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少女と少年。

作者: 冬紀 咲

1.

少年と少女の大切な人達はみんな死んだ。

残ったのは大して仲良くもない、顔馴染みの異性だった。

大切な人達が、いなくなっちゃった。少年は冷静な判断なんて出来ないで、ただただ泣いた。

そんな少年を、少女は見つめていた。




2.

ある夜、大きな地震が起きた。それを起源に、色々な被害が発生した。そのせいで、多くの人々が亡くなった。


少年の大切な人達は、火事で亡くなった。

少女の大切な人達は、瓦礫の下敷きになって亡くなった。




3.

「助けられるはずだったんだ」

2人はそう言い放つ。


「あの時、救助隊が躊躇しなければ」

「あの時、救助隊が遅れていなければ」

少年はそう思った。大切な人達が助けられなかったことを、自分ではない誰かのせいにしたかったからだ。


一方で、少女は違った。

「あの時、自分が下敷きになっていれば」

「あの時、自分が逃げられていれば」

少女は、大切な人達が助けられなかったことを、救助隊のせいにはしなかった。自分のせいにした。




4.

そもそも、救助隊を恨むなんて変な話だ。助けようとしても、絶対に助けることなんてできないのに。たとえ、今迄でたくさんの命を救ってきていても、たった一つの失敗でこう思われるのか。

少女は、少年の泣き言を不思議に思った。


少女は、自分のせいにでもしないとやっていけなかったんだ。

だって誰のせいでもないから。自分以外の誰のせいでもないから。全部、自分のせいだったんだ。

そう責めることで、自分を保った。


「自分で自分を責めて、自我を保つなんて皮肉な話だよな」




5.

少年は、泣きながらも不思議で仕方がなかった。同い年の少女も大切な人達を失っているのに、どうして泣かないのか。どうしてあいつらを恨まないのか。


少年は、自分のせいにして生きていけるほど強くはなかったんだ。

だって他の人のせいだ、ってそう思えば行き場のない怒りの場所を留めることができたから。

そう思うことでしか、張り裂けそうな自分の気持ちを涙だけでは逃しきれなかった。


「何か失敗をした時って責めてもらった方が楽になる時もあるんだ、互いを気遣いすぎてどちらも辛いなんて皮肉な話だな」




6.

きっと、他に生きていくすべなんてなかった。

だから、少女の選択は正しかったんだと思う。


彼女達は、違うようで、あまりにも似ていたんだ。

少なくとも、根本的な部分は一緒だった。




7.

だから、何もかもを失った少年に、全てを失った少女が言った。


「これから先、

何を失っても、何を傷つけても、

何に傷つけられたとしても。

……生き抜こう。私達2人で」




8.

少女は、それ以上は口を開かなかった。泣いている少年に、励ましなどしなかった。


ただ、少女は大切な帽子を少年の頭に被せ、手を引いた。




9.

少年は、帽子を深く被り直した。前を向いている少女に、返事などしなかった。


返事など要らなかった。




10.

少年と繋いでいた少女の手は冷たく、いつしか少年の手から暖かさは消えていた。

少女の手の冷たさも消えかかっていた。


そして、少女は少年の手を握る力を、バレないように少しだけ強くした。

「恋愛感情が入っていない、大切な人と生きていこう」

みたいなものを書きたかったんですけど、なかなか話が膨らまず、意味のわからない超短編になってしまいました。


解釈は、読者様方にお任せします。

短い話で何を伝えられたかは分かりかねますが。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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