初クエスト・女神サミン
改稿するかもしれませんが話の内容は変える予定はありません
俺はクエストを受けるため、またギルドに入った。
入ると同時に騒がしかった様子が変わり静かになる。
そしてすごい周囲の視線が気になる…そりゃ不吉と呼ばれてた男が冒険者登録して出ていったかと思えば、すぐ帰ってきたもんな。
そりゃそうなるわ。
レオンやさっきの受付のお姉さんまでこっち見てる。
その視線はやめてくれ…悲しくなってくる。
とりあえずクエストの掲示板を見ないことには始まらない。
さてどんなクエストを受けたものか…。
さっきのギルドお姉さん言うには今の俺はAランク相当の強さがあるらしい。
だか、実際はFランクスタートだ。
クエストごとにランクが設定してあって自分のランクプラス1のクエストしか受けれない決まりがある。
そのため今の俺は出来ることには限りがある。
しかし全てのクエストがそういう訳ではなく、ランクフリーのクエストもある。
そしてランクの大雑把な説明は全員Fランクスタートで最終的にはSランクまである。
ランクアップの条件は期限以内に特定のポインを集めればいい。
ポイントはクエストで集めるが、クエストを失敗するとポイントをマイナスにされるか、それ相応のお金を払う。
Fランクは5ヶ月以内に200ポイントだったか…。
俺なら問題はないがかなりの難易度だし大体の人は、少なく見積もっても1年以上はかかるんだろうな…。
俺的にはさっさとランクをあげたい。
お金が沢山貰えて、短時間で終わり、尚且つポイントも沢山手に入る物が理想だ。
自分でもびっくりするぐらい欲望に忠実な理想だな…。
そうなるとなかなか冒険者が手をつけないようなクエストがいいよな。
人気のないようなクエストか……お、このクエストなんかいいんじゃないか?
暗部の本拠地に乗り込むランクフリーのクエスト。
そしてそこにいる奴を拘束してギルドに引き渡す…。
本来ならある程度ランクが上がった者がやるクエストだが、魔物と戦ったときのドロップアイテムなどを考えるとあまりおいしいクエストではないのだろう。
魔物と戦って素材を売った方が良さそうだもんね。
多分そういった理由から人気がないと思われる。
ポイントは捕まえた人数×2ポイントか。
正直最高でもEランクのクエストしか出来ない俺にとってかなりおいしい。
俺はこのクエストを受けることにした。
ギルドのお姉さんから貰った地図を頼りに暗部の本拠地へと目指す。
何も疑問に思わなかったがよく考えるとこれ、普通に暗部の人がいたら暗部の情報力無さすぎない?
それともギルドの情報力がすごいだけ?
でもいないと俺の今日の飯や宿がなくなっちゃうからいた方がいいんだけどね…。
このままだと武器や武具を買うのをいつになるか分からないしどうせ買うならいいやつを買いたい。
そうなると買えるのは当分先になりそうだ。
おっと、そんなこと考えているうちに着いちゃったね。
周りは静まり返っていて無機質な作りの建物がある。
多分ここが奴らの本拠地だろう…。
おし、ここは派手に乗り込もう!
