衣食住を揃えたので、遊んでいます。
私はひきこもりである、そしてさらに言えば筋金の入りの無知でもあった。
これは私が引きこもり生活を謳歌しながらも、しかし社会という枠組みに身を置くことを少しは望んでしまう少年の、いたいけで愛らしいストーリーである。
「だめだ今日も空っぽだ!」
俺は突如として声をあげた、無論部屋には誰もない、あるとすればパソコンと、積み重なったカップラメーンの空箱だけだ。
「どうしよう、今日もネットをして、1日呑気に暮らすしかないのか」
なんだかなんだ三年間誰とも接しないというか、ネットでの交流だけで生きていたため、そこまで孤独ではなかったが、しかし心通じる良き話し相手がいるかと言われれば、いないので、時よりものすごく落ち込んでしまう。
そして今日そんな日の中では、まーそれなりに頭も回っていて、ある程度自分のことを割り切れる感じだった。
「どうしよ、そろそろ変わらないと」
耐えず頭を交錯する、そういった、社会に適用したいという思いがある。
これはきっと、漫然とした、変わらない日常から生まれる、少しの変化意識だと思う。
しかし変化に対する、プロセスや道のりを知らないし、挙げ句の果て、人と会うのが恥ずかしいという、そうした陰キャラなので、変わるに変われず、かといって変わる気があるかと真に問われれば、あるわけでもない。
全てに対して、なんだかなー程度の、てとも志の低い人間であることを理解していた。
「よし、とりあえず、アニメを見て、少しは楽しい人生にしょう」
そういった、どこか自身の人生を過大視していて、無下にしたくないという思いを、多少というかかなりあり、とにかくなにもしない時間はないと言っていいほど、常に考え、行動をしている、これは単なる、孤独と向き合うのが怖いからかもしれないが、しかし事実行動することで、新たな発見もあり、それが心の支えになったりする。だからアニメを見たりゲームを見たりして、とにかく漠然と広がる、定まっていない時間を自分の意のままにむさぼっていた。そして今日もどれで生を彩ってしまおうかと、真剣に考えていた。
「やはり、最近の性格から言って、アニメはなしだな、ゲームにしよう」
私の行動には主に二つの行動しかない、ゲームをするか、アニメを見るかというものだ、この時、アニメを選ぶ時は、比較的心が疲弊していて、優しさにめいいっぱい触れたいときだ、アニメキャラは可愛いし、何より発する言葉も、夢いっぱいで、なんだか生きることが、とても華やいだように思えるからだ、相対してゲームの場合は、思いっきり、暴れたい時にするものだ、日々のまんねりに感情が希薄になる前に、スリルを味わい、圧倒的なバイオレンスショックを目にして、さらにそれを操作しているというさらなら、サイコビリティー溢れる躍動で、気合いをつけるのだ。
そして今回も自身に匹敵するほどのサイコビリティーあふれる、ゲームが選定された。
「よしロードロードっと」
家にあるものを紹介しよう、PS4とそれを投影するプロジェクターと、ソファーのわずか3点しかない、なぜかと言われば、お金がないためである。そのためコツコツと貯めて、やっとの思いで、PS4とプロジェクターとソファーが買えた、今はこれ以上にものを増やそうという、思いはない。今あるものだけで、とりあえずは人生を送ろうというわけだ。
しかしお金がない分、部屋は綺麗でいい。最低限のものしかなく、どこになにがあるかも、少ないからすぐにわかる、それにこう言った生活をミニマリストというらしく、その名称も含めて、今の生活を少なからず気に入っている。
ーピコンー
「お、ゲーム起動した」
選ばれたゲームソフトは、爽快感マックスなゾンビを狩るゲームだ。このゲームの利点は多々ある、まず武器が圧倒的に現実味を帯びている、あり合わせのものだということ、これは正直言って怖い、ゾンビの世界は大抵、腐敗していて、物資が全くない、だからそこらへんのもので、戦うのだが、その日常道具が武器になるという発想が、僕をゾクゾクさせてしまった、今こうしてみている世界が仮にゾンビパラダイスになったらと思うと、ぞっとする、そしたら戦うのかなーなんて時より、突飛な想像をして、家の中で妄想トレッキングをしたりする。と、言っても妄想力の持続力は対してないから、すぐに画面に向かい、ゲーム機で遊ぶほうが多い。
そしてゲーム画面を操作し始めた。
「あ、あぶない、う、嘘だろ、あー」
声がよく出る、これは実際に話せる相手がいないため、声帯を使わなすぎて失われる前に、できるだけ話しておこうというものだ、どこかで使わなすぎると失うという、そんな都市伝説を聞いてから、少しでも声を出すために頑張っているのだが、ゲームだと声がよくでる、たまに実況をして、思いの丈をぶつけることもある。あれはかなり気持ちのいいのものだ、なんか声とストレスケアは一体化しているんだなと思うほどに。
