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.1 プロローグ
ハッ、と目を開く。
「は? なにここ?」
僕は、今見えている景色に困惑する。
石で、若しくはレンガで出来た家。広くはないが、家よりある庭。綺麗に飾られた花壇。その隣には小さな畑も見える。
普通の景色だ。どこをとってもおかしくない。
だがおかしい。
決定的に、自分の家じゃない。
「どうなってんの?」
震える全身を抱え、必死になぜこんな状況に陥ったかを考える。
ダメだ、思考が纏まらない。
昔の記憶ばかりが蘇る。
これが走馬灯なのか?
寒い。視界が霞む。
僕はこのまま死ぬのか?
どんどん重くなっていく体を、せめていきなり倒れないよう、地面に寝そべる。
これで、顔面から倒れることはないだろう。
「ああ、これ僕の記憶なのか」
たった5年分しかないがしっかりとした記憶だ。
「父さん、母さん、シャー姉、ルー姉、ロイ兄、ごめん、僕死んだかも」
愛想を尽かしたように体の力が抜けていき、視界ももうほとんど見えてない。
走馬灯の終わりがとうとう見えかけた時、僕は目を閉じた。