足で目の前にあるドアを蹴る。
バタン、と言う音がしてドアが倒れた。
中は真っ暗で地下に続く階段がある。
俺的には目の前に暗部の人がいて、俺を強そうに見せるためにしたのに誰もいないとかなり恥ずかしい…。
これも全部あいつらのせいにしてさっさと捕まえよう。
カッ、カッ、カッ
階段を降りていく俺の足跡だけが聞こえる。
階段はすごく長く、これが暗部の本拠地って分かったギルド職員の情報力の凄さが分かる。
しばらく下り続けるとそこには一人の男がいた。
「こんなとこにどうしたんですか?」
男は優しそうな口調で話しかけてくる。
だがその男は手に黒いクナイを持っている。
暗闇で見えないようにするためかクナイが黒いが、これだけ長い階段を下りたんだ、全然見えるぞ…怪しい男よ。
黙っている俺を見て男は不審に思ったのかクナイを投げつけた。
だが、そのなものいかに狭い通路でも俺には当たらない。
そのままクナイを避け、男を殴った。
魔法は?って知らないね。
そもそも俺は杖を持っていない訳だし使い方も分からない。
そもそも杖が必要なのかも分からないけど。
俺のステータスは優秀なのだ。
ギルドのお姉さんからも言われてただけのことはあり、魔法の使い方がわかるまで素手で行くのが俺だ。
だか、男も暗部という伊達ではない職業だ。
俺はもう一度隙を伺い男を本気で殴った。
男は吹っ飛び階段を段々に落ちていった。
今度はやりすぎたようで口から血を出し倒れた。
待って…死んでないよね流石に…。
死んだらクエスト失敗だぞ…いや相手は腐っても暗部、大丈夫だろう。
俺はその男の先に進んだ。
ちなみに男は気絶したし今は無害ということで放置する。
男を倒してからしばらくの間階段を下りると、ようやく階段が終わった。
そこには黒く、所々血の跡がついたドアがある。
サビの臭いがする。
「うわっ」
思わず声が出てしまった。
もう少し周りを警戒するなり、緊張するなりしようぜ…俺…。
よし今度は普通に開けよう…。
よく考えたら俺の方に視線が集まってもいいことないしな…。
ゆっくりと目の前のドアを開けた。
すると中にいた者の視線は俺のところに一気に集まった。
はい、そうですよね…知ってました。
というかさっきの音がして警戒するのも当たり前か。
「お前どうやってここに…!俺たちのボスがさっき出ていったばっかりだ!なのにどうやたってきた!」
「いや、そもそもどうしてここが!」
と暗部の連中は言っている。
てか、さっきのボスだったんだ。
弱すぎだろ…。
それに、その情報収集力でよく今まで捕まらずに入れたな…。
色々とツッコミどころがあるんだが…とりあえずここは挨拶だろう。
「やあ、 俺は冒険者をやっている者だ。貴様らのボスならもう倒したよ」
と冒険者カードを見せながら言った。
少しナルシストみたいになったな。
すると
「あははははは!みんな見てみろよあのカード!」
「ああ、Fランクだぜ!」
「あんなんでよく、ボスを倒したと言えたものだ!きっとボスとは入れ違いかなんかだ!こいつを捕まえてどこの情報からここを突き止めたか吐かせるぞ!」
と言いながらそこにいる人達は俺に攻撃を仕掛けてきた。
うん、すごい。
信じる気が微塵も感じないね!
そして自分の勝ちを確信してるよあの顔。
しかも走ってくる時の隙が多い。
本当に暗部かこいつら。
まあ、いい。
早く終わらせたかったので全速力で走りながら拳を振りかざした。
次の瞬間取りこぼし以外倒れた。
あれ?
俺的には全員倒したつもりだがそうはいかなかったらしい。
「お…お前は…何者なんだ…!」
声をあげた者は小刻みに震えながら声を発した。
他の者は恐怖で声も出せそうにない者や逃げようとする者までいる。
そりゃそうよな、Fランク冒険者だと舐めてたやつがこんな一瞬でほとんどの人を倒したのだ。
だが俺は早く帰って宿を探さなければならない。
のんびりしている暇なんてない。
残りの人たちも素早く拳を振りかざした。
残りの人達はそれに反応出来ずにあっさりと倒れた。
元々何も無かったかのように…。
待ってよく考えたらこれどうしよう。
達成条件は暗部の引渡しだったはず。
こんな数の人持ち上げられたとしても、あの通路は通らない。
そういえば漫画とかで見る主人公はアイテムボックスやら、収納系スキルを持っているな。
『スキル収納を取得しました』
ん!?どうした俺の耳!なんか聞こえたんだが…。
まあいい、幻聴でも困ることはないんだしね。
とりあえず、信じるだけ信じるか。
「スキル収納」
と言った。
なんか正面に空間みたいなのの入口が出た。
失敗した時はした時、とりあえず入れよう!
1番近くにいる人から順に入れていく。
終わったらどうやったらこれ閉じるるんだという考えに至った。
改めて思うけどこういうの使ってる漫画とかの主人公、初見で使い方分かるのすげぇな…確かスキルは意識でどうにかなるんだっけ?
無くなるのを意識したら嫌な予感がするし、目に見えないように縮めるのを意識しても嫌な予感がする。
扉を閉めるように意識をすればどうなるのだろう?