そしてゲームを淡々とこなしてく。
走る、撃つ、倒す、経験値アップ!という流れを繰り返すのだが、ストーリーもあるので、飽きるかと言われれば、まったく飽きない、ゲームをあまりにしない人にゲームする人のことを聴くと、ゲームってどこが楽しいんだ?と言われるのだけど、私の答えは決まってこうだ、ゲームで外出気分を味わえるんだよ、だから楽しいぞ。という答えである。これにもちゃんとした名称があり、よって私の一独自の見解というわけではない、名称はずばり、ゲームトリップというものだ。直訳するとゲーム旅行というものである。ゲームを観光するみたいな感じである。
そしてまたゲーム淡々とこなしていく。
「あーだるい」
やはり怠かったりする、こんなバイオレンスなゲームをしながら、退屈を覚えてしまうのだから、私の脳はきっと無駄に大人になっているのだろう。
そしてゲームを投げ出し、ソファーに寝そべった。
空が見えた、綺麗だった。
「ふー」
ほんとに代わり映えしない日々、ゲームをして、寝そべって、自由で自由な暮らし、よーく考えればいいとこしかないように思える。
誰とも合わないから人には迷惑かけないし、自分一人で生活するだけの最低限度の知識があるから、暮らせるし、ほんとにいい暮らしだと思う。
だけどなぜ、何度も心が揺れるのだろう。
どこに不満があるんだろう、まだ高みを望んでいるのだろうか。
いや、そんなことはない、今で満足だ。
そしてまたゲームに向かった。
次はゾンビゲーをゆるーくプレイすることにした、気分に合わせて、ゆっくりプレイすると、なぜか楽しさが増すのだ、原理はよくわからないが、やはり心のままに動くというのは楽しいのだろう。
ダダダダ
「お、ふークリア」
いつもは10分でクリアするステージを1時間もかけてクリアした。のんびりプレイというらしのだけど、いいものだ。
次もまた気分を変えてプレイすることにした。
「次はサイレントクールな感じていくか」
そして静かに、かつカッコよくというプレイスタイルでゲームへ向かった。
ちなみにこの名称はないので、私のものだ。っふっふっふ
と、時より、名称を作り上げたりもする、ま、今はゲームをしよう。
ダダダダ、ヒラリヒラリ
やはりクールといえば、行動一つ一つが自信満々で、スタイリッシュな動きをするということだろう。
アクションは全部で、撃つ、しゃがむ、武器を拾う、ドラム缶を打って爆発させる、があり、この中からスタイリッシュな動きをするときは、こうである。
まず敵の拠点までしゃがんで、移動する。そしてステルスで敵を倒していく、そして最後に拠点をドラム缶ごと背中か越しに吹き飛ばすというものだ。
「決まった」
見事にその流れで、掲げた目標に合った、ゲームをこなすことができた。
と、いつもこんなくだらないことを淡々としているわけだ、一般人から見ればきっと、つまらないだろそれー、と、なりそうだが、ネット世界の深みを知る私にとっては、これこそがベストライフだと思う。故に今この世界にいるあらゆる、ネットコア層は僕から見れば、仲間に見える。ネットのない時代だったら私は一体何をしていたのだろうと、ふと思ったが、まーネットがある時代なのだから、ネットで暮らすのがいいだろう。
と、そんな感じで、自分と社会にいい感じの折り合いをつけながら、できるだけ自分主体で生きていた。
「よしもう一回ゲームするか」
そもそもすべきことが、ゲームとアニメしかないと先に述べた通りに、これ以上に発展性が見込めない人生で、やはりゲームをするに至るというまんねり決断を誰が責められるだろうか。
「んー楽しい」
日増しに遊びというのが、レアリティーに欠けていき、なんかゲームをするぞーという意欲が削がれているように思えた。
「んーーよーし」
やはり行動範囲がゲームとアニメしかないというのは、退屈に陥るだけだと、悟った。
「どしよ、植物でも買ってみるか、100均で」
とにかく、安いもので満たされなければいけない、ゲームやアニメはわずかな金額で見放題で、さらに無限に近いほどあるから、いい。しかしそれ以外の物体的なものは永久的なものではないため、買うのにすごく抵抗があった。
だけど幸いなことに日々の中で少しずつ、貯金箱にお金を貯めていたので、そこから100円くらい使って、どんずまり生活に新しい風を吹かそうと思った。
「よし出掛けるか!」
ひとまず出掛けることを決心したまでは良かった、だがまともな服がないことに気づいた。
「服が、ない、ジャージしかない」
危機であった、今までネット配達で、しかも宅配便の人にも玄関前に置いて帰ってもらうシステムだったので、いざ人と会うとなるとものすごく自身の身なりが気になった。
しかし100円のものを買うために、ネットを使っては、配送料とかでさらにプラスされることは間違いない。
