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24.熱い想いのたこ焼きさん


「おおおーしゃぁぁ!! 行くぜ~行ったるぜぇ!」

「お、落ち着けって! 何もそこまで喜ばなくても……」

「何を言うかー! 真緒くんの努力の賜物だぜ! うぅ、良かった……よがっだぁ~……グズッ」


 桃未先生のスパルタな教えのおかげか、俺は期末の成績が相当良かった。


 テストを受ける前に言われていたのは、成績が上がったら夏祭りに一緒に行って、奢ってやるぜ的な言葉の数々だ。


 姉貴と一緒に行くだけでも俺にとっては十分すぎるご褒美なのだが、よほど嬉しかったのか、ずっと泣いていて申し訳なくなりそうである。


 そんなこんなで、地元の夏祭りに来てみた。


「あっれ~~! 塚野じゃん!! え、奇遇~~」

「本当だ、塚野くん!」

「あ、あーうん。ども……」


 果梨と杏とは何の約束も話もしていなかったが、地元の夏祭りなんて案外そんなもんで、出会わない方が珍しい。


「塚野一人?」

「良かったら、一緒に回らない?」

「いやっ、俺は……」


『真緒くぅーーん!! あっつあっつのたこ焼きを発見したよ~~!!』


「……というわけだから、俺、行くよ」

「あっ、待って! 塚野くんさえよければ、一緒にいい?」

「杏だけならいいけど、かりんとうがいるとなぁ……」

「コノヤロー! 塚野ごときが杏を独占とかあり得ない! ウチも行くかんな」


 かりんとうの心配とは別問題で、姉貴の闘争本能を上げたくないだけだった。


「こんばんはー! 塚野とおなクラの果梨と言います~」

「杏です。塚野くんと一緒に回ってるんですよね? 一緒にいいですか?」

「む! むむむむむむ……しょ、勝負だ~~!!」

「ちょっ、桃未さん? 何の勝負を……」


 そういえば初めて対峙? いや、対決か?


「はふはふっ……ん~~~~~あづぅぅぅ~~!! だ、だが、負けないぞ~!」

「あ、あつ、熱っ」

「……塚野くん、これ、勝負なのかな?」

「いや……ゆっくり食べていいよ。勝負にしてんのはかりんとうと、桃未さんだけだから」

「桃未さん……とはいい関係なの?」

「あぁ、まぁ……」


 杏と果梨には姉貴だということは知らせていなく、仲のいい先輩とだけしか伝えていない。


 しかしバレるのも時間の問題だということは、尾関から言われている。


 彼女かというとそうでもないし、姉と伝えるのも何となく……それくらい、熱々のたこ焼きを口いっぱいに頬張る姉貴は可愛すぎる。


「うおおお~~勝った~~!! ふふふ、年下女子には負けないぜ!」

「つ、強い……」


 どうやら勝負は決したようだ。


「全く、何やってんだか」

「……塚野くん、二人で回らない?」

「――え」


 そう言われた時にはすでに、杏に手を握られていたみたいで、姉貴と果梨からは見えていない。


「ね? 行こ?」

「いや、俺は……」

「まてぇい!! そこの抜け駆け女子! あたしの真緒くんを連れて行くなら勝負だ!」

「はい、そうします」


 あれ、これはどういう展開なんだ? 

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