17.真緒くんをいじめるな~!?
「真緒君、いい加減首を縦に振ってくれないかな?」
「そう言われても、すでに彼女……のような存在がいますし……」
「生意気な後輩くんにはお仕置きが必要のようだね」
「――えっ、いやっ、それは……」
「うりゃうりゃ~うんと言うだけだぞ?」
「いたたた……先輩、肘とか、胸とかヤバいですって!」
姉貴に呼ばれたので教室に来てみれば、桃未の友達とかいう苺花先輩が近付いて来た。
挙げ句、彼氏候補にしてあげるとか上から目線で言われながら、ヘッドロックをかけられている真っ最中だ。
「ギブギブ……」
「付き合うよな? 苺花と付き合うって言いなさい!」
「そ、それは……」
姉貴のクラスがそうなのか、先輩がそうなのかは分からないけど、大胆かつ強引な先輩が多いのは勘弁して欲しい。
『こらーー!!』
「「あっ……まずっ」」
苺花先輩と同時に恐れてしまった声の主は、もちろん桃未なわけだが、怒りながら向かって来る姿も可愛すぎるのは、反則だ。
「あたしの真緒くんをいじめるでない~!」
「え~? やだなぁ、桃の彼氏くんをいじめるとか、無いよ? ねぇ?」
「そ、そうなんすけど、せめて腕を離してくれると……」
「あ~うん」
そう言いながらも、完全に決められている。
「う……うーうーうー!!」
「え、桃、泣くとかじゃないよね?」
「うーらーやーましー! 真緒くんにめちゃくちゃスキンシップとか、ずるいじゃないか~!」
「「そっち?!」」
姉貴も含めて、その友達にも彼氏のフリとかいいのか悪いのか。
「真緒くんはあたしの彼氏くんなんだから、苺花に好き勝手なんてさせないぜ! さあ、真緒くん! あたしに甘えて来いや!」
「い、いや、ここ、教室だから……」
「苺花には甘えさせて、あたしにはさせないとか、そんなのはズルいぞ~!」
これはもしかして、ヤキモチなんだろうか。
「桃はいつも甘えているでしょうが!」
「て、てやんでえぃ! 足りねえぜ、チクショウ」
姉貴の愛情表現はすごく嬉しい。
でも、TPOはわきまえて欲しい……駄々こねも含めて、男子人気が高いんだなと分かった……今日はそんな日。