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水乙女と片づけ妖精ライローネ  作者: 三條 凛花
第3章 はじめましての再会
25/27

25.スキル穴

『落ち姫ツィスカは、贄の王子と』が完結しました!(やっと)


もしよかったらそちらも読んでもらえると喜びます♡

「何事だ!」


 伯父と父が飛び起きてスイクンのもとへ駆け込む。その剣幕に彼はぴゃっとなっていたけれど、てのひらをかざして見せた。


「ほら、見てみて! 俺のスキル、分別ダストボックス!!! こっちの世界でも出せたんだよ」


 その場にいた全員が、残念な眼差しを向ける。


 ユウコが眠たそうに目をこすりながら「ごめんね、翠くんは出会ったころからこういうところがあって」と言った。


「俺の目がうずいてるとかよくわからないことを言っていたわ」


 彼女は遠い目をし、スイクンは真っ赤になった。


「いやいや、でもさ、この能力があったらめっちゃ稼げると思わん? 超自動的に分別されるんだよ? 分別代行したら絶対儲かると思うんだよ」


「分別代行」


「そう! あ、そういえばステータスも見られるのかな?」


 スイクンが目を輝かせながら「ステータスオープン!」と言った。


 しかし、そこに書かれていたのは「分別ダストボックス」ではなかったのである。


────────────

 香西 翠

 コウザイ スイ(男/32歳)

 状態:人間

 特殊スキル:穴

 その他スキル:動画撮影、タイムマネジメント、薬膳料理、アロマ、コミュニケーション、心理学、スタイリスト、フランス料理、DIY

 魔法:適性なし

 適職:秘書

 配偶者:香西有子

────────────


「……は?」


「穴?」


 しばらく呆然としていた二人だったけれど、ややあってユウコが吹き出した。


「スキルが! 穴? 穴って」


普段はおっとりとしているユウコだったが、目尻から涙がこぼれるくらい笑い続けて、最後に「ださ」とつぶやいた。


「有子!」


 スイクンが涙目で言う。しかし、向こうにいたときと同じように、また半透明の青い板が出現したのだった。


────────────

スキル:(ホール)


説明:

2つの機能を持つスキル。


①分別ダストボックス(∞)

 亜空間にごみ箱を設置。そこにものを投げ入れると、自動的に分別・袋詰あるいは梱包され、使用者の居住地(※日本)のゴミ捨て場に送られる。

 利用は本人または家族のみ。


②異世界の扉(∞)

 異世界につながるゲートを開き、自由に行き来ができる。

 着地点は十六王国・虹の国ハルカンシェル。


 ────────────


「はは、異世界の扉だって! ほら! ださくないじゃん。めっちゃチートじゃん」


スイクンが安堵したように目をきらきらさせた。私たちは残念なものを見る目を彼に向けた。


「でも、そうね。つまり、これを使えば自由に行ったり来たりできるということ?」


 有子が目を瞬かせる。


「そう、みたいだな……」


「じゃあ、私、これからも二人に会えるの?」


 たとえ、向こうの世界に戻れたあとでも。私が尋ねると、二人は感極まったように目をうるませた。


「盛り上がっているところすまない。だが……」


「大変なことを忘れていたぞ」


「なんだよう、チーム妖精の感動のシーンだぞ」


 スイクンが文句を言うが、伯父と父は真剣だ。


「──あの女がいない」


 全員がはっとする。マイア・クレイの姿を、私たちはいつから見ていなかったのだろう。私たちの間に、緊張が走った。


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