仲間2
投稿遅くなりました
冒険者ギルドに着くなりクエストの確認をした。
ちなみにベレスは俺の隣でかなりイライラしている。
さっき話して知ったことだけど、ベレスは元々この街唯一のAランク冒険者だったらしく、街の切り札的存在だったのだとか。
そんなこともあってかギルドでは俺がベレスはに勝ったことの噂がもう広まっている。
「おい、あいつベレスに勝ったらしいぞ」
「どうせ武器の性能だよりなんだろ」
「いや、きっと上手く手懐けたんだろう」
と言いたい放題だ。
ベレスのイライラの原因は多分噂だと思うが、噂をしている本人達の所に行ってもややこしくなるだけなので、あえて放置しているんだと思う。
クエストの掲示板を見てベレスがいきなり俺に質問をしてきた。
「おい、お前ダンジョンとか行ったことあるのか?」
「いや、行ったことないね」
それを聞いてベレスは
「じゃあ、ダンジョン行こうぜ」
と笑いながら言ったきた。
普通行ったことあるから行こうとなると思うのだか…。
「うん、じゃあ手続きしないとだね」
ベレスが手続きをしに行くととマリナが俺の視界に写った。
視線は俺の隣にいるベレスに向けられており俺に気づくとすぐに視線を逸らした。
しばらくの間、違うところを見ていたが、やがて何かを諦めたのかこっちに向かって歩いてきた。
「ベレス、あんたまさかパーティー組んだの?」
まさかとはなんだ、まさかとは。
俺嫌われているのかな。
「色々あったんだよ。色々」
「ふーん、あんたがパーティーって意外ね。何かあったの?」
あ、俺に問題があるんじゃなくてパーティー自体の問題ね。
「う、うるせぇ。何もないって言ってるだろ」
さっき色々あったって言っていたよな。
「そう、それならいいや」
というか俺完全に空気だ。
2人で会話進めている。
「あ、あの──」
「パーティーメンバーはあんた?はぁ…。ベレスが何かやらかすかもしれないし私も入るよ」
かなり強引だな。
それも昨日と態度が全然違う。
もしかしてベレスが好きなのか…?
「は、はい。俺はカイ・ナカタニと言います。よろしくお願いします」
「敬語はいい。私はマリナ・カイデルという。よろしく」
かなり謎な形で3人目のパーティー介入が決まった。
マリナ以外は初めてのパーティーということでパーティーについての説明を受けた。
戦闘能力の平均的なランクをパーティーのランクとする。
これには例外があってパーティー内のランクの差があまりにもあると低ランクの人が足を引っ張る可能性があるのでランク差が3以上空いているパーティーは、パーティーの平均的なランクマイナス1をパーティーランクとするらしい。
ちなみに俺のパーティーランクはBランク後半辺りだ。
マリナがBランクだったらしい。
持っている武器の傷や性能などを考えるにもっと高いランクの高い人かと思った。
ダンジョンへ行く前に各々準備をして待ち合わせ場所へ向かった。
ちなみに俺がもし負傷したら負傷の度合いによって自分を癒せないので魔道具店で回復薬を買った。
待ち合わせ場所に着くと2人とも到着していた。
「それじゃ行こうか」
マリナは全員が来たことを確認すると先陣を切ってダンジョンに入っていく。
ダンジョンに入っていくと薄暗く、暗視のポーションを買っておけばと後悔した。
…………………………………。
無言の空間。
2人は元々知り合いなんだろうし何か話せばいいのに…。
「2人とも薄暗くない?」
「ダンジョンなんてこんなもんだろ。そういやお前魔道士なんだろ。そんなに暗いのが嫌ならその辺の木の枝にでも火をつければいいだろ」
と言ってくれた。
「ファイア」
言われた通りその辺に落ちている枝に火をつける。
かなり明るくなって足元も見やすくなった。
「火に文句がある訳じゃないけど、その代わりモンスターもよってくるわけだし、討伐するモンスターが増えることになる。大丈夫なのか?」
マリナは心配した顔で言ってきた。
「そんなのどうにでもなるだろ」
「マリナの実力は見たことないけど、ベレスはかなり強かったもんな」
そういうと2人とも嫌そうな顔をしている。
「お前に言われるとイライラするなァ」
「あなたがどれだけ強いか分からないけど、そこそこの力はあるつもりよ」
「なんかすいません」
何だこの会話。
本当にパーティーなのか?
