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20.真夏の甘すぎるケーキ!?


「塚野くん、プレゼント欲しい?」

「や、気にしなくていいよ」

「あはは! 塚野が遠慮してる~! せっかくアンちゃんが気を遣ってくれてんのに~」

「うるせーよ、かりんとう!」

果梨かりん! 人の名前にケチつけるからモテないんだぞ、塚野」

「かりんとうにモテなくていいっての!」

「また言った!! ムカつく!」


 俺に告って来たあんずと、おまけに絡んで来た果梨は、何気にクラスのナンバー1と2だったりする。 


 プレゼントというのは真夏に迎える俺の誕生日なわけだが、初めましての話をした時に、うっかりと個人情報を話してしまったところから来ている後悔だ。


 同じクラスの人気女子にモテなくても、俺は姉貴からの何かに期待している。


 そんな期待をしていると、廊下側から鋭すぎる視線が、チリチリと刺さって来ている気がする。


 その正体は見なくても分かっているので、あえてそこに視線を合わせることはしなかった……のがまずかったかもしれない。


 登下校の下校も、基本的には彼氏のフリとして一緒に帰っていたのに、今日は姿が見えなかった。


「ただいま~……」


『ふんふんふんふん~』


 何やら姉貴の鼻声がキッチンから聞こえて来ている。

 てっきり不機嫌な態度で迎えてくれるかと思っていたのに、どういうことなのか。


「も、桃未?」

「おっかえりぃん! 真緒くん!」

「えっ?」

「おりゃぁ!!」

「もがっ!? あ、甘い……クリーム?」

「むっふっふ! そう、甘い! 真緒くんは何もかもが甘いのだよ! よぉく味わいたまえ!!」


 笑顔で迎えてくれた桃未は、甘そうな匂いを漂わせながら可愛いエプロン姿をしている。


 油断をしていた俺の口に、調理中だったと思われる生クリームを、物凄い勢いで突っ込んで来た。


「う、美味いけど甘い……甘々すぎる」

「彼氏くんは反省すべきことなんだよ!! 何だよ~何で女子二人と楽しそうにじゃれ合っているのさ!!」

「……ん? あれはそういうんじゃなくて」

「と、とにかく! 真緒くんへのプレゼントは、永遠の生クリームだ~~!」

「えええ? ケーキじゃなくて、生クリームオンリー!?」

「ケーキはあたしが食す! 生クリームは真緒くん専用!!」

「そ、そんなぁ~……」

「あ! ジッとしなさい!」

「んん? いやっ、待っ……」

「ん~~パクッ! 甘いねぇ~真緒くんの口元のクリームは甘すぎるぜ!」

「ご、ごめん」


 これも姉貴の無意識によるものなのか、俺の口元に付いていた生クリームを手に取り、そのまま口に運んでしまう。


 彼氏のフリをしていながら、教室には時々姉貴が覗きに来るということをすっかり油断していただけに、何とも言えないことが起きてしまったようだ。


 素直じゃない所が可愛くもあるが、今年の誕生日プレゼントはひたすらに甘すぎる生クリームを、口の中へ運ばれる日となってしまった。


「真緒くんの甘さは、甘い生クリームでお仕置きだぞ~」

「いや、うん……ごめんな、桃未」

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