野生幻想生物 -野幻-
ーー静寂。
寒蒼とした美しい羽。優雅に森を舞うその蝶は
生命の終点を感じ、紅い花の前に朽ち果てた。
アリア「…ノリで連れてきたけど、大丈夫か?」
セイフラント「ま、適当に拾って食うだろ?な、クロ?」
クロ「ワンワン!」
雪の様に白い毛並みとは裏腹に、
セイフラントはこの犬を【クロ】と名付けた。
アリア「まぁいいが…本当に何するんだ?」
セイフラント「…資金集め」
唐突な答えに、アリアは目を丸くする。(目は丸いのだが)
しかし、単に資金集めと言っても、何をすればいいか分からない。
そこでセイフラントが提案するのが…
アリア「蝶集め!?」
セイフラント「そう!蝶集め!」
アリア「なんだよ!それじゃ金にならないじゃないか!」
セイフラント「まあまあ、落ち着いて、蝶は蝶でも、狙うのはオルテイン。」
《オルテイン…野生幻想生物》
野生幻想生物とは…
略して野幻。地界(※1)以外の世界にも存在し、
幻想的で数の少ない、国から指定された生物の事を言う。
中には絶滅危惧種に認定され、保護を目的の元、金と取り引きするシステムが導入されている。
クロ「ワンワン!」
セイフラント「あ〜、クロはお留守番!夕方には戻ってくるから…ね?」
アリア「じゃあ…行こうぜ、セイフラント。」
2人の『お金稼ぎ』(無様な虫取り)は、初めこそぎこちないものの、慣れれば遊びのようにはしゃいで網を振るった。
アリア「そろそろ上がらないか?」
セイフラント「そうだな…クロも待ってる。」
アリア「夜はクロ連れて買い物に行こうか。」
セイフラント「えー…パァっとやろうよパァーっと!」
アリア「…それもいいな。」
クスリと笑う。
2人の向かう村に、黒い煙が立っていた事も知らずに。
みなさんこんにちは
福神漬けです。
連続…投稿では無いのですが、
ちょっとやる気が出ちゃったんで書きました。
いやぁ、人間のやる気って侮れないですね。
どんどん読んで下さい!!
感想も沢山書いて下さいねっ!と、
※1…全部で4つある世界の内、この作品の
舞台となっている世界の事。
(詳しくは4話参照)