とにかく実践にこしたことは無いのでやってみる。
異空間がみるみるうちに閉じていく。
おお!いい感じ!…なのか?
考えても仕方ないよね!うん!それじゃ帰るか!
冒険者ギルドに着きこれから報告だ。
「スキル、収納」
中の人を手探りで探し、受付のお姉さんの前に差し出す。
お姉さんはかなり引いていた。
多分理由は気絶はしているが拘束していない件についてだろう。
「そ、それではこれで初クエスト達成です。人数は24人ですので48ポイント加算で、報酬はこちらになります」
と受付のお姉さんは笑顔を作りながらお金を渡してきた。
ちなみにお金は暗部の本拠地にいる人を全滅させたことで5000サミンらしい。
いや、お金の単位可愛いかよ!?
どれだけの価値があるのかと聞いたら上等な宿で3泊、冒険者が泊まるような普通の宿なら1ヶ月は泊まることが出来るらしい。
武器買えんじゃん!?今日どころかしばらく宿も泊まれるじゃん!?
とりあえず宿を探さないとだな…どこに泊まろう。
「あの、もし泊まる宿がないのでしたらギルドが運営している宿があるので値段もお手頃ですし、そちらに泊まりませんか?」
マジすか!?
てか、もしかしてお姉さんさんエスパーだったりする!?
「ギルドって色んなことしているんですね。そうですね、しばらくの間泊まらせてもらいます」
「分かりました!では…あ!マリナさん!こちらに来てください!」
明るい掛け声を聞きやってきたのは騎士らしき見た目をした17ぐらいの女性だ。
腰まで伸ばした金髪の女性はとても綺麗でまさしく「美」という字がお似合いだった。
彼女、マリナは俺を見て
「ちょっと!なんで貴方がこんな災厄と一緒にいるのよ!?」
と失礼なことを…。
てか、災厄ってクエストに言っている間になんて二つ名をつけられたものだ…。
まさしく厨二病じゃねぇか…。
「ちょっとマリナさん!この方はカイさんと言って新人冒険者なんです!そんなに強く当たらないでください!」
と言っている。
天使だ…。
マリナはそれを聞き、もういいやという顔を浮かべ
「それでなんか用?」
と言った。
「こちらのカイさんがギルドの宿に泊まるらしいので案内をお願いしたいんですけど」
「はぁ…。ちっ。こっちだ」
と案内してくれた。
あたりは強いが意外と優しい。
着いて行くと途中で
「お前、あいつに何もしていないよな」
とマリナは言ってきた。
睨むように言ってきたしこれほぼ脅しですよね!?
「な、なんにもしてませんよ。やだな。はははは」
と返したがまだ睨まれている。
「ほんとか、まあいいそれ以上は問うつもりはない」
そんなこと言いながらも俺を警戒している感じがした。
俺何かしたっけ?
「ここがギルドの宿だ」
どうやらいつの間にか着いていたらしい。
「ご案内ありがとうございます!」
といい俺はその場を後にした。
ギルドか運営する宿は日本のホテルには劣るがそれでもいいものだった。
カプセルホテルみたいな感じで安いのにも納得だ。
お風呂は別料金が発生するが銭湯があるらしい。
日本人の俺にとっては多少値が張ってもかなり助かる。
ホテルに入り布団の中身や荷物を生理した。
と言っても整理するようなものなんてないんですけどね…。
強いて言うなら暗部で盗んおっと…お借りしてきたクナイぐらいだ。
《私は神サミンよ。君を転生させた女神の1人》
いきなり声が聞こえた!?しかも女神を自称する人の声が!?いや、待てよここのお金の単位がサミンだったからなりすましか…。
辺りを見渡したが誰もいない。
《念じてみるんの。そしたら話せるわ》
「?、こうか?なんて気のせいだよな!?」
《そうそう。出来てるじゃない》
「ん、ん!?え、待って本物の、女神!?」
《そうよ、私はあなたを転生させた本物の女神よ!》
「ちょっと待ってください今俺を転生させたって言っていたよね!?」
《うん、なんなら貴方を刺したのも私の部下の天使だしね》
衝撃な事実が発覚したぞ。
こいつ部下に何させてんだよ。
「ちょっと待て今なんて言ったか?あぁ?」
