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魔法使い

「白状しなさい!!」

「アリアナ様、その秘密にして下さるなら話ます。」

「秘密?」

「そんなに大事な話なの?」

「はい、この事がギルドに知られれば、私は冒険者を続けられなくなります。」

「えっ、そんなに大事な話なの!!」

「はい。」

「いいわ、ここだけの秘密にするわ。」

「では、お話します。私は母から生活魔法を習いました。」

「生活魔法!!凄いわ、今では、ほとんどの魔法使いが使えない魔法なのよ。」

「アリアナ様は生活魔法Lv3クリーンの魔法を知ってますか?」

「知っているわよ。クリーンポーションの元になった魔法ですもの。」

「先ほどクリーンの魔法を使ったのです。」

「ムッ、そう言えば、服もピカピカだわ。まだ魔力は残ってる!!」

「残ってます。」

「では、私達にもクリーンの魔法をお願いするわ。」

「分りました。では、そこに並んでください。」


 アストリアは詠唱した。


「ユグドラシルのフェアリー、ブラウニーに命じる。この者達を清潔にせよ、クリーン。」


 光の玉が4人の回りを駆け巡り、3分ぐらいで光は消えた。

 アリアナはバラの花の匂いがして、身体も服も剣も防具も綺麗になった。

 しかし、隣のカトリーナを見たら、顔は上気して瞳に❤が映り、下半身をもじもじさせていた。


「カトリーナ、如何したの?」

「なんでもないわ。気持ちがよすぎただけよ。」


 カトリーナはクリーンの魔法をかけられた瞬間に全身に痺れが走り、快感に下半身を濡らしたのだ。

 まだ、これがエクスタシーだとは知らなかった。


「この魔法をギルドに知られたら、私はずっとギルドで働かされるでしょう。」

「たしかに、そうね。」

「アストリア、ありがとう。」

「何か力が湧いてくる見たいだわ。これなら、明日も頑張れそうだわ。ところで、ここ虫がいないわね。虫除けポーションを使っているの?」

「いえ、虫除けポーションではありません。その水の効果です。」

「水?」

「はい、その水を周りに置いておくと、虫がよって来ません。」

「本当ね、1匹もいないわ。」

「あの水の作り方もお母様に習ったの?」

「はい、そうです。」

「あの水は、私にも作れるかしら?」

「アリアナ様には無理だと思います。」

「条件があるのね。」

「はい、そうでございます。」

「ひょっとして、あなたに身体を捧げたら作れるようになるとか言わないわよね。」

「そのような条件ではありません。」

「そうなの、もしその条件で作れるのだったら、私、身体をあなたに捧げてもいいわよ。」

「アリアナ、何言っているのよ!!」


「カトリーナ、私は本気よ。

 こいつが何処の誰であれ、こいつの能力は凄いわよ。

 カトリーナ、ニルンルート家の能力は知っているでしょう。」


「知っているわ。」

「私は兄ほどの力はないけれど使えるのよ。その私から見て、こいつの能力は凄いわ。実際は、アストリアのお母様が凄いのでしょうけどね。」



 この日は、これで話終えて翌日を迎えた。

 全員でアストリアの側に来て眠りについたのだ。

 ここまで来れば、恥じや外聞より、快適な生活の方を女性達は優先したのだ。

 ダンジョン内だったので、彼女達は分らなかったが、実際聖水の効果で、気温は一定、魔物も入って来れない聖魔法Lv6守護の聖なるサークルが発動しているのだ。


 朝食もアストリアが作った。

 母から貰った異空間収納袋も全員に説明した。

 しかしカトリーナは異空間収納袋を知っていた。

 家の家宝として、いざと言う時、当主が使うのだと教えてもらったのだ。


 3階層にはキラーイタチがいた。

 ここからは、アストリアが風魔法で魔物を浮かせ、女性4人が魔物を倒して行った。

 そのまま4階層の階段を目指した。

 1週間で戻らなくてはならないのだ。

 アリアナ達の最初の計画では、1階層、又は2階層を1週間かけてクリアしてレベルを上げると言う計画だった。

 しかしアストリアの能力を頼りに深層を目指し、レベルをより早く上げる計画に変更した。


 4階層への階段を降りて先を進んだ。

 4階層にはスモールボアがいる。

 スモールボアはアストリアが倒した。

 鉄剣なのにスーッと剣はスモールボアの首を切断した。

 3匹倒して5階層へ降りる階段へ到達した。


 みんな汗だくだくだ。


「アストリア、これから如何するの?」

「ここで野宿をします。」

「でも、魔物が襲ってくるわ。交代で見張りをするのね。2人と3人に別れて見張りに立ちましょう。」

「いえ、ここで全員で眠ります。この先はまだ長いのです。しっかり眠って体力を回復しましょう。」

「じゃあ、魔物は如何するのよ?」

「魔物は、この水がある内側へは入って来られません。」

「えっ、如何言う事よ。」

「私、知っているわ。」

「カトリーナ、何を知っているの?」

「その水は聖水と言うのよ。」



「聖水って、あの聖水なの。

 100年前の聖女アドリアナが使っていたとされる水よね。

 病に苦しむ人々を、その水で癒し、貧しい人には施しをして、村々を襲う魔物を倒し、このロームに安寧の日々をもたらした巫女だわ。」



「そう、そしてその水は、病気の人の家を魔物達から守ったのよ。昨日、虫がいなかったのは、虫が逃げ出したからではなく、虫や魔物が入って来られなかったのよ。そうでしょう、アストリア。」


「正解です、カトリーナ様。」

「その水の作り方の条件の一つは、神の声が聞こえる事よね。」

「はい、そうです。」

「もし神の声が聞えるのなら作れるの?」


「出来ると思います。

 訓練さえ出来ればですが!!

