表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/24

危ない先生くん編④

昼休みに入って、久しぶりに一人が楽だと実感する百々子。安堵のため息が出る。

しかし、百々子の視界の端に短いスカートをひらひらさせて近寄って来る二つの影が映った。ユリコとトモミだ。

「須貝さん一緒にご飯食べよ」

「食べよー」

相変わらずユリコが先陣を切って、トモミが便乗するスタイル。ここで誘いを断るという選択肢は、女子高生にはありえない。

「うん、一緒に食べよー!」

が百々子にとっての模範回答だった。

会話の内容は、雑談だった。モデルのなんとかちゃんが可愛いとか、結婚相性占いで俳優のなんとかと75%の相性の良さだったとか、あの先生嫌いだとか。

本当に浦沢と何か関係あるのだろうか。あるいは、浦沢から何か頼まれていて、まだそれを実行できないでいるとか。


結局何もわからぬまま放課後に。

ホームルームのとき、執拗に浦沢の顔を睨んではみるものの、たまに目が合うくらいだろうか。

ユリコとトモミというチョイスがまた不思議だ。クラスで目立つわけでもない、悪いことするわけでは無いが長所があるわけでもない。凛の取り巻きではあるが、特に仲のいい人がいるわけでもない。

いや、もしかして、まさか……そういうことなのか?


答えが見えてきた百々子は恐れが消えた。周りを気にすることなく真っ直ぐ帰宅するルートに向かう。口元だけニヤリと笑って、悟ったような目で。

下駄箱にたどり着くと、後から声を掛けられる。

「百々子ちゃん、待って、浦沢先生が呼んでたよ」

声をかけたのは凛だった。

百々子は驚いた。

「平林さんにそう伝えられたの?なんで?」

「多分私と百々子ちゃんが仲良しだからだと思う」

いやそれはねぇよ、と思う百々子だった。

「あーそう。わざわざ伝えてくれてありがとうね。職員室に行けばいいのかなぁ」

と、上を向いて考えつつ呟く百々子。

「生徒指導室だって」

「え?生徒指導室?」

職員室ではなく生徒指導室。人が居る場所ではなくて、2人だけの空間に呼ぶ意味とは何だろうか…。ごくり。

「生徒指導室ってどこにあるんだろう」

「保健室と第二倉庫の間だよ」

即答する凛だった。ちょっとどん引きの百々子。

「へぇ、平林さんよく知ってるねー」

引きつった笑いをしてしまう。

「あ、うん、第二倉庫によく行くから…」

倉庫によく行く学園一のアイドルってのもやばい気がする。ごくり。

さて、凛が百々子と仲良しだと思ってることと、第二倉庫によく行くことも置いておいて。

浦沢は百々子の暗い様子を見て声をかけた。百々子は何事もないと言ったが、浦沢は先生に任せろと言った。その2日後にユリコとトモミが謎の雑談を仕掛けてきた。

そして今日、生徒指導室に呼ばれた。物事を順番に思い出せば答えは1つしかなかった。

しかし情けない話でもある。

まさか自分が友達がいなくて困っていると、そんな事で悩んでると思われるなんて。


「ありがとうね、平林さん。じゃあまた明日ね」

そう言って手を振り、後ろを向いた瞬間に凜の表情が曇った。

「百々子ちゃん、浦沢先生と何かあるの?」

「え?」

突然低いトーンで話されて百々子は背筋が凍った。振り返るといつもの笑顔の凛だった。

しかし、笑顔のままで固まって何かを話すわけでもない。

「浦沢先生とは何もないよ、ちょっと友達の事とかで心配されてるだけ…だと思う」

「私は、百々子ちゃんの友達だよ!」

やっぱり友達なんていらない、と思わざるを得ない百々子だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