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エルフの女

「あのすみません…そこにある地図っていくらですか?」


とある一軒の店で地図を見つけた俺は、店の店主らしき男にそう尋ねた。


「ああこれかい、これなら1500Gだよ」


やっぱりそれくらいか、まあ妥当な値段だろう。

質屋で交換した金のかけらが100000Gだったから、砕いてない金塊なんて出したら大変だっただろうな。

俺は苦笑いをして財布から3000Gを取り出し店主に渡した。


「じゃあその地図を二つください」


「毎度あり〜!!」


俺は予備と合わせて地図を二つ買って店を後にした。


〜〜〜〜〜〜〜


俺は一人、街を歩き必要な物がないか探していた。

なぜ一人なのかというと、あのお嬢様が…

『買い物をするなんて魔王の仕事車ないわ…てことでよろしく』とかわけのわからないことを言って宿に一人戻ってしまったからである。

全く…これでは『魔王様』というより『お姫様』だな。

そうなると、さしずめ俺はお姫様の召使いといったところか…


しばらく歩いていると、前方のある一軒の店に大きな人混みが出来ていた。

なんだあれ…あそこは人気店か何かなのか?

俺は気になってそこに駆け寄った。

近づいて改めてその人混みの多さに驚く。

20いや30はいるだろうか…


「すまん一つ聞きたいんだが、なぜこんなに人が集まっているんだ」


俺は近くにいた一人にそう尋ねた。


「いやなんかな、店に見慣れない格好をした不思議な奴が不思議なことを話してるらしくてな。俺も気になって来てみたんたが…なにぶんこの人混みだ」


「変な奴が変なことを言っている? 確かにそれは変だな」


俺はますますこの人混みの先に何があるのか気になり、人混みをかき分け中へと進む。


「すみません通してください…通してくだ…さ…い!?」


そこにいたのは俺の旅のお供であるところの魔王の娘カレン…ではなく………

まるで絵本に出てくるあの種族を、そのまま現実に再現してみましたと言わんばかりの女だった。

年は20歳くらいか…スラッとした細身の体、身長は180ほどもあるだろうか、そして透き通るような真っ白な美白に尖った耳の超絶美人…

それはまるで絵本から飛び出してきたかのような、俺が頭の中で思い描いていた『エルフ』そのものだった。


「どうして食べ物を売ってくれないのですか? お金はしっかり払ったのに」


「いやお金ってあんた…こんな金俺は見たことないよ。何だこれはオモチャのお金か?」


「それはエルフ領で使われている立派な硬貨です。それだけあればこの程度の量の食べ物は帰るはずです」


エルフ領!?

今この女…確かにそう言ったよな。

じゃあやっぱりこの女は………エルフ!?


だったらぜひ旅の仲間に加えなければ!!

エルフがいればこれからの旅がずっと楽になる。

このエルフに道案内を頼めれば素晴らしく効率的だ…それに………

いやいや下心なんてないぞ…ないからな!!


「あのすみません…その食材の金なら俺…だします…よ」


俺はそう言って店の人にお金を渡すのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜



「いやー助かりましたよ人間のお兄さん。私の国のお金が使えないなんて知らなくて途方に暮れていたところだったんです」


女は安堵の表情を浮かべ俺に感謝の言葉を述べた。


「いやいや大したことはないよ。人助けは当たり前だから…あ、エルフ助けのほうがただしいか」


俺は冗談も交えながら紳士的な対応で返した。


「もう冗談がお上手ですねお兄さんは」


ああ…なんて清楚で礼儀正しい女性なんだろう、宿にいる魔王見習いのあいつにも見習って欲しいものだ。

ここ最近常識知らずの半裸女と行動を共にしていたせいか、エルフの彼女との会話がとても新鮮に思える。


「それにしてもエルフに会ったのは人生で初めてだよ。どうしてまたこんなところに?」


「それは………一身上の都合で…」


「…一身上の……都合?」


彼女は少し戸惑った様子を見せたが、しばらく黙ったのち喋り始める。


「実は、今私たちの住むエルフの国は近隣の国とあることで争ってまして。最近まである一人の方武力でが近隣諸国との均衡を保ってくれていたのですが、その方がいなくなった途端足かせが外れたかのように争いが始まったのです」


たった一人で、国の均衡を保つ武力ってどういうことだよ。

外の世界って今そんなことになってるのか、俺はてっきり争いなんてない平和は世界だとばかり想像していたんだが。

ていうかそんなところに俺たち向かって大丈夫なのか!?


「へ…ヘーそうなんだ、でもなんで人間の世界なんかに」


「それはですね…話に出てきていた方の助言なんです」


「話に出てきた方って…武力で均衡を保ってたとかいう?」


何回聞いてもなんとも信じがたい話なんだが…


「はい、その人が去り際に言い残したんです。困ったことがあったらまず人間界に迎え、そこに俺の自慢の娘がいるからそいつに頼めばなんとかなる」


人間界に娘がいる武力で国の均衡を保つ一人の人物…なんか思い当たる節が人むだけあるんだが………


「なああんた、その男の娘の名前って…聞いてる」


「あおはい、確かその娘の名前は………『カレン=ミカエル』…たったかな」

「…………………」


ああなるほどね全部納得できたわ…うん。

素手で金塊かち割る娘の父親なら国の一つや二つどうこうできるチカラがあっても納得だ。


「どうしたんですか黙ったりなんかして」


「いや…知り合いにそんな名前の女がいたなーと…思って」


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