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彼氏のフリをしてと言われても。~姉貴は今日も可愛すぎた~  作者: 遥風 かずら


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12/37

12.ナンパをしてくれ!


 姉貴との仮デートに、何となくがっかりしたのは内緒だ。


 しかし分かる奴には分かるらしく、特に俺に告白をしてきた女子は何故か細かく気付くらしく、慰めの言葉をかけられた。


「塚野君、先輩女子に遊ばれてるんでしょ?」

「遊んでやっているだけで、遊ばれてない」

「杏なら、いつでも遊ぶし」

「落ち込んでいたつもりは無かったんだけど、元気付けてくれたってやつ?」

「何か気になったから。深い意味は無いかな」

「まぁ、サンキゥ」


 告られた相手に分かられてしまうとは、気を付けねば。


 姉貴に対して、何となくのモヤモヤ感があると自覚したので、俺から姉貴の教室に行ってみることにした。


 姉貴は独自に俺のクラスを探し回ったらしいが、俺はその辺の先輩たちに聞いていたので、すぐに分かった。


 彼女でもないのに会いに行くのもどうかと思ったが、弟として行くから問題は無いに等しい。


「なぁ、何で返事返してくれねえの?」

「いえ、あたし、そういうの面倒なので……」

「男がいるってウワサとか信じてないけど、桃未の男になれば一途系?」

「どうでしょうね……」


 姉貴がいるであろうクラスを目指していたら、とんでもない場面を目撃してしまった。


 やはり人気者なんだなと、あながち間違いでもないことを初めて、目の当たりにした。


 しかもいつもおかしな姉貴ではなく、まともな言葉なことも驚いている。


「――うっ?」


 何やら可愛い手招きをされている気がしたので、姉貴を見ると、正解のようだ。


「おいでおいで~」と言っているような気がしたので、近付こうとすると、口パクで「ナンパしてくれ!」などと言っているように見えてしまった。


 怖くてチャラそうな先輩の目の前でナンパとか、冗談だろ?


「そ、そこの、姉ちゃん(姉貴だし)! お、俺と牛乳プリンを食べないか?」

「まぁまぁ! 何て素敵なお誘いかしら! 喜んで~」


「は!? おい、マジかよ!」


「ホホホ、牛乳プリンはお代わりが出来るのかしら?」

「さよう」

「で、あるならばわらわは、あなた様のナンパに従うぞえ」

「で、では、参ろうか?」

「よきよき」


 一体俺たちはどこの世界に移動してしまったのか。


「さすが愛しの真緒くんだよね~」

「合ってたのか?」

「うむうむ。では、放課後に行くぜ!」

「え、マジで?」

「真緒くん、ありがとうね! 愛してるぜ!」

「……どうも」


 彼氏のフリから、ナンパ相手にされてしまった。


 でもまたひとつ、可愛すぎな姉貴を見られたから良かった。

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