表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「さんぽ」2  作者: smm
3/3

5

 翌日からくるみは、GONのさんぽに行ったりご飯をあげたりと、かいがいしくお世話をする。GON懐柔大作戦だとすももにはうそぶいている。

 マンガのように、自転車の荷台にも乗せようとしたが、GONは嫌がって乗ろうとしない。

 なかなかマンガのようにはいかないようで、安定が悪いのがダメなのかと、荷台に籠を付けたりクッションを敷いたりとしてみたが、乗る事は乗ったが、GONは籠の中で丸くなってしまった。

 そうこうしているうちにGONが来てから三日四日と過ぎたが、くるみには、やっぱりGONはすももの方になついていて、すももと比べると一寸よそよそしい態度をとるように感じていた。

 そんなGONの態度を見て、

「何で私にはなつかないのよー」

 と、くるみは癇癪を起した。

「ご飯も散歩も私がしているのに何で?」

 GONを睨みつけてくるみが言うと、

「やっぱり、そんな風に癇癪を起すのがダメなんじゃないかしら」

 と、おっとりとママが言い。

「くるみは外面はいいんだがなぁ」

 などとパパが言う。

「学校でも人気だよ。あんなやさしい、素敵なお姉ちゃんがいていいねって羨ましがられるんだ」

 すももはそう言ってにこにこと笑う。

 話の流れからして、すももの発言は皮肉とも取れるが、すももには全くそんな気はないようだ。

 無い事は分かっていたが、

「なによ。パパもママも好き勝手言って、もういい。GONの事はすももに任す」

 完全にへそを曲げたくるみは、そう言い捨てると二階の自分の部屋へと駆け上がった。

「あらあら」

 ママがそう言いながら二階を見上げる。

「怒っちゃったね」

「まぁ、二、三日もすりゃケロッとして、またGONの世話をしだすだろ、それまでGONの事はすもも頼むな。忙しい時はパパもママも手伝うし」

 パパはしょうが無いなって感じで言った。

「うん。わかった。

 でも、何でわたしになついちゃったのかな」

 すももが不思議そうに言うと、

「こういうのは相性って面もあるからなぁ。でもたしかにくるみとすももに対する態度は違うけど、パパから見れば、すももと同じくらいくるみにもなついているように見えるけどな。


 くるみは気付かなかったみたいだけど、この間くるみがソファーでうたたねしていた時に、GONが寄り添って一緒に寝てたしね」

 なんてパパが言う。


「言ってあげればいいのに……。お姉ちゃん喜ぶんじゃないかなぁ」


「いやねいつ気付くかなぁって、楽しみにしてるんだよ。

 それにこういうのは人に言ってもらっても駄目なんだよ。自分で気づかなきゃね。お前たちも言うんじゃないぞ」

 そう言うとパパは悪戯っぽく笑った。


 それを見たママは困った顔をして、

「パパったら、時々意地悪なんだから」

 というと、くるみと一緒にため息をつく。


 GONはそんな三人をキョトンとした目で見ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