは!
巨大な水の呪文――!」
次の瞬間。道の奥から
盛り上がる水音。
轟――と。道幅すべてを覆う
巨大な津波がこちらへ迫る。
コース上には、逃げ場が無い。
「あいつら、完全に後続の俺達を
止めに来てる!」
咄嗟に速度を落とす柊真。
後ろから、鎧の男ハイランも
足を回しながら追いついてきた。
滑走魔術師の片割れが、後ろを
振り返って叫ぶ。
「そこの二組!共闘しないか!
あれは普通には抜けん!」
「いいぜ!やるしかない!」
「うむ!任せよ!このハイラン、
卑怯な行為は断固許さぬ!」
三組が並び、津波の前で構える。
第一波が来る。ハイランは魔法で
強化された肉体を使い、突っ込む。
しかし津波に足を取られ、
中々前に進めない。
異国の男達は巨大な板で
波を乗り進めるが、双頭馬車との差は
縮められず、攻撃はできない。
「サノン、あいつらまで……
砂の魔術は届くか!?」
「無理……!津波に流されるし、
相手も速い!射程が……!」
ソウリスも津波は乗りこなせない。
柊真が舌打ちした時、
サノンの瞳が強く光る。
「なら……作る!」
後部座席に手を置くサノン。
ソウリスを経由して砂が渦を巻き、
巨大な一本の棒を形作る。
「これを!鎧のおじさんへ!」
ハイランは波から
飛び出し、棒を掴む。
「おお、乙女よ、恩に着る!」
板乗りの二人は察したようだ。
板上から手を差し出し、
ハイランを同乗させる。
第二波が来る。
「今だ!行けぇぇぇっ!」
異国の板乘りが波に乗り、飛ぶ。
ハイランはその頂点から
さらに飛ぶ。巨大な砂の棒を持ち、
波を貫き地面に突き刺し、
自らを高く跳ね上げた。
棒高跳び。巨体が宙を舞い、
馬車の高さへ届く。
第三波が来るが、ハイランはもう
馬車の天井へ着地していた。
「卑怯な騎士達よ……!正義の
鉄槌を喰らうがよい!」
魔法で強化された巨腕が振るわれ、
津波を起こしていた補助士が
二人とも簡単に吹き飛ぶ。
飛ばされた二人に巻き込まれ、
操縦士も片方落下してしまった。
制御を失った双頭馬車は暴走。
残った操縦士は悲鳴を上げ、
馬車はコース外へ大きく逸れていく。
――失格。
二台同時にリタイアとなった。
「!道が開いた!」
異国の男達が叫ぶ。
ハイランも再び
彼らの板へ着地する。
柊真は開けた道を見据えた。
「――よし。ここからは
抜けるだけだ!」
アクセルを捻る。
ソウリスのエンジンが
青白い風を噴き上げる。
次に狙うは二位、
ガルム夫妻。
そして一位――
ルミナ・グランディス。
レースは
ますます激しさを増す。




