.2 ラストプロローグ
もうすぐ冬が来る。
いや、もう冬だ。だって、11月だもの。
しかし、日本はまだ残暑厳しく、いやそれも先週くらいの話かな。
「なあ、今度このゲームやってみようぜ」
そういう彼は、○○○。
僕と同じ高校の同じクラスの同級生ってやつだ。
そろそろ普通は受験で頭が一杯でそんなこと言ってられないんじゃないかな。
「確かに、前のはもういいかな」
こいつは、●○●。
高校は同じだがクラスが別で春にはグチグチ言ってたかな。
こいつは頭も良く、既に志望校の内定を貰っているので余裕なのだ。
かく言う僕も、会社の方で内定が貰え余裕がある。
「って、それソシャゲーじゃん。
俺やだよ。コンシューマーかPCじゃないと」
ゲーマー宣言している彼は、○●○。
唯一、違う学校に通っている、自称天才ゲーマーだ。
自称しているだけゲームはかなり上手い。アクションはもちろん、パズルやRPG、特にFPSはランキングに乗るほどの腕だ。
「僕はどっちでもいいかな。
今のもやりあきたわけじゃないし」
そして僕、辻川 慶。
2人と同じ学校に通っている高校生だ。
格好良くもないが、悪くもない。
成績も悪くない。70点は下がったことはない。
人からよく言われるのは、お前は要領がいいとか、小器用とのこと。
さて、僕らが何の話をしているかと言うと、もちろんゲームの話なのだが。○○○が言うには、まだ発売してないゲームで面白そうだから予約しておこうとのことだった。
因みに、PCゲームだ。携帯の画面で見せたので○●○は間違えたのだろう。
「俺は賛成。今のはもういいかな。
それに、育成?しかもかなりこってそうだ」
「PCならなんでもいいや。
慶は育成、得意だろ」
「普通だよ。普通」
生返事をしながら教えてもらったURLを読み込み、サイトを表示する。
そのサイトはまだ完成してはいない、普通のゲームサイトのはずだが、なぜ○○○が紹介したのか分かった。
それは、魅力があるのだ。何のとは具体的には言えないが、それでもやりたいいう気持ちが溢れてきた。
周りを見渡すと、どうやら3人とも取り付かれたように、携帯を弄っている。
既に重症のようだ。人のことは言えないが。
読んでいくと、使用キャラクターは一体だけ、初期スキルはランダム、ステぶりもランダム。
これだけでもマゾ仕様なのに、キャラクターの変更は不可。
この仕様で人がつくのか、と疑問に思うも、いつの間にかやる気にされられている。
「じゃあ、やるってことでいいよな。
皆、やる気みたいだし」
○○○は僕たちが携帯を真剣に見ているのでそう判断したんだろう。
異論はないが。
「じゃあ、ここの[ゲームに参加する]ってとこを押してよ。
そしたらゲームが届くってよ」
そして僕たちは、そのボタンを押した。
あんな事になるとは、誰も予期できずに・・・・・・。
この物語は、一見何気ない光景の中で、誘導されるようにスクロールする子供たちによって始まったのである。