「そういえばさっきからモンスター全く来ないじゃない。ダンジョンの中で何かあったのか?」
「そういやモンスターいねェな」
「あの、もし戦いたいとかそういう願望があるなら呼べますよ」
「「あなた・お前、何言ってんの」」
そんな目で見ないでくれますかね。
嘘じゃないよ…魔導書の応用編の知識によれば…。
「今日知ったんだけどモンスターって強い魔力につられたりするらしいんだ。俺は魔道士だからその辺に魔力を集めればその内よってくると思うんだけど」
流石に強すぎると本能的に危険だと分かりよってこないらしいが。
「……。なんか嫌な予感がするから遠慮しとくぞ」
「俺もその意見に賛成だ」
どうやら2人とも戦闘がしたかった訳ではないらしい。
あくまでも素材を取りに来たわけだしな…。
わざわざペースを早くする必要はない。
でも時すでに遅し。
「なんと言っていいのか分かりませんが…もうやっちゃいました」
「ガァルルルル」
俺が発言した瞬間狼型モンスターの群れがこっちに向かってきた。
その瞬間マリナは剣を抜き、切りにかかる。
ベレスは走り
「ファイア!」
といい拳に火を灯して狼を手当り次第殴っている。
俺は呆気に取られていると状況を思い出す。
ダンジョンで水系統の魔法を使っても後々めんどくさい。
というか手加減の具合が分からないから普通に危ない。
どの魔法を使うか考えるとまだ氷属性の魔法を使ってないことに気づく。
「よし!アイシクル・フリーズ!」
といい周りにいた狼の大半を氷漬けにした。
ちなみにマリナとベレスの近くは、制御が半端な俺じゃ巻き込む可能性が高いのでやめておいた。
「おい!ぼさっとしてねぇーでそっちが片付いたら支援魔法かけろ!」
「分かった。メサイア!」
支援魔法をかけるとベレスの体が淡く光った。
支援魔法をかけた証なのだろう。
「マリナは支援魔法必要か!?」
そう問いながら後ろを振り向くとモンスターは一掃されていた。
「相変わらずの強さだな」
ベレスの方も終わったようだ。
意外なことにベレスが褒めている。
確かにとてもBランクの人間とは思えない。
「あなた何やってるの!?モンスターを呼び寄せるとか馬鹿じゃないの!?」
馬鹿扱いされてしまった…悲しい。
「戦いたいかな…と思、い、ま、し…」
「ベレスよりもこっちの方が心配だったか…」
それを聞いたベレスは不満そうな顔をしている。
「おい!オレをこのヒョロヒョロの比較対象にするんじゃねェ!」
「あなたはあなたで心配なの!その辺を過去と照らし合わせてよく考えなさい!」
マリナはベレスにそう言うと俺に的を変え
「カイだったか?モンスターを呼び寄せるなんて真似はしないでくれ。私たちだって好きで戦っているわけじゃないんだ」
「分かった」
そう言いすぐさま狼の素材回収へと向かい狼を回収する。
確かこれ皮がいい値で売れたはずだ。
早速回収していると、マリナは呆れたという顔をしてこっちを見ている。
「さっさと進むぞ!」
それからダンジョンの奥へと進み続けた。
途中モンスターに会うことは度々あったが異常なまでに少なく、会うのはどれもそこそこ強いモンスターばかりだ。
「なぁ?モンスターの数といい、強さといいダンジョンってこんななのか?」
「普通のダンジョンはこうじゃねぇよ。ダンジョンってのモンスターってのは主から出てくる魔力によって生み出されるんだ。魔力の強さによって生まれるモンスターの強さがちがう。主は最下層にいるから、階層ごとに強さが少しずつ違うんだ。生み出されたら弱肉強食の世界でも階層ごとに生態系が出来上がっているから強さのバランスが取れている。でもこんなに浅いとこまでこれぐらいのモンスターが出てくるってことは何かあったてことだ」
「てことはダンジョンの生態系が崩れかけているったこと?」
「ああ、その可能性が高い」
ベレスの予想にマリナと俺は驚愕した。
「それじゃあ尚更ここのダンジョンについても調べなきゃいけないな。カイは探知系のスキルとか魔法を使える?」
探知系の魔法は魔導書になっていないため持っていない。
ないことはないのだか、どうしたものか…。
腕を組んでいるとマリナが微妙な顔をしている
「貴方、仮にもAランク魔導師よね?スキルはともかく探索系魔法使えなかったりする?」
眉をピクピクさせながらこっちを見ている。
ベレスも、もしかして使えないのかというびっくりした顔をしている。
多分この反応を見るにAランクだったら探知系魔法が使えるのは当たり前なのだろう。
というか探知系魔法とかかなり最初の方で漫画の主人公も持っていたような…。
「魔法は使えないんだけど相手の魔力を頼りに探し出すというのは出来なくはないよ。ちなみに誰をさがすの?」
「私の予想はダンジョン主に何かあったと思う。ちなみにダンジョンは様々な素材をもたらしてくれているからダンジョン主を殺すのは重罪だ。まあ、どうしても生かしておけない理由があって、公認での討伐となれば大丈夫なのだかな」
「じゃあ、ダンジョン主を探せばいいと?」
それを聞いたベレスは口を開く。
「それよりもオレはダンジョンに入った誰かが長時間にかけて生態系を荒らしているって考える方が合理的だと思うぜ。ダンジョン主がよく分からない理由で弱っているよりもそっちの方が現実的だしよ」
「確かにその可能性もある…」
俺からしたらダンジョンに潜ってわざわざ生態系を荒らすとか馬鹿にしか感じないが…。
でも素材を死にもぐるいで集めて金を稼ぐ人だっているかもしれない。
「んー、じゃあとにかく強いひとを探せばいいってわけね」
ベレスとマリナも頷いている。
目を瞑り周囲の魔力に意識を傾ける。
この階層には特に目立ってつよい奴はいない。
他の階層へと意識をむける。
「っ!いた!23階層にとびきり強いのが1人と、普通の人が1人!」
それを聞いた瞬間ベレスとマリナは走って23階層へ行った。
「急ぎましょう!確かここは25階層で終わりだ。もしダンジョン主を狙っていたら大変だ」
「んっな事わかっている!」
「ちなみに強いのは単純に魔力が俺と同じくらいでさっきは普通って言ったがそれはあくまで魔力が一般レベルってだけだ!マリナやベレスみたいに前衛の可能性は全然あるからな!」
俺の報告を聞いた2人は顔を引き攣らせている。