《だから、私の部下がお前を殺したって言ってんのよ》
こいつ声はすごく可愛いのに性格やばいな…。
《何を困惑してるんの?ここは異世界で君が来たかった世界よ》
「と、とりあえず黙って聞いとくから話を進めて」
《貴方、天界から見てたけど随分他の人と女神である私の態度が違い過ぎじゃない?だいたいさ私は女神様で──》
「話が進まないから早くしろ!」
《はい。こほん、それじゃあ話すね。君はとある漫画の知識大会で優勝したでしよ?その漫画はこの世界をモチーフにして作らせたのよ。そしてその知識大会で優勝したから、君をこの世界に転生させたわ》
作らせたとか言ってるし…。
てか優勝したって言ってもとりあえず漫画好きで集まってやった配信での大会なんだが…適当にも程があるだろ。
「俺の合意もなしでか?」
《それなら大会の優勝者への質問で死んでこの世界に転生するとしたらする?って質問があったでしょう?それが転生の合意よ》
「………」
《おっと何も言えなくなったようね》
「ちょっといいか?なんでお前の部下は最初に俺じゃなく俺の同級生を殺そうとした」
《それは簡単よ、私の部下が罪悪感を抱かないよう戦闘狂っぽい子に殺させたもの》
つまりこの女神の部下は戦闘狂っぽくて、俺以外にも殺そうとしたのか。
それで途中で任務を思い出したってところかな?
威張ったように言うが、言っていることはかなりやばい。
おっちょこちょいとかじゃ済まされないぞこれ。
絶対駄女神じゃねぇか。
「あと1ついいか。さっき俺を転生させた女神の1人って言っていたがお前以外にもいるんだよな」
《そうよ、でもみんな転生させるだけでも魔力がすごく消耗するのに、特典とかつけまくったからもう魔力が残ってないのよね》
「もしかしてそれって毎年1度、下界に降りてくる女神達のことか?」
《そうよ、でも今年はあなたを対魔王用兵器として送り込んだからもう力は残ってないわ!だから貴方が代わりに頑張るのよ!》
意味がわからない。
確かに行きたかったよ…異世界。
でもあれ出てくる女神は綺麗で主人公はイケメンだったよ。
仲間にも恵まれていたし…どう考えても詐欺だ…。
俺ここに来て1日もたたないうちに災厄とか言われたよ…。
こうなったらダメ元でも願いを聞いてもらおう!
「じゃあ1つ願いがある。俺が望む転生特典をつけてくれ」
《………。いいわ。まだ少し魔力も残っているし私も渡したい物があったからね》
よし!そうでなくちゃ。
最初の間が気になるが…。
「では、俺をイケメンにしてくれ。出来ればいきなりイケメンになったら色々困るから、これからなる俺の顔を今までの記憶と変えれるんだったら今まで会ったことのある人のもよろしくな!」
《うっわ…すごい欲望に忠実だよの人》
「うるさい!」
《仕方ないわね。わかったわ。朝起きていたら顔が変わるようにしておく。さて私が渡したかったものとは貴方の世界にsi○iという物があるでしょ。貴方の脳内で自由に使えるようにしとくから。あとは解析スキルが欲しいんじゃない?si○iが応えられるのはあっちの世界のものだけだもの。でもかなり質問の幅を増やしたり普通に話せるようにもしといたわ!これがあるだけでここの生活は便利になると思うわ》
異世界でSi○iか…雰囲気ぶち壊しだな…。
まぁ、あるに越したことはないし、いいか。
「ありがとう。これなら頑張れると思うよ!」
《それでは。貴方に素晴らしい出来事が訪れますように!》
最初のせいで印象最悪だったがいい女神じゃないか…。
お金の単位になるぐらいだし実はかなりすごい女神だったり!?
スキルもくれたしいい女神なのかも…!
さてさて、それではステータスを見るとしよう。
ステータスを見ると見慣れない文字があった。
それは、称号のところに勇者と書いてある。
ん、ん!?なにがあった?
『称号勇者は、女神サミンが与えたものだと推測します』
ん!?解析スキルってそういう解析もできるの!?
しかもスキルの欄にSi○iあるし…si○iってスキルなのね!
みんなに見られた時どう説明しよう…。
あ、見せる相手いないわ…つら…。