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1-2此処はどこだ。

 

 衝撃に体を身構えながら草原を転がる。

 草むらが柔らかなクッションになってくれたらしく、それ程衝撃を感じなかった。

 体のあちこちを自ら点検する。

 大丈夫、擦り傷程度以上の怪我はしていないようだ。

 この国道はよくバイクとの接触事故で渋滞してるんで、イライラするんだが・・・ってなんで国道に草むらがあるんだ?二車線の中央をすり抜けてたはずなんだが。

 ?な頭を落ち着かせるために周りを見渡す。

 見える限りの草原を滑って森に向かっていたらしい。

 バイクは森の木にぶち当たって大破って状態、一発廃車って所か。

 つか森ってなんだよ。

 某テーマパークなら、人口の森っぽい所はあるけど、まだそこまで着いていないし、パークの中にバイクが突っ込むとか洒落にならん。

 うん、やっぱり混乱しているらしい。

 普通に考えて此処は何か違う場所だ。

 俺は多少の打撲で痛む体を立ち上げ、取り合えずバイクに向かって歩き出した。


 あー、やっぱりバイクは廃車決定だな。

 フレームは曲がってるし、フロントフォークも駄目だこりゃ。

 ガソリンタンクから火が出てない事だけが救いか。

 何かに使えるかもしれない車載道具だけ取り出し、その場を離れた。

 なんせ此処がどこだかさっぱり判らんからな。

 肩掛けのカバンに入れておいたスマホのマップ表示もエラーになってる。

 GPS自体を掴めていないようだ。


 でだ、現状把握をしてみよう。

 まず重要な事がある。

 待ち合わせに遅刻、しかも連絡が取れないときた。

 振られるの決定かな。

 せっかく俺なんかに声を掛けてくれた女性が居たのに、本当に悪い事をした気分だ。

 うん、落ち込んでいてもしゃーない。

 今まで告っても相手にしてもらえなかったんだし、その延長だと思えば良いだろう。

 その次だが、スマホが圏外で誰とも連絡が付かない。

 女友達は居ないが、男友達が居ない訳じゃない。

 数人程度なら俺のアドレス帳にも登録があるんだ。

 殆ど同僚だけどな。

 入社研修の時にアドレスを交換しただけの奴もいるが。

 まあいい。

 些細な事だ。

 取り合えず連絡は付かないっと。

 次だが、此処がどこだかわからん。

 GPSが掴めてないのでスマホは役に立たんし、俺の知ってる範囲では、こんな森とか草原なんか、北海道位しか無いんじゃないのって感じの広さだ。

 だって、見渡す限りの草原って都会じゃあんまり実感わかないと思うぞ。

 うん、これってヤバい状況なのでは。

 ベア兄貴ニキに倣ってサバイバルしないとイケないんじゃなかろうか。

 サバイバル番組はよく見てたが、実際の所どうなんだ?俺に出来るのだろうか。

 はっ、折れたフレームとか武器になりそうなのも取っとくべきだったか。

 いや俺の力じゃ曲げたり折ったり出来ないから無理か。

 せめてナイフでもあれば難易度が下がったんだが、車載道具を手に入れたから良しとするか。

 マイナスドライバーとか槍の穂先に使えそうだし。

 と、いう事は持ち物を確認しなきゃならんな。

 肩掛けのカバンの中身は、ペットボトルに入った水と財布、家の鍵にタオルが一枚。

 目薬もあったな。

 くっ、いつもは入っている釣りに使う小さなナイフが有れば良かったんだけど、某テーマパークに行くって事で昨日の内に取り出したんだった。

 頭痛薬にキャンディーが嬉しい。

 朝飯食ってないから腹が減って来たでござるよ。

 上着は革のジャケットだから丈夫でいいとして、パンツは厚手のジーンズだからこれも丈夫で良いな。

 持ち物確認はこんな所か。

 次はどっちに行くかだが、此処は森に入る事を押したい。

 だって草原は見渡す限り何もないんだよ。

 そっちに行って水が無きゃ詰むじゃないか。

 其れなら可能性の残る森一択だろう。

 木とかから水が採れるかもしれないしね。

 生き残る確率が上がる。

 不安要素がない訳じゃない。

 大型の捕食動物とか、毒を持った虫とか蛇とか。

 ベア兄貴ニキの様に虫は食べたくないな。

 寄生虫も怖いし。

 川を見つけて魚を捕るのが理想だが、釣り糸とか針は持っていないのが悔やまれる。

 今日が釣りに行く日ならナイフも釣り糸も有ったんだが、流石に初デートで釣りとか無いでしょ?無いよね。


 俺は森に入る前に見つけた細目の若木をへし折り、蔦を割いて作った紐で先にドライバーを括り付けた槍を持って森に入っていくのであった。


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