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僕のいい人の仮面を外せば僕はただの殺人犯。

作者: 七瀬





僕は、何時も“イイ人”を演じている。

僕が幼い頃から、ずっとその仮面は本当の僕を隠す大事なアイテムなんだよ。




___僕の心にモヤモヤと黒いモノを感じたのは?

まだ僕が、小学一年生になったばかりの時に夏の出店で金魚すくいをして

取ってきた金魚を家で飼い始めた時だったんだ。



___僕は、金魚を大事に大事にお世話をしていたんだよ。

その時、金魚に名前まで付けてね!


『___ねえねえ、ママ? 聞いて! 金魚に名前を付けたんだよ!』

『___えぇ!? 金魚に名前を付けたの? なんて名前を付けたの?』

『サンとポーだよ!』 

『___えぇ!? サンとポー?』

『___僕、散歩が好きだから、金魚にもその名前を付けたの!』

『___そう、ちゃんと弘人がこれからも金魚のお世話をするのよ。』

『___うん! 分かった!』

『___弘人はいい子ね!』

『___うん!』




___僕はママにそう言われて、ニコッと笑っていたけど?

ママの僕に言う、あの言葉が大嫌いだったんだ!


【___弘人はいい子ね!】


口癖のように、何かあると? ママは僕にこう言う。

弘人はいい子ね! あなたが私の息子でよかったわ!



僕の心の中では、、、それがプレッシャーになってて。

ずっと僕を苦しめていたんだよ。


・・・ママは、僕の気持ちなんか? 

___何一つ分かっちゃいないんだってね!






___でもね?

僕のパパは違ったんだよ。


パパは、ママの反対の事を僕に言うんだ!


お前は、何にもできないどうしようもない息子だ!

そんなお前は、本当に俺の子か? 本当はアイツが外で

作った別の男の子供じゃないのかってね!



___パパは、僕がパパに似ていない事にずっと疑問を感じていたらしい。

だから、僕の事が嫌いだったんだよ。


___同じ屋根の下で住んでいるのに、、、?

僕のパパは? 僕の顔を見ても何も言わないし、話しかけもしない!

僕に全く興味がないのがよく分かったよ。




・・・僕は、この家で誰にも愛されてなんかいないんだってね!






___だけど不思議だよね?

他の人からしたら? 僕の家族を羨む人もいるんだよ。


『___あら~ステキな家族ねぇ~弘人君はこんなに優しいパパとママ

がいて、幸せよねぇ~』


・・・だって! 笑わせることを言うよね。







___僕はこうして、誰にもバレる事なく着実にイイ人の仮面を付けて。

本当の僕を出さずに成長してきたんだよ。




___僕が21歳になった時には?

僕のずっと抑えていた衝動が噴き出そうになってきて。

遂にね! 僕が大学で付き合っていた彼女を殺してしまったんだ!


僕は彼女を、何度も何度もナイフで刺したんだ。

彼女の血が噴き出し、僕は赤くてドロッとした血にそれはもう興奮したんだよ。






・・・僕は運がよかったのか?

警察に僕が捕まる事はなかったんだ!



___彼女には、、、?

僕と付き合う前から、【ストーカー】がいたらしい。


僕と付き合っている時にも、彼女から何度もその男の話は聞いていたよ。

だから、利用しようと思ったんだ!




・・・案の定。

警察も、僕を疑う事はなかったしね!







___僕は、それから15年間。

殺人を繰り返したんだ! 15年間の間で、9人もの人を殺めたのに。

警察は、僕を捕まえられなかったんだよ!



無残な死にかたをする女性たち。

僕と全く面識のない女性ばかりを狙ったからね!


BARやナンパなど、僕から話しかけた女の子達ばかりだよ。

警察も、僕のところまで捜査の手が伸びる事はなかったんだ。






・・・それなのに?

僕はへまをしてしまった、、、!


殺したはずの女が、生きていたらしい。

その女の証言で、僕の所に警察が来てね!


捕まっちゃったよ。

___あぁ~残念! もう、殺人が出来ないや!



・・・そんな風に思っていたよ。

【牢屋の中でね!】








___あぁ、僕が子供の頃飼っていた金魚がどうなったかって?

僕が殺したよ。


水槽の中の水を少しずつ減らしていったんだよ。

・・・そのうち、水槽の中の水は無くなってね!


___最後は、サンとポーは抱き合うように亡くなっていたよ。

可哀想な、サンとポー。


『アハハハハハ~~』 

___僕は笑いが止まらなかったけどね!





最後までお読みいただきありがとうございます。

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