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21.愛しき姉貴にオトコの影!?


「はぁぁ~~会いたいなり」

「え? だ、誰に?」

「カレだよ! あの日、あの時間帯に出会ってしまったのが、あたしとカレの運命だったのだ~!」

「え、えええ……そ、そんな」


 少しの間、別々に帰っていた姉貴とは以前と同じように、また一緒に帰るようになった。


 喧嘩していたわけでもなかったけど、気持ちの問題だよとか言われていたので、反省の意味もあって何日かは一人で帰っていた。


 それがまさか、姉貴に男の影を近付かせてしまうなんて。


「優しいんだよ~とっても優しく手を添えてくれるんだよ! そして何といっても、つぶらな瞳であたしのことを一途に見つめて来る! あぁぁ……早くカレに会いに行かなきゃ」

「も、桃未……お、俺だって、一応彼氏の役目を……」

「ノンノンノン! 真緒くんの優しさとカレの優しさには、モノすっごーーい差があるんだよ! 何と言っても、極めつけはたくましい体つきと毛だよ! 真緒くんの頭を撫でる時の何万倍だぜ?」

「お、俺、先に帰る」

「む? 追いかけっこだな? 負けないぜ~~!」

「違う~~! 追いかけて来るなっての!!」

「家が同じなんだから追いかけるぜ! うおー負けないぞ~!」


 くそう、可愛すぎる姉貴なのに、どうして他の男のことばかり話すんだ。


 思わず逃げるようにして走ったのに、同じ家に帰る関係だから楽しそうに追いかけて来るじゃないか。


「はぁっはぁっはぁぁぁぁ……な、何で自分の家に帰って来るのに、こんなに疲れなきゃいけないんだ……」

「ふっふふふ……あたしの勝ちだぜ! 真緒くんは運動不足だと思うんだ。カレのように楽しく走れるようになれれば、あたしも見直すことが出来る! 頑張りたまえ」

「努力する……」


 部屋も近いし一緒にいつでも話をしているのに、どうしてこんな急に心が曇りだすんだ。

 

 そんな思いを抱えながら、土曜日になった。


「よしっ! 真緒くん、行くぜ!」

「ど、どこに?」

「カレのところだぜ。真緒くんもきっと気に入る! あたしが夢中になってしまったからね」

「土曜日に会いに行っているのか?」

「うむ! 土曜の時間帯じゃないとカレとはモフれないのさ」

「モ、モフ?」


 姉貴の言葉だけを冷静に聞いてみれば、カレが人間の彼だとは一度も言っていないわけで。


 まさかのペットショップで、カレがいる時間帯とかそういうことだったのか。


『わんわんわんわん!!』


「おぉ、よしよしよし! 会いたかったぜ~あぁ、何て優しい瞳……そしてモフモフ!!」

「……ワンコならワンコと言ってくれよ。何だよ、カレって」

「おや? おやおやおや~? むっふっふ……勘違いしていたというのかね? カレの話をするだけで、この桃未さんに男が出来たとでも思ったのか。可愛い男よのう」

「か、からかうなよ」

「案ずるでない。あたしは真緒くん一筋さ! だが! 真緒くんもカレのようにたくましい男の子になりたまえ! そうすればあたしも――」

「ん?」

「な、何でもないの! 真緒くんも、思う存分にモフれモフれ~」

「あ、あぁ……」


 ワンコを見た後、俺を見た姉貴は遠い目をしていた気がした。


 というか、本当にもう人間じゃないならそう言ってくれよ! 


 何にしても、ワンコよりも姉貴が可愛い、可愛すぎる。

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