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双りが舞う時  作者: 柚希
2/14

母親が入院した。

父親は忙しい仕事の合間をぬって母親の見舞いや面倒を見ている。

初めは娘である未来(みらい)も母親の面倒を見るつもりだったが、父親から娘にヤングケアラーのような真似事はさせたくないと言われて諦めた。

本来なら母親が入院したからといって、もう幼子でもない年齢の未来はそのまま家で生活するはずだったのだが、家を空けることが多い過保護ぎみな父親が心配して、夏休みの間だけ母方の祖父母の家で過ごすことになった。


まあ、大人の事情が色々あるのだろうということは、なんとなく未来も気づいていた。


そうして今、未来は母親の実家がある双星村(そうせいむら)へとやってきていた。


新幹線を乗り継ぎ、バスに暫く揺られ、そこから数十分歩いた未来の額には、うっすらと汗が滲んでいる。

幼い頃に一度来たことがあるそうだが、未来は覚えていない。

まさかここまで交通の便が悪い山奥にあるとは思わなかったし、都会よりも田舎の方が涼しいと思っていただけに、ガッツリ体力を奪われた。


アスファルトの照り返しが幾分ましなだけで、真夏の驚異は変わらない。

むしろ晴れているというのにどこかじっとりと湿った重い空気に、妙に体力が削られるような気さえする。


長い坂を登り、漸く民家が見えてくる。

そこで未来は思わずスマートフォンの地図を見返した。


「え、ここ? いや、ていうか入り口どこ?」


壁が連なり、どうやらその奥に建物があるようだが、いかんせんこの門壁が長い。


「え、これどこまで続いてるの?」


都会の一般的な家庭で生活していた未来は、その広さに目をむいた。

確かに星宮(ほしみや)本家の家だから少し大きい家だと父親から聞いてはいたが、そもそも本家などと言われてもいまいちピンとこなかった未来は、それを聞き流していた。


やっと門扉の前まで辿り着いた未来は、思わず呟いた。


「いや、お屋敷か!」

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