僕のいい人の仮面を外せば僕はただの殺人犯。
僕は、何時も“イイ人”を演じている。
僕が幼い頃から、ずっとその仮面は本当の僕を隠す大事なアイテムなんだよ。
___僕の心にモヤモヤと黒いモノを感じたのは?
まだ僕が、小学一年生になったばかりの時に夏の出店で金魚すくいをして
取ってきた金魚を家で飼い始めた時だったんだ。
___僕は、金魚を大事に大事にお世話をしていたんだよ。
その時、金魚に名前まで付けてね!
『___ねえねえ、ママ? 聞いて! 金魚に名前を付けたんだよ!』
『___えぇ!? 金魚に名前を付けたの? なんて名前を付けたの?』
『サンとポーだよ!』
『___えぇ!? サンとポー?』
『___僕、散歩が好きだから、金魚にもその名前を付けたの!』
『___そう、ちゃんと弘人がこれからも金魚のお世話をするのよ。』
『___うん! 分かった!』
『___弘人はいい子ね!』
『___うん!』
___僕はママにそう言われて、ニコッと笑っていたけど?
ママの僕に言う、あの言葉が大嫌いだったんだ!
【___弘人はいい子ね!】
口癖のように、何かあると? ママは僕にこう言う。
弘人はいい子ね! あなたが私の息子でよかったわ!
僕の心の中では、、、それがプレッシャーになってて。
ずっと僕を苦しめていたんだよ。
・・・ママは、僕の気持ちなんか?
___何一つ分かっちゃいないんだってね!
*
___でもね?
僕のパパは違ったんだよ。
パパは、ママの反対の事を僕に言うんだ!
お前は、何にもできないどうしようもない息子だ!
そんなお前は、本当に俺の子か? 本当はアイツが外で
作った別の男の子供じゃないのかってね!
___パパは、僕がパパに似ていない事にずっと疑問を感じていたらしい。
だから、僕の事が嫌いだったんだよ。
___同じ屋根の下で住んでいるのに、、、?
僕のパパは? 僕の顔を見ても何も言わないし、話しかけもしない!
僕に全く興味がないのがよく分かったよ。
・・・僕は、この家で誰にも愛されてなんかいないんだってね!
___だけど不思議だよね?
他の人からしたら? 僕の家族を羨む人もいるんだよ。
『___あら~ステキな家族ねぇ~弘人君はこんなに優しいパパとママ
がいて、幸せよねぇ~』
・・・だって! 笑わせることを言うよね。
*
___僕はこうして、誰にもバレる事なく着実にイイ人の仮面を付けて。
本当の僕を出さずに成長してきたんだよ。
___僕が21歳になった時には?
僕のずっと抑えていた衝動が噴き出そうになってきて。
遂にね! 僕が大学で付き合っていた彼女を殺してしまったんだ!
僕は彼女を、何度も何度もナイフで刺したんだ。
彼女の血が噴き出し、僕は赤くてドロッとした血にそれはもう興奮したんだよ。
・・・僕は運がよかったのか?
警察に僕が捕まる事はなかったんだ!
___彼女には、、、?
僕と付き合う前から、【ストーカー】がいたらしい。
僕と付き合っている時にも、彼女から何度もその男の話は聞いていたよ。
だから、利用しようと思ったんだ!
・・・案の定。
警察も、僕を疑う事はなかったしね!
*
___僕は、それから15年間。
殺人を繰り返したんだ! 15年間の間で、9人もの人を殺めたのに。
警察は、僕を捕まえられなかったんだよ!
無残な死にかたをする女性たち。
僕と全く面識のない女性ばかりを狙ったからね!
BARやナンパなど、僕から話しかけた女の子達ばかりだよ。
警察も、僕のところまで捜査の手が伸びる事はなかったんだ。
・・・それなのに?
僕はへまをしてしまった、、、!
殺したはずの女が、生きていたらしい。
その女の証言で、僕の所に警察が来てね!
捕まっちゃったよ。
___あぁ~残念! もう、殺人が出来ないや!
・・・そんな風に思っていたよ。
【牢屋の中でね!】
*
___あぁ、僕が子供の頃飼っていた金魚がどうなったかって?
僕が殺したよ。
水槽の中の水を少しずつ減らしていったんだよ。
・・・そのうち、水槽の中の水は無くなってね!
___最後は、サンとポーは抱き合うように亡くなっていたよ。
可哀想な、サンとポー。
『アハハハハハ~~』
___僕は笑いが止まらなかったけどね!
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