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第6回小説家になろうラジオ大賞byごはん

お弁当にはやっぱりたこしゃんでしょ!




「タコ……タコって足の数何本だっけ?」


「はち!」


「はちぃ? 四本じゃ──」


「はちィィィ゛っ!!」


「あ、はい。頑張ります」




 息子に急かされ、朝食のパンと牛乳を出してから、子ども用の小さなウィンナーを見て途方にくれる。


 コレを片方だけ八つに切るって無理じゃないか?


 もきゅもきゅとアンパンを頬張る息子から無言の圧力を感じ、再びの交渉をあきらめる。


 必殺ネットで調べる。を駆使くしして、それとなく息子に話を持ちかけた。


かにさんカッコイイなぁ〜。パパ、蟹さん好きだな」


 ふっふっふっ。蟹なら半分にスライスしてから、両方を四つに切れば済む。


 スマホの画像を見た息子は目を輝かせた。



「かにしゃんもイイね!」



 蟹『も』いいね? タコは結局いるのね。

 労力がちょっと減ったと考えよう。そうしよう。

 


 作り方のコツを動画で確認しつつ、四苦八苦しながらフライパンで焼いて行く。


 簡単な料理なら作れるけど、弁当は見栄えが大変だった。


 でたブロッコリーとプチトマト。

 卵焼きはオムレツに変更になり。

 デザートは柿になった。

 米を炊き忘れておにぎりがサンドイッチになっちゃったけど、息子は「ハムチーズだ!」って喜んでくれた。



 持ち物をチェックし、リュックを背負ってもらって幼稚園にお見送り。何とか間に合った。



「パパ、いってきます」


「遠足楽しんで来てな」


「うん!」



 ちぎれたタコウィンナーの残骸ざんがいを口に放り込み、片付けをしてから急いで産婦人科に向かう。





「お疲れ様。遅くなってごめんな」


「うんん。お弁当作りありがとう。大丈夫だった?」


「な、何とか。ママの方こそ大丈夫だったか?」


「3人目だもん。すぐにスポーンと産まれたわ」



 

 夜中に産気づいて、妊婦専用の陣痛タクシーに飛び乗り、1人で出産。その後でこのセリフ。母は強い。


 今はスヤスヤと眠っている小さな娘。

 着替えも自分でこなして小学校に登校した上の娘も、こんな時期があったとしみじみ思う。



「明後日は……お姉ちゃんの遠足ね」


「…………え?」


 去年の娘のお弁当は、ママが頑張って作った芸術的なキャラ弁だった事を思い出す。俺は絶望した。


 俺が子どもの頃。お弁当に唐揚げが入ってないとヤダって言って、朝から揚げ物をしてくれた親父オヤジに今頃盛大な感謝を送る。




 その日、学校から帰って来た娘に、恐る恐る、遠足のお弁当はどんなのがいいか聞いてみた。



素麺そうめんが食べたい!」



 娘の言葉を聞いて、俺に別次元の悩みが浮上する。





 素麺ってお弁当でどうやって持って行くんだ?




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― 新着の感想 ―
米を炊き忘れてサンドイッチが作れるスーパーパパさんなのに,たこさんウインナーには苦戦するのか…と意外な驚きが そしてお姉ちゃんがシブいチョイスするなあと…パパさんがんばれ
パパ様の頑張りに、拍手です! 情景が浮かぶような、可愛くて素敵なお話しをありがとうございました!
楽しく拝読させていただきました。 様子が浮かんできて終始ニマニマです。 お弁当作りって大変ですけどいいですよね! 以前、一緒に出掛けた人がお弁当に素麺を持ってきました。 このお話では落ちですけど、マジ…
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