 それでは夕食に致しましょう。

 今夜はスモールボアのステーキとパン、それにスープです。」



 アストリアは生活魔法Lv4クッキングを唱えて料理を始めた。

 スモールボアのステーキを焼き始めると物凄く良い匂いが漂い始めた。

 全員のお腹が「グーーッ」と鳴った。

 しかし、もう恥ずかしがる仲間はいなかった。


「何、これ!!」

「こんなに美味しいお肉、食べたの初めてだわ。」


 アストリアは全員にクリーンの魔法をかけた。

 それから簡易のトイレを土魔法で作り、その周りに聖水を置いた。

 トイレにもクリーンの魔法をかけた。

 こうすると臭いも音も遮断出来るのだ。

 これには女性達が喜んだ。

 女性同士でも、やはり恥ずかしかったのだ。



 翌日は5階層を進んだ。

 5階層にはリトルモンキーがいた。

 体長80cm、動きは素早いが、もはやアリアナ達の敵では無かった。

 1番の敵は、時々出て来るポイズンスライムだった。

 確実に一発で倒さなければ毒にやられる。

 アリアナが考えた方法は、アストリアが風魔法で空中に浮かせ、そこを残り4人で一斉に攻撃すると言うものだった。



 6階層に進んだ。

 今はただ、下の階をめざした。

 6階層で最初に出会ったのは、ゴブリンだった。

 体長80cm、青銅の剣と木の盾を持っていた。

 女性4人で取り囲み、アリアナが一番近くでゴブリンの意識を引き付けて、盾で捌いた処をカトリーナが斬った。

 カトリーナはまだ剣術Lv1だが、刃がぶれなくなって来た。

 鋼の剣はゴブリンを5cmぐらい背中から腰まで切り裂いて倒した。


 7階層に降りる階段の前でゴブリンマジシャンと出会った。

 アストリアは腰の短剣を投げつけた。

 それを見たアリアナ達は驚いた。

 30mぐらい先のゴブリンマジシャンに短剣が飛んで行き、ゴブリンマジシャンを貫いてアストリアの元へ戻って、腰のホルダーにストンッと納まったのだ。


 アリアナは、もう驚いてもアストリアに質問しなかった。

 アストリアのやる事が自分達の知らない事ばかりだと思い知ったからだ。


 7階層に進んだ。

 7階層ではリトルホーンと戦った。

 リトルホーンは体長80cmの子山羊だが、飛び回って攻撃してくる。

 しかしアリアナはレベル20になった。

 カトリーナはレベル15、

 ナタリはレベル15、

 アナリーゼはレベル17だ。


 危なげなくリトルホーンを倒して、8階層へ進んだ。

 ここで1泊する事にした。

 ここまで3泊しただけで到達したのだ。

 7階層から降りた階段の前に、聖水を置いて食事をした。

 左側をトイレにして、右側で食事を取り、眠りについた。



 翌日8階層を進んだ。

 8階層でウルフと出会った。

 ウルフは体長1.5m。

 レベル20のアリアナでもウルフを倒すのを苦戦した。

 分厚い毛皮に鉄剣が入っていかないのだった。

 アリアナは盾でウルフをいなして突きを放って倒したのだ。


 ここからはカトリーナだけ優先してレベルを上げる事は難しくなった。

 ここでも女性4人でウルフを取り囲んで、ウルフの攻撃を盾でいなして、全員で剣で突いて倒して行った。


 今日は1日でやっと9階層へ降りる階段まで到達出来ただけだった。

 ここでアストリア達は1泊した。


「アリアナ様。」

「何、アストリア。」

「はい、アリアナ様、9階層にはリトルダイナソーが>>>>。」


「ちょっと待って、その様付けはいらないわ。あなたもわたしをアリアナと呼んでくれない。

 ここまで来れば、生きるも死ぬも一緒よ。」



「わかりました。ではアリアナ。」

「何、アストリア。」

「9階層にはリトルダイナソーがいます。」

「知っているわ。」

「鉄剣では負けてしまいます。引き返しますか?」

「アストリア、あなたは如何おもうの?」

「今回は10階層のボスを倒して、10階層のダンジョンドアを使えるようにしたいと思います。」

「それで、如何するのよ?」

「ここに3本の剣があります。」


 アストリアは異空間収納袋から斬鉄剣改と和音の剣、そしてドルモアの剣を取り出した。


「えっ、それ家の家宝じゃない!!」

