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翌日からくるみは、GONのさんぽに行ったりご飯をあげたりと、かいがいしくお世話をする。GON懐柔大作戦だとすももにはうそぶいている。
マンガのように、自転車の荷台にも乗せようとしたが、GONは嫌がって乗ろうとしない。
なかなかマンガのようにはいかないようで、安定が悪いのがダメなのかと、荷台に籠を付けたりクッションを敷いたりとしてみたが、乗る事は乗ったが、GONは籠の中で丸くなってしまった。
そうこうしているうちにGONが来てから三日四日と過ぎたが、くるみには、やっぱりGONはすももの方になついていて、すももと比べると一寸よそよそしい態度をとるように感じていた。
そんなGONの態度を見て、
「何で私にはなつかないのよー」
と、くるみは癇癪を起した。
「ご飯も散歩も私がしているのに何で?」
GONを睨みつけてくるみが言うと、
「やっぱり、そんな風に癇癪を起すのがダメなんじゃないかしら」
と、おっとりとママが言い。
「くるみは外面はいいんだがなぁ」
などとパパが言う。
「学校でも人気だよ。あんなやさしい、素敵なお姉ちゃんがいていいねって羨ましがられるんだ」
すももはそう言ってにこにこと笑う。
話の流れからして、すももの発言は皮肉とも取れるが、すももには全くそんな気はないようだ。
無い事は分かっていたが、
「なによ。パパもママも好き勝手言って、もういい。GONの事はすももに任す」
完全にへそを曲げたくるみは、そう言い捨てると二階の自分の部屋へと駆け上がった。
「あらあら」
ママがそう言いながら二階を見上げる。
「怒っちゃったね」
「まぁ、二、三日もすりゃケロッとして、またGONの世話をしだすだろ、それまでGONの事はすもも頼むな。忙しい時はパパもママも手伝うし」
パパはしょうが無いなって感じで言った。
「うん。わかった。
でも、何でわたしになついちゃったのかな」
すももが不思議そうに言うと、
「こういうのは相性って面もあるからなぁ。でもたしかにくるみとすももに対する態度は違うけど、パパから見れば、すももと同じくらいくるみにもなついているように見えるけどな。
くるみは気付かなかったみたいだけど、この間くるみがソファーでうたたねしていた時に、GONが寄り添って一緒に寝てたしね」
なんてパパが言う。
「言ってあげればいいのに……。お姉ちゃん喜ぶんじゃないかなぁ」
「いやねいつ気付くかなぁって、楽しみにしてるんだよ。
それにこういうのは人に言ってもらっても駄目なんだよ。自分で気づかなきゃね。お前たちも言うんじゃないぞ」
そう言うとパパは悪戯っぽく笑った。
それを見たママは困った顔をして、
「パパったら、時々意地悪なんだから」
というと、くるみと一緒にため息をつく。
GONはそんな三人をキョトンとした目で見ていた。