色々と意味が分かんない
朝日を置いて帰った次の日のこと。
「ねぇ、法堂君」
「んぁ?」
俺が面倒くさそうに机から頭を上げると、そこにはカースト一位ハーレム野郎、草薙 雄一がいた。両脇には美少女2人がくっつき、その周りにも沢山の女子がいる。
それを見た瞬間、心の底から、こう思ったよ。
近寄んなよ、ハーレム野郎が!爆発しろ!と。
まあ、そんな事言っても何にもならんから、何も言わねぇけど。
「法堂君って朝日さんと仲良いよね?」
朝日は現在どっかに行ってる。
「どうして、その結論に至ったのか理由を聞こうか·····」
「だって、転校初日から一緒に帰ってたから、かな」
「よしんば仲良かったとして、俺に何をしろと」
「まあ、彼女浮いてるから、ね?」
うん、わかる。大体わかる。大方、アイツと喋るためのパイプ役をしろってことだろ。
うん、実にモブらしいイベント····んなわけねぇ!!!
何処にモブらしい要素があるんだよ!
俺は、親友ポジ何て狙ってねぇ!普通のモブポジ狙ってんだよ!
それなのに、それなのに!何で俺にそんなこと頼むの!?
普通にお前が行けばいいじゃん!いつも見たく、笑顔で喋りかければいいじゃん!そうすれば、大概の女が落ちるでしょ!
「どうかな?」
「お断りします」
まず、仲良くないのにパイプ役とか務まらない。しかも、何かコイツに顎で使われるのも嫌だ。
「ちょっと、それぐらい言いじゃない!」
ハーレム要員の一人、黒髪ロング眼鏡委員長が、なんか文句言ってくる。名前?椿以外、知り合いがいないから知らん。
「これは、クラスの為でもあるのよ!貴方みたいな、影が薄くて特に役に立たない貴方でも唯一役に立てるチャンスなの!!!」
バンバンと机を叩き、そんなことを言ってくる。
·····早く帰ってくれないかな?そろそろ、皆の視線が集まって来てるので止めてほしい。ここに、朝日が帰ってきたらヤバいよな?
「優菜。それ以上言っても無駄。やる気の無いゴミクズには、何を言っても意味が無い」
ゴミクズとは散々な言われ用ですね!
「じゃあ、どうしろって言うの?」
「何か御褒美を与えればいいと思う」
「例えば?」
「優奈がデートしてあげるとか」
「「はあ!?」」
俺と委員長の声がはもった。
「嫌よ!なんで私がこんな奴とデートしなくちゃ行けないのよ!そんな事言うなら、あんたがデートしてあげればいいじゃ無い!」
「私がする意味が分からない。交渉しているのは優菜。私じゃ無い」
無表情で淡々と言い返す、理系っぽい奴。頭を抱えながら、考える委員長。
「私は雄一君以外とデートしないの!」
「ちっ」
「舌打ちした!今舌打ちした!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ始める、二人。
「まあまあ。デート位、良いんじゃないかな?彼、そこそこいい人っぽいよ?」
コイツは、天然のイッカクと並ぶぐらい珍しい、天然の鈍感野郎だ。俺が見た感じ、コイツ周りの好意に気付いてない!
ゆうならば、天然鈍感主人公だ!
「うー。雄一君が言うなら、一回ぐらい·····」
「おい、ちょっと待て。何で、俺がデートして貰ったら、喜ぶとか思ってるんだ?」
「「えっ」」
まず、そこが間違いだ。デートされたって一つも嬉しくない。
「でも、私みたいな可愛い子とのデートだよ!?嬉しくない?」
「ちっとも嬉しくない。まず、自分とデートすれば相手が喜ぶとか思ってる時点で、自意識過剰で論外だ。しかも、何だ?後ろのお前だ。名前知らねーけど、いきなり、ゴミクズだなんだのとバカにしてんのか?ゴミが喋れると思ってんの?出直してこいアバズレ共が」
「そ、そこまで言うのはさ流石に·····」
草薙が若干引きながらそう行ってくる。
あ、言い過ぎたか?いかんいかん、悪い癖だ。つい、責められると相手をぶちのめしたくなる、俺の悪い癖だ。
「ううぅ〜」
「ちっ」
委員長は涙目に、頭良さそうな奴は、何か睨み付けてきている。
はあ、面倒くさい。
もういっそトイレに行ってやろうか?そう思い扉を見ると、
「うわぁ·····」
朝日が扉でドン引きしていた。
反対側の扉を見ると、通りかかったであろう椿が、必死に笑いを堪えて反対側に歩いていった。
アイツ、絶対見てやがったな。
「ということでお断りだ。さっさと自分の席に帰れ」
俺は、しっしと草薙たちを追い払うと、机に突っ伏して、睡眠を始めた。
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「あの言い方は無いと思います」
「いや、そんなこと言ったて、アイツらが先に·····」
アイツらが先に言ってきたんだし、言われても文句は言えないと思うんだけど。
「それにしてもですよ。女の子に対してアバズレは言い過ぎです。普通の女の子なら、あそこまでまくし立てられたら泣きますよ?」
実際泣いてたもんな。·····いや、そんなことより。
「何でお前ここで飯食ってんの?」
俺の席の隣で昼飯を食べている、朝日。
「友達いないんですよ、私」
·····友達か。
「そうなのか。なら、しょうがない」
「あれぇ?そこは俺が友達になってやろうかとか言ってくれないんですか?」
「嫌だよ、面倒くさい」
俺は、そう言うと黙々と飯を食べ始める。
はあ。ちょこちょこ視線を感じるな。コイツ目当てが殆どだけど。
あ〜あ。コイツに友達出来るまで俺はずっとこのまま·····いや、待て!つまり、こいつに友達が出来れば良いのか!
よっし!それなら草薙に後でオッケーてことを言っておこう!
後は本人の意思だが·····。
「なあ、朝日」
「何ですか?」
「お前、友達欲しいか?」
「それは勿論」
即答だ。マジ返事早い。
「なら、紹介してやる」
「本当ですか!?」
「ああ」
これは、いい作戦だ!これが成功すれば、あんな奴とのデートより百倍意味がある見返りが手に入る!
「じゃあ、また詳細を教えてください!」
そう言って笑顔でスマホを差し出してくる。
「·····何?」
「ラインですよ!ライン!貴方、直接話しかけられるの嫌でしょ?」
なるほど。直接話さなくてもいいというのは便利だな。
「おし。じゃあ、交換するか」
「はい!!!」
笑顔で返事をしてくる。
あれ?何で俺は、女子の連絡先をゲットしてるんだ?
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