蒼色の狼
胸の奥が痛い。
ただひたすらに痛い。
心理的なアリアの痛みは、意外なところで暴発する。
アグナ「やはり…たった9人では務まらんな…
おそらくマスクのことだろう。
立っている紙を逆撫でしながら、
長身の兵士は冷たい目で言う。
固有家継を持たぬ兵士など、
伝承者によれば時間稼ぎにもならない。
アグナ「…結局3対1だな。場所を変えようか…」
間髪入れずに
アリア「そうだな、開けた森の様な……
もう宿は随分荒らされた。
迷惑はこれ以上かけるまいと…
セイフラント「ヤダ!」
カンナ「へぇ…同じく…」
セイフラント「御国の兵士様だもんね!」
カンナ「へぇ…ここ、宿だからね…」
息の合った口車で戦場をここに決めた。
少しの躊躇があるものの、
アグナはすぐに切り替えるだろう。
…もう切り替えた。
こちらに向かってる。もはやの猪の様に。
ーーーいつの間にか、雨が降っていた。
アリア「っなんで使えねぇ?!」
…いや、正確には効いてないのだ。
アリアの固有家継 -重力- は、目視の範囲攻撃である。
味方を見ないようにして、かつ敵を見続ける事で、
行動制限を施すのだ。
ーしかし、何故か効かない。
セイフラント「っあれ!?効かねぇぞ!?」
…今度は使えない、の方が正しいと言える。
セイフラントは今、地面に触れているので、
地面の形、傾き、密度を自由に変えれる。
…筈だ。
2人ともこの異常事態に速やかに対応する。
しかし、固有家継なしでの戦いは、
敵の方が圧倒的に強かった。
カンナ「へぇ…コイツは無効だよ。」
自分自身には効かず、
かつ触れた相手の能力を一定時間使えなくする。
ラインハルト家に代々伝わる固有家継である。
セイフラント「遠距離は効かない、
接近戦は不利…つまるところの…」
アリア「逃げに徹しろ、か。」
アグナ「逃げるか?貴様の父は少なくとも、
そんな選択はしないな。」
アリアの表情が凍り付く。
何故、父を知っている?
コイツは…
コイツが…殺したのか
父を殺したのか
母を殺したのか
俺も殺されるか
怖かった怖かった
なんで逃げた?
俺だけ生き残った
…なんで生き残った?
アリア「あ……あぁ……あれ?……
ああああ……ああ……………あ…
明らかにおかしい。
その直後、アリアは眩しい光に包まれーー。
セイフラント「なんだあああああ!」
カンナ「へぇ………」
アグナ「やはりか…成功だ。」
3m程だろうか、
宿の屋根ギリギリの【蒼い狼】がそこにいた。
カンナ「アリア…なのか?」
どうやら感情が高ぶったときなどに、
カンナの前置きは抜けるのだろう。
爪を上げ、
瞬殺ーーーー。
アグナの首が飛んだ。
いや、吹き飛びすぎて残骸が見つからない。
蒼い狼「アアアアア!……ァアア!」
カンナ「凄いじゃないかアリア!」
アリア…いや、蒼い狼はもう、自我を失っている。
カンナ「…アリア?」
すると、黙りコケていたセイフラントが呟く。
「ーー思い出した。」
蒼い狼が強靭な爪を振りかぶる。
セイフラントが前に出る。
そして一言。
セイフラント「カンナ、後は任せたよ。」
みなさんこんにちは、
福神漬けです。
長い休みのせいで、昼夜が逆転しちゃった☆
とか言ってる学生は置いといて…
もう入学です、頑張りましょー!