「私も見た事あるわ。その黒光りした中に白く輝く粒が発光したように見える剣よ。名前は確かザンテツケンカイと言うのよ。」

「では、これはアリアナ様が、もといアリアナが使って下さい。こっちの剣はアナリーゼ様が使ってください。」

「私もアナリーゼと呼んでください。」

「分りました。」

「わたくしもカトリーナと呼んでください。」

「私もナタリでお願いします。」

「分りました。」

「アストリアは如何するの?」

「私はこの鉄剣で大丈夫です。では、最後の剣はナタリが使って下さい。」

「あっ、これドルモアの剣だわ。兄が使っている剣だわ。」

「アストリア、鉄剣ではリトルダイナソーの硬い皮膚は斬れないわよ。」

「では見ていてください。」


 アストリアは結界から出てウルフと戦った。

 アストリアが結界から出ると、ウルフは直ぐ飛び掛って来た。

 アストリアは鉄剣を横に一閃した。

 ウルフの身体は真横に切り裂かれた。

 横に一刀両断したのだ。


「今、どうやった?私も出来るようになれる?」

「なれると思います。訓練次第でなれると思います。」

「アストリア。」

「何でしょうか、アナリーゼ。」

「それ魔法剣じゃないの!!」

「正解です。」

「やっぱり、私の先祖が剣鬼姫、ユリア様から習った剣だわ。風魔法を剣に纏わせて、硬い物でも切り倒す魔剣だわ。」

「その魔剣は誰に習ったの?いや、いいわ、お母様に習ったのよね。」

「はい、母から教わりました。」

「アストリア、カトリーナは如何するの?」

「カトリーナ様、いや違う、カトリーナには、この短剣を使ってもらいます。」


「いや、アストリア、さすがにカトリーナでは30m先の魔物に短剣を投げて当てるなんて出来ないわよ。

 まして戻ってこさせるなんて、あなたしか出来ないわ。」



「アリアナ、私でもそんな事出来ませんよ。」

「えっ、でもさっきゴブリンマジシャンを倒していたわ。」

「あれは、この短剣が自分でやった事です。」

「何、バカな事、言っているのよ。」

「では、実際やって見ましょう。」

「カトリーナ、少し身体に触れてもいいですか?」

「何をなさるのですか?」



 カトリーナは真っ赤になった。


「ちょっと待って。私の身体を触らせてあげるわ。おっぱいを触りたいの?」

「違いますよ!!このベルトを取り付けるのです。」

「それくらい、カトリーナ自身で出来るわよ。ベルトを貸しなさい。」


 アストリアはベルトを外してアリアナに渡した。


「カトリーナ、着けてみて。」

「このベルト、留め金が無いわ。」

「あら、本当ね。アストリア、留め金は何処にあるの?」

「アリアナ、そのベルトに留め金は無いよ。」

「じゃあ、如何して留めるのよ。」

「ベルトに魔力を流すと、丁度良い処で留まるようになっているよ。」

「魔力を流すのね。」

「はい、そうです。」

「じゃあ、流しなさいよ。」

「カトリーナ、少し身体に触れますよ。」


 アストリアは自分の魔力を少し流した。

 10MPぐらいだ。

 するとベルトはキュッキュッとカトリーナの腰の大きさを測り、カチリッと磁石でくっつくように留まった。

 その瞬間にカトリーナはエクスタシーに落ちて意識をなくした。

 アストリアはヒールをカトリーナにかけた。

 カトリーナは暫らくして、意識を戻した。



「1号。」

「はい、アストリア様。」

「8階層で残っている魔物達を殲滅出来るか?」

「はい、可能です。」

「では、やってくれ。」

「アストリア!!」

「何です、アリアナ。」

「あなたには色々驚かされて来たけれど、その短剣しゃべれるの?」

「1号はしゃべれますよ。」

「1号って、その短剣の名前なの!!」

「はい、そうです。カトリーナ、その短剣を投げて見て下さい。その際、8階層のウルフや、その他の魔物達を倒す事を考えながら投げて見て下さい。」


 カトリーナは短剣を投げた。

 3m先ぐらいに落ちようとしたが、短剣は空中に浮いていた。

 そして徐々に加速してダンジョンの中に消えた。




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