出掛けるほかに鬱屈とした日々を抜け出す手立てはないと、わかっていた。
「よし、とりあえずジャージがある、それと中学の制服がある、これを組みわあせれば、もしや」
なぜかジェージをそのまま着ていくのではなく、組み合わせればいいという、試行錯誤したら良くなるという、そういう社会派の思想に至っていた。ふつうにありのままにジャージを着ればいいというに、なぜか街という社会領域に出るとなると、なぜか考えなしでは生きれないような気がして、とりあえず上にブレザーと下はジャージという、服装に至ってしまった。
「大丈夫だよな、この格好、問題ないよな」
きっと冷静でなかったのだと思う、だが、とりあえずもういい出かけよう。
街を歩く、テクテクと歩いていく。
自分の住まうところは都心で、それに政令指定都市という、50万人もの人口がいる場所なのだが、なぜかその誰とも面識がないため、街で見るどの子にもドキドキが止まらなかった。
決して恋のドキドキなどではない、自身の格好に対する、ドキドキである。
「よし音楽かけよ」
ドキドキの鼓動を抑えるために、音楽をかけることにした。自身の世界をどこにでも顕現できる、スマホとイヤホンは本当に素晴らしいものだと、スティーブに感謝しながら、とにかく歩いた。
「っふっふっふー」
鼻歌交じりに都心を行く、音楽の力はすごい、なぜかこうグワッとくる、そして人の目さえ気にならない。
そうこうしているうちに100円ショップへ着いた。
「いらっしゃいませー」
店員の典型的なセリフだったが、三年ぶりに話しかけられたので、無性に感動した。
俺あんまり影薄いやつじゃなかったんだということと、人としての言葉をかけてくれるところに感動したのだと思う。
そしてウキウキしながら、植物コーナーへ。
「これが、、、植物」
植物など見新しくもないが、しかしさっきの今であったからか、全てに感動できていた。
「よし、なんかこーリラックスできそうなものはないか」
そして、植物シンキングが始まった。
まず植物に対する知識など無いに等しいので、フィーリング重視で選ぶことにした。
「んー、やはり植物はアロハみたいな感じがいいな」
とりあえずスマホでアロハを調べることにした。するとアロハとは挨拶であって、植物ではないことに気づいた、涙ぐましい努力を終え次の思考に走ることにした。
「やはり花といえば、あれだな、フラワーだな」
そしてフラワーを調べることにした、するとフラワーは英語発音の花という意味であった。またもや雀の涙ほどの努力をし、自身の無知の再確認と、だがスマホ持ってれば無敵じゃんという短絡的思考が入り乱れていた。
「どしよ、気づけば植物の中から、花を選ぼうというまでに、枠は狭まったけど、どしよ」
迷いの中で、一つの案が浮かんだ。
「そうだ、運任せで行こう」
私は世界の因果に身を委ねるという決断に至る、まず目を閉じた、そして3周回って、目を開けた。
そして目があった運命の花は
「これは、ハイビスカス、、、」
見た目は黄色で、百合の花どこが違うんだというくらい似ているものだった。
ともかく名を変えただけだろうという、ふとどきな思いを巡らせながら、早速調べた。すると南国の花らしく、ご丁寧に5000字越えのWIKIまであり、楽しむには十分な手応えだろうと思い。買うに至った。
店員の下までいく
「いらっしゃい」
面と向かってエンカウントした、凄まじい緊張が顔を硬ばられせる。
「ハイ」
男でありながら声が女性よりも高くなってしまい、一瞬ソプラノパートの人だと思わせるほどの、声であったことは間違いないだろう。
「えー108円です」
私はここにきて、冷や汗をかいた、世には消費税というものがあったことに気づいたのだ、いやそんなことはよく考えたら知っていた、しかしかれこれ三年も自身の道のみを生きていると、そういった常識を忘れるに至るほど、脳が余裕を失っていた。
「その、」
私は事実として、100円しか持っていなかった、ここで運命の花ハイビスカスを諦めるかという、由々しき問題に直面した。
いや冷静に考えれば、家に帰り、お金をとって戻って来ればいい、しかし先ほど植物コーナーで、ハイビスカスに目を光らせる子がいたのだ。
私は考えた、もしここでハイビスカスを置いて行ったら、目がギラギラした子に取られるのではないかと。
「そのキープできますか?」
私はキープ、すなわちとっておく置くことはできるのかという質問をした。
「えーっとお金をお忘れですか?」
「そうなんです」
「すみません、当店ではそのようなサービスはありません」
ギラリーン、突如後ろから、ギラギラ少女の視線を感じた。
まずいこのままでは、完全にハイビスカスを取られてしまう、どうすれば、私の生活にやっと見つけた、一つの潤いが、ここで、こんなところで。
次回に続く!