表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/37

32.桃未さん、逃走する!? 市営プール編④


 姉貴とのファーストな感触はともかくとして、やはり世間は狭いというか、地元で遊ぶのは危険だ。


 最近、柚子ゆず先輩が、俺と姉貴に出会い過ぎている気がしている。


 先輩だけならまだ良くて、さらにあんず果梨かりんまでもが、俺の行く先々で声をかけてくるのはどうしてなのか。


「何だよ、お前らいつも一緒にいるけど暇人なのか?」

「お互い様じゃん! 美人な先輩二人連れてプールとか、塚野のくせに生意気すぎる!!」

「モテモテだね、塚野君」

「……そんなんじゃないけど」


 杏と果梨とで話をしていた、ほんの少しの間だった。


「あれ? 柚子先輩、桃未さんは?」

「桃なら……」


 面白がった表情を見せながら、桃未さんが今まさに逃げている姿を、柚子先輩は指差している。


「あーーーーーーーー!! いた!」

 

「ちょっと、塚野! あたしらを置いて行くわけ? しかも水着姿にも何も言わないでさぁ」

「悪ぃ! また今度!!」


 果梨が何か言って来たが、今は桃未さんを追いかけねば。


「何だよ、あいつ! そう思うでしょ杏! ひどくない?」

「桃未先輩の様子もいつもと違うみたいだし、塚野君とは今度約束しようよ」

「……杏は大人しすぎ! ったく……」


 桃未さんは、必死に走って逃げているようだ。


 あいつらと話をして隙を見せてしまったとはいえ、何で逃げるのか。


『こらーー! 何で途中で逃げんだよ!!』


『追いかけないでおくれ! あたしは熱が出ちゃったのだよ。近付いちゃ駄目だぞー!!』


『嘘をつくなー! てか、熱が出たなら大人しくそこで休めって!』


『こーとーわーるー!!』


 足の早さは俺よりも速い桃未さんだが、確かに顔が赤いし、いつもよりは勢いを感じない。


 そんな感じでもあったので、すぐに追いつくことが出来た。


「だから無理して逃げんなって!!」

「うわおー!? ま、ままま……真緒くん、いつになく大胆すぎるぜ」

「いや、姉弟で大胆も何も……」


 明らかに様子がおかしい。


 いつもしていることなのに、姉貴の肩に手を置いて捕まえただけで、顔以上に全身を真っ赤にさせている。


「マジで熱があるのか?」

「おおぅ……真緒くんが男らしい」

「何でそんな照れてるんだか……とにかく、いつもの姉貴に戻れって!」

「……ふ、ふん。やなこった~! とにかく、あたしは帰る! 真緒くんは女子たちと遊んでいれば?」


 何かよく分からないが、不貞腐れの桃未さんになっているようだ。


 そして顔も全身も真っ赤なままで、まるでタコである。


「じゃあ俺も帰るから、このまま更衣室に行こう」

「おぉ……フフフ。真緒くんを独占出来るのだな。それじゃあ行きましょ~! お~!」


 何だよ。


 いつもの調子を取り戻した桃未さんが、いつも以上に可愛く見えた。


 柚子先輩との遭遇といい、杏たちとの遭遇も含めて二人だけの時間が必要なのか?